クラシック音楽の備忘録  怒れる男と怒れない女の恋 『ピーター・グライムス』 | 「もったいない」を「素敵」に変える! 日×瑞いいトコ取りライフスタイル 気まぐれブログ

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熟年国際結婚を機にスウェーデンへやって来ました。日本と瑞典(スウェーデン)いいトコ取りの生活雑記です。

Kungliga Operan
Peter Grimes
May 15, Wednesday 2013
 

久々の登場、クラシック音楽の備忘録。

今回は、王立オペラ劇場にて『ピーター・グライムス』。 今年生誕100年を記念するベンジャミン・ブリテンによるオペラ。

【ストーリー】
小さな漁村。漁師ピーターは頑固な変わり者として知られている。そんな彼が、漁の仕事を手伝う見習いの少年を街の孤児院から連れて来た。前例の無い行動は、漁師仲間や村の人々の好奇の視線を集める。しかもその“余所者”の少年に知育の発達障害があると分かると、ゴシップは止め処が無い。孤立するピーター。助けの手を差し伸べてくれるのは、エレンと伯父さんの二人だけ。
「ジョン(少年)に、人生を変える新しいきっかけを与えてやりたかっただけだ。」と二人に語る。
根拠の無い推測と噂による批判にさらされ、追い詰められたピーター。牧師を先頭に駆り立てた村の男たちが家に押しかけてくると知った夜、嵐が来ると知りながら少年を伴い沖へ船を出した。
そして、大時化の一夜。海に不慣れな少年が、溺死してしまう。
果たして、不幸な事故だったのか。それとも、ピーターは故意に少年を死なせたのか?!


音楽についてはねー。何と言うか、ちっとも美しくないの。
恋人同士のデュエットでさえも、美しく協和しないのよ。
「何で、どうして、ブリテンさん?!」
近代のクラッシク音楽ってこういうもの?!という不可思議さが残る。
当方の勉強不足もあり、音楽は、印象薄~。演技も、演出もイマイチ冴えが見られず。

反面、ストーリー自体の印象は強く、とても秀逸だと感じました。

1945年、第二次大戦の終結から1ヶ月後に初演され、大成功を収めたといわれています。時期から推察するに、ブリテンさんは、この作品を対戦中に書き上げたのではないか知らん。
この仮説に立ってストーリーを読み解くと。
ジョン少年は、戦争のすべての犠牲者を象徴しているように見えてくる。
そして、ピーターは、考え方や行動が大衆と違っているために迫害された少数派(マイノリティー・グループ)の人々。
作曲家は、アジテーションに容易に踊らされる無責任な大衆を批判している。倫理も責任感も罪悪感も、「みんなで忘れてしまおう」と暗黙の了解に拠って、少数派をいじめる醜態を容赦なく表現している。
「人間って、悲しいね。」と思いました。

そして、
怒れる男に求愛された時、どうするか?というシュミレーション。
ピーターは、怒っている。社会の理不尽さに。大衆のゴシップ好きに。
信念を曲げたくない。
そして、この不器用な男が愛するのは、エレン。教師を職にしているハイ・ミス。t美人ではないが、気立てが優しい。彼女もピーターを好いているし、彼に理があることは分かっているが、村人を敵にまわしてでも彼の側に立つ勇気が無い。エレン自身が、ピーターを恐れているのだろう。

エレンに関して、こんなシーンがありました。
教会の日曜礼拝にジョン少年を伴ってやってきたエレン。村人の誰も彼女たちと口をきいてくれないばかりか、会堂のドアを鼻先で閉められてしまう。
自分をとりまく状況さえ理解できず、廊下に佇んで、漏れて来る讃美歌に合わせて歌い祈り始める少年。何と、いじらしい。
こんなあからさまな差別を受けたら抗議しなくちゃ怒って当然、よ!
でも、このエレンは怒りを表現しない(出来ない)んだな。
廊下のベンチに座ってジョンを抱き寄せて悲嘆に暮れる。それが、彼女の反応。
遅れてやってきたピーターは、二人が閉め出されたことを知ると烈火の如く怒る。
少年を引っ張り、ドアを蹴破る勢いで会堂に入ろうとするピーターに、泣きながら追いすがって止めようとする彼女。怒りを制御できないピーターは、彼女を怒鳴りつけて去って行った。

エレンを見て、思いました。
彼女は、ここで立ち上がるべきだったと。勇気を出すべきだったと。自らの尊厳を主張できない少年のために、そしてピーターのためにも。
自ら“怒り”という感情を発露することを恐れなければそれができたでしょう。ここをクリア出切れば、怒れる男ピーターを恐れずに愛することができたでしょうに
相手を恐れていては、愛することはできないと思うの。それゆえ、この愛は育たない。
悲しい二人です。


私は、きっちりと怒ることができる女だろうか?
理不尽な扱いを受けた時、不正義がまかり通っているのを見た時、弱い者がいじめられている時には。
もう、オバさんだからそこそこの経験を重ねて来た。だから、そうでも無いとはいえないけれど。しっかりと度胸の据わった女に成長しただろうか?
うーん・・・。
人生いろいろ。何が起こるか分からない。
日ごろから、気力、体力、知力を鍛えておかなければ。


オペラを観て考えた、女の怒り方