人気blogランキングは?  

 デスクに、今、二冊の本が開かれている。
 昨日、届いたばかりの『テレビ作家たちの50年』(日本放送作家協会編・ NHK出版)と、もう一冊は、私が師と仰いでいた林秀彦氏の、書名から思わず「クスリ」と笑ってしまったが、実は大まじめな、『おテレビ様と日本人』(成甲書房)だ。
 前者は、協会創立50周年の記念事業としての出版で、その末席にずうずうしく居続けて30年あまり
の私にも贈呈していただいたというわけだが、そうそうたる方々が様々なテーマで書かれた、まァ、アンソロジーのようなもので、執筆者に知った名も多く、今から読むのが楽しみだ。
寿 利 屋 JULIYA-林秀彦著『おテレビ様と日本人」(成甲書房)  後者には、若造だった頃、憧れにも似た気持ちで林先生を追っていたから、ひょっとして、すっかり忘れていた「初々しい」気持ちを思い出すのではという、密かな期待もある。

 それらをアペリチフにする読書は、きっと極上の味を醸し出すに違いない。
 ところで、「テレビの世界で何をしてきたのか?」と、歳のせいか気まぐれに自問自答したりすると、未だに、はたと考えこんでしまう。

 数え上げれば恐らく何百本にはなろうが、「放送作家」が身過ぎ世過ぎ便宜上の看板だったように覚束ないぐらいだから、そのどれもが、希薄でまだらな記憶しかないようでさえある。…あれほどドップリと浸かっていた、大好きな世界だったのにである。まァ、それほどたいした仕事をしたわけではないからなどと言われれば、少しは「ムッ」とするから、そけれなりのプライドを持ってはいたのだろう。

 放送作家協会が、文化遺産として後世に残すためとか、作家育てのためとかで、脚本や構成台本などのアーカイブスを立ち上げたときも、なんだか私に関しては、場違いのような気がして、やんわりとお断りした覚えがある。

 所詮、電波は時の流れであり、電波に乗った番組も、瞬時の「消えモノ」だ。消費して消え去るもので、残すものではない。芸術と言われる範疇のものでさえ、テレビ電波に乗ってしまえば、そんな“さだめ”を受け入れざるをえない覚悟が必要だろう。

 それがテレビであり、テレビの本領も本質も本当も、そこにこそあるのでは…。
 悪い癖からだけれど、『おテレビ様と日本人』のあとがきの数行を読む。
 「この本を閉じた後、テレビの前にどっかりと座り、ビールの栓を開け、リモコンでスイッチをオンにしたら、…それはあなたの勝手なのだ。ただあなたがこの国の殺害者であることだけは確かである。」
 相変わらず過激…だが、レトリックはともかく恐らくそれは真実なのだろう。
 市川森一氏(日本放送作家協会理事長)も言う、「テレビという怪獣が存在する限り…」(『テレビ作家たちの50年』まえがきより)と…。

 だが、この二人のテレビに向かう姿勢は、決定的に違う。

 言えることは、真実を見透かし、ピュアに立ち向かおうとすればするほど、この世で奇異なる存在となりそんなものは目障りだと抹消させられてしまうという、滑稽な現実があるということだ。

 Copyright(C) JULIYA MASAHIRO All Right Reserved.
【無断転載使用不可】