毎年この時期になると、過去一年間に観た100本以上の「封切映画」をあれこれと思い出し、我が脳ミソの中に何枚何十枚もの銀幕を広げ、「日本アカデミー賞」第一次投票のための悩ましくも楽しい時をすごす。
今はなき丸林久信監督(1917年東京生まれ、早大文学部卒、東宝と監督・プロデューサー契約、1970年よりフリープロデューサー)が、わざわざ私を連れて、協会(確か、設立まもなくの仮事務所のようなところで、築地の松竹本社近くのビルにあった?)に行き、入会の手続きをしてくださったのだが、それ以来かれこれ30年近くも、「投票は会員の権利であり義務ですので棄権しないように」という決めごとにしたがって、末席を汚しながらも忠実な会員であり続けていることになる。
丸林監督とは、以前、このblogに書いたことのある「1000ドルパーティ」を通じて知り合ったように記憶しているが、あるいはコントWベア(レオナルド熊と天野良昭の漫才コンビ)あたりが紹介してくれたのかもしれない…。
当時、監督自身の戦争体験を書いた『握り拳の丘(ザ・フィスト・ヒル)~イラワジ525高地』(1986年時潮社刊)を、映画化したいと預かったりしていたから、いずれにしても「シナリオ・オークション」がらみの関係だったことは確かだろう。
この企画は、様々な訳があって私の手の中で頓挫してしまったが、小説は、今も書棚に大切に並んでいる。
監督には、言い尽くせないほどお世話になったが、次第に疎遠になっていってしまった。それでも、盆暮れの挨拶は欠かさず、電話でのやりとりは、最後の時を迎える季節まで続いた。
「元気でやっているかい?若い人に教えてるんだ。楽しくやっているよ…たまには会いたいね」と言われながら、私は、その機会を作らなかった。いや作れなかったと言った方が当たっている。その年が明け、年賀状にかわって、家族の方から一通の手紙が届いた…。
私のスケジュールの年末恒例となっているこの「投票」は、ちょっとかっこ良すぎるけれど、丸林久信監督へのレクイエムのようにも思う。
というアカデミー賞協会との因縁めいたものがあるのだけれど、きまっていつも〆切ギリギリまで、これでもない、いやあれでもないと、結構マゾっぽく己を追いつめ、かなり個性的(偏向的)に取捨選択している一票で、いわゆる協会活動に協力を惜しまない、模範的会員というわけではない。
作品賞、監督賞、脚本賞…さらに、主演男優賞、主演女優賞、助演云々と、17のジャンルにわたって、優秀賞をそれぞれ3人(作品)づつ選ぶのだが、大抵はその3枠に収めきれない作品や俳優さんが出てきて、勝手に涙をのんだり、心底あやまったりしている姿は、かなり異様な光景に違いない。…まッ、そんな風にして、昨日めでたく投票を済ませ、肩の荷を降ろし爽快な気分ではある…。
で、これで終わったのではなく、優秀賞の結果が届くと、1月には、さらにそれぞれの最優秀賞(新人賞を除く)の投票と相成るけれど、これは一次投票で絞り込まれた優秀賞から唯一を選ぶわけで、言ってみれば“ファン投票”のようなもの。
因みに、どうしても邦画より洋画に偏っている鑑賞傾向のある私が、「外国作品賞」に選ぼうと候補に挙げていった作品は、「マリア・カラス 最後の恋」「エリザベス ゴールデン・エイジ」「潜水服は蝶の夢を見る」「サラエボの恋」「ダージリン急行」「ノーカントリー」「マイ・ブルーベリー・ナイツ」「モンゴル」「王妃の紋章」「フィクサー」「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」「JUNO ジュノ」「セックス・アンド・ザ・シティ」「宮廷画家ゴヤは見た」etc.である…。
投票した邦画の作品は内緒だけれど、ごく私的な予想を言えば、広田亮平クン(「マリと子犬の物語」「山のあなた」)や高橋真悠ちゃん(「西の魔女が死んだ」)の新人賞は決まりだ…ろう。
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