「75才の血管になっているわよ!」
検査の結果をおもむろに示しながら、医学博士の若き女医さんに言われ、おまけに、ゴム管二本をつまんで、その違いをみるように差し出され、恐る恐る確かめるとその差は歴然!
一方は、干からびたマカロニもかくやと思われる触感…ザル状に張り巡らされた血管の人体模型が間歇的にフラッシュして、軽い目眩に襲われた私である。
以前にも、「ばい菌がいる」とか「確実に死ぬ値」などと、こともなげに言われて、傍らの美人ナースの目線を気にしながら、いたく傷ついたことがある。
医師を前にして、私たち患者は言ってみれば「まな板の鯉」…正面きっての反論などできようはずもない。
我が身の日頃の不摂生を、ひたすら反省してみるのだけれど、「病は気から」とか「医は仁術なり」とか言うではありませんか。データ上では、まぎれなく「事実の数値」なんでしょうが、せめて、言われた患者が「しおれない」程度に婉曲な言い回しをお願いしたい…。さすれば、我が血管も、少しはなごんで柔らかさを取り戻してくれるやもしれません。
思えば、通院し始めの頃は、やたら元気ではきはきとわかりやすく説明してくれ、適度に愛嬌がある女医さんで、しかも近所という立地に、いわばホームドクターとして「我が家の健康」をあずけてきた。
「医師、豹変す」の原因が、那辺にあるのか?…うすうすと見当はついているのだが…。
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