そう言う時代 | 風の通り道

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主にエッセイを発表します

 

 千里中央駅直結のモール「オトカリテ」が、今月いっぱいで閉館する。53年の歴史に幕を閉じる。53年て、私と同い年ではないか。シュシュを作りてくて、生地を買うためにユザワヤに行こうとしなければ、一生行くことはなかっただろうな、と思う。

 

 千里には、かつてたくさんの人々で栄えたであろう、ダイエービルがどっしりと鎮座している。完全にクローズされている物哀しさが、かえって女達の笑い声や、子供達のはしゃぎ声を思い起こさせる。このビルに思い出を持つ人も多く、見るたびに郷愁に浸る人も少なくないのでは、と思う。いろんな事情があって壊せないのだろうが、思い出の拠り所のような感じで、それはそれでいいのではないか、と思ったりもする。

 オトカリテは、どうなるのだろう。

 

 数年前には、船橋西武が50年の歴史に幕を閉じた。その瞬間に、私と夫は立ち会った。蛍の光も何も流れない、あっさりした幕引きだった。私はその日、ディオールの口紅と香水を買ったのだった。友人の娘さんが、都内に就職したと言うので、久し振りに友人親子に会い、お祝いを称して食事をした思い出もある。

 現在跡地には、新たなビルの建設工事が始まっている。次なる50年への歴史が、刻まれつつある。

 

 始まりと終わり。

 破壊と創造。

 

 最近、洗濯ばさみが相次いで壊れる。ビルも洗濯ばさみも、そう言う時代なのだろう。早速、新しい洗濯ばさみを買おうと思う。