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 先月、DVD『謎の沖縄海底遺跡』(コロムビアミュージックエンタテインメント・VP版は2002年発売)がリリースされた。
 全編ハイビジョンで撮影された映像は、さすが見ごたえのあるもので、編集の手際もなかなかのもの…おすすめの作品である。
 ところでこのDVD、もともとBS-iの開局記念特別番組として、2001年1月に三夜連続(「第一夜・ニライカナイの幻」「第二夜・科学が迫る一万年の記憶」「第三夜・巨石に秘められたメッセージ」)でOAされ注目を浴びたものが素材となっている。
 「謎の沖縄海底遺跡」…「日本列島の最西端・与那国島の海底に存在する構造物」は、それまでも、この種のものに聡いTV各局が、様々な切り口で取り上げてきていたが、学術的な検証を交えながら真正面からその正体の解明に取り組んでいたのが、当時TBSビジョンのプロデューサーだった影山勝一氏(現在、株式会社ビジョンプラス取締役)であった。
 そんな影山氏に、以前から私が持ち込んでいた企画が、「台湾の海底構造物」…「与那国の目と鼻の先、琉球古陸のまさに付け根、中国大陸の東端に位置する台湾」は、番組の構成上一つの展開の方向性として言及されてしかるべきところだった。
 さっそくこの特番プロジェクトに加わった私は、台湾取材のコーディネートを進めるかたわら、影山氏と沖縄に飛んで斯界では有名な木村政昭教授(琉球大学)に会ったり、沖縄在住の水中撮影に実績のある潜水クルーとの打ち合わせなどの準備にかかった。
 一方で、「台湾の海底構造物の謎解き」のためのリサーチも進め、プロジェクトは実に入念な「本」づくりを行った。OAの期日をにらみながら、最もダイビングに最適な季節を待って、この番組の総合ディレクター天野裕士をサポートする形で、台湾ロケはスタートした。

 ところで、この「台湾の海底構造物」にまつわる前説は、いささか長いのだが、私には特別の思い入れがある。
 そもそもの発端は、台湾の本を書くための取材過程で、たまたま目にした「虎井沈城」の小さな記事(JAAの機内誌『アジアエコー』)に出会ったことだ(1982年)。


虎井島 海底に眠る十字型巨大構造物と「沈城伝説」


1982年秋、台湾本島の西、澎湖群島の 虎井島(フーチンタオ)鵝豆鼻東方沖(写真の左側)、北回帰線直下の海底に巨大な城壁のような十字型の構造物が発見された。当時、台湾のマスコミは、『世紀の大発見!幻の沈城』とこぞって取り上げ、諸説紛々の論争を巻き起こした。
発見したのは、ダイバー・謝新曦氏…澎湖に古くから伝承されてきた「沈城伝説」を島の古老から聞いたのがきっかけであった。
しかし、今日に至るまで数度にわたる調査を行ってきたにもかかわらず未知の部分も多く、学術的な判定も出ていないという。(当時の記事を訳出)


 なぜか興味をそそられた私は、さっそく台湾の知人を介して、その発見者・謝新曦氏(CMAS世界水中連盟督導教練・PADI国際職業教練協会教練・中華民国陸軍両棲偵察営潜訓総教官、現在、中華水下考古學會理事長)に会った。
 彼は、台湾ダイビング界の草分け的存在で海洋写真家でもある知る人ぞ知る存在。…スキューバダイビングには門外漢の私ではあったが、今後の取材協力を快諾してもらえた。
 事実、その後私の関わった取材に、幾度となく台湾のベテランダイバーを選りすぐって潜水クルーを組み、虎井島での案内役をかってもらうことになったのだが、番組として放送にこぎ着けられるまでには、実に困難な紆余曲折があった…。
同意書  私も商売柄、様々な番組作りに関わりながら、ほとんど忘れかけていたのだけれど、とある制作プロダクションのプロデューサーに、チラリともらした「沈城ネタ」に、「それ、おもしろいよ!」と即座に反応され、TBSの看板番組『地球浪漫』に企画を持ち込んでみようということになった(1987年)。…しかし、当時の担当Tプロデューサーは、あまり乗り気ではなかった。

 そうこうした数年後ふってわいたように、件の与那国島の海底構造物(1986年、新嵩喜八郎氏が発見)を日本テレビやTBSが取り上げるようになり、再び、企画を動かしてみようという気になったのが90年代半ばになってからだった。
 かくして、「虎井沈城」の日本デビューは、1996年12月15日OAされたテレ朝のザ・スーパーサンデー『所ジョージの世界はまだまだオモシロイ!』~古代文明の不思議と謎大追跡!!~(制作・日本テレワーク)となった。
 「虎井沈城」に関しては、この番組が放送された後、『海底のオーパーツ』(1997年・南山宏編著)に、番組の総合ディレクターを務めた丹治哲雄(日本テレワーク)が寄稿している。
 私がコーディネイトしたことをほとんどなぞった内容になっているが、これを機に、注目度が高まったことは確かで、2001年には、『ムー』3月号で「神仙文明のルーツは台湾にあった!!」という記事が、「虎井沈城」をクローズアップしている。

 おもしろいのは、台湾原住民族文化連盟会長で自らケタガラン族の末裔と名乗る林勝義氏が発見した七星山のピラミッド遺跡のことまで取り上げていることだ。それもまた、当時、私が林氏とコンタクトして企画の要素にと盛り込んでいたものだ。
謝礼  ところで極めつけと言えば、TBSビジョンの仕事を終えてすぐ舞い込んできた、『神々の指紋』をはじめ多くの著作をなして世界的に有名なグラハム・ハンコック氏の台湾取材のコーディネイトであった(影山氏の紹介による)。彼の著作を多く翻訳してきた大地舜氏からの依頼であったが、「後、英国から入るBBCのTV取材クルーのコーディネイトもよろしく」ということで、それを前提として「新作(2002年9月『神々の世界』上下巻として発刊)のための取材行」を引き受けた。   

 2001年9月、ハンコック氏と写真家のサンサ・ファイーア女史、そして大地舜氏とともに、虎井島の海底構造物の探査をこなし、さらに東海岸に点在する巨石文明の遺跡をたどりながらの取材を終えて以来、何年も経過しているが、未だTVの話はやってこない。…いやはや、今となっては私の甘さ加減に苦笑いをするしかないのだけれど。
 ここしばらく、謝氏にも林氏にも会っていないが、私の『沈城物語』も、思えば、世紀を超えた頃に海の藻屑となっていったのか…。


グラハム・ハンコックの沈城探査を報じる中國時報 〔PHOTO:DOMINANT LIMITED〕
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