先日も、こんなことがあった。
「あなた、この本、取り寄せてくれない。…『置かれた場所で咲きなさい』って、『境遇を選ぶことはできないが、生き方は選ぶことができる。』…まるで、今の私を励ましてくれているようよ!」
「あァ、その本ね…でも、君は、こんな所にいるような女ではないよ。君にしかできない使命を背負っているんだから…」
「あら、こんな所にいるっていう境遇にさせているのは誰かしら…おーい、誰かさん出ていらっしゃい!」
「やぶへび」だ。
うーん、私としては、カミさんの活躍の場は全国に及んでいることを、正当に実績として評価しようとしたのであり、ごく自然な会話の流れのなかで、「こんな所にいるような女」は出てきたのだし…。これっぽっちも「よいしョッ」しようなんてことを考えたわけではない。
それに、手もみしてカミさんをおだてるのは、二人の間に「風雲急を告げる」事態発生時のギリギリの手管。…まァ、今にして思えば、その後の展開を予想すらできずに、「言わずもがな」のことを、「物わかりの良い亭主」面して言ってしまって、「それを言っちゃあー、お終い」状態になってあたふたとする私は、「お馬鹿さん」で、極甘(ゴクアマ)に言えば「寝た子を起こして」しまった「お人好し」ってこと。
で、ここは、二の句を継がず、そそくさと、amazonで取り寄せると、ひたすら平身低頭、黙したまま、件の一冊を献上した由。
未だ、読後感は聞こえてこないというのは、このような夫を持った身も、「置かれた場所」と心得て咲こうとしているのか…。
すると数日後また、こんなことがあった。
「あなた、この本、取り寄せてくれない。…西原さんの『生きる悪知恵』って…今の私には必要なことかもしれないわ…」
「あァ、その本か…でも、君に、悪知恵は似合わないよ。今のピュアな知恵だけで充分だと思うけど…」と、きっと歯の浮く…ようなことを言いかけて止めた。「やぶへび」なことは分かっている。
そんな「悪知恵」の働く私以上の「悪知恵」をつけられた日にゃ、少しばかり残された「男としての沽券」すら危うくなってしまう…。
〔PHOTO:JULIYA MASAHIRO〕
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