チケット(席)の事 | 風の通り道

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 去年から楽しみにしていた、バレエ公演が、今日で終わった。とりあえずは一区切り、と言ったところか。

 今日見たのは、複数の教室の合同発表会と、全幕物と言った催しだった。そこに、プロのダンサーの方がゲストで参加していた形だった。私はもちろん、好きなダンサーが目当てであった。

 

 昼の部のブザーが鳴っても、空席が目立った。出演者の方が多いのではと、私は思わず、辺りを見回してしまった。こんなことなら、前の席を買いたかった、と思った。ネットで買ったのだが、二席か三席しか出てこなくて、仕方なく、出てきた中では一番前の席を取った。それでも18列目。

 よく見ていると、自分の身内(家族・友人・知人)の出番が来る頃に入ってきて、終わったら出ていく人がいることを知った。

 一番前は、やはり空いている。なので私は、好きな人が出てくる少し前に移動し、その時だけ、一番前で見させて頂いた。

 

 夜の部は、昼の部で出番を終えた人たちもいたせいか、昼の部よりは多かった。私の隣にも、人が座った。見ると、五分前の知らせがなっても、一番前の席は空いていた。

「せっかくだから、移動なさったら?」

 実は、私の前の席も、昼は一瞬、人が座ったのだ。でも、もう少し前で見たいと思ったのか、移動していった。

「全幕の時は、途中で入って来られないと思うわよ?」

 と言って下さったが、勇気がなかった。今思えば、移動すれば良かった。しかし、好きな人が踊っている途中で、「ここ、私の席なんですけど」と言ってこられてもと思い、とどまった。

 

 でも、これで一つ、勉強になった。一番いい席というのは、視線を動かさないで見られる、少し後ろの席なのだった。私にとって一番いい席というのは、一番前の真ん中のブロックの席。

 次回からは、一番いい席の次の値段の席を取ろうと思う。

 私が利用したサイトでは、どの席がどれだけ空いているということを知ることはできなかった。二つ三つ、提示されただけだった。だから、それ以外は空いていないのだと思っていた。

 

 終演後、ダンサーの方たちがロビーに出てくるかなと思ったが、それはなかった。もしも好きなダンサーにお会いできたら、プレゼントをお渡ししたかった。

 

 いつか、そんな日もめぐってくるだろう。

 迎えに来てくれた夫と一緒に帰宅した。

 

 夢の時間をありがとう。