風の通り道

風の通り道

主にエッセイを発表します

 

 明日……日付的には今日、クリスマスイブですね。皆さん、いかがお過ごしですか。

 

 私は、起きている時はベッドでゴロゴロしながら本を読んでいるか、ネットで動画を視聴していることが多い。テレビは、夫がいればチラ見する程度。夫がいなければ、テレビをほとんど見ない。

 

 ふと動画で、「金曜ロードショー」と言う言葉を聞いた。金曜ロードショーって、まだやっているんだ。月曜ドラマランド、火曜サスペンス劇場、水曜ロードショー、木曜洋画劇場、金曜ロードショー、土日は何だっけ。

 子供の頃、日曜日、バラエティ番組が終わり「この木何の木気になる木」のCМが始まると、なんとなくさみしい気持ちになったのを覚えている。

 

 一家そろってこたつを囲み、一つのテレビを眺めていた頃が懐かしい。

 

 夢、便利さ、豊かさ、楽しみを追っていく一方で、同じだけのものが失われていく。

 戻らない日々。もう、二度と会えなくなった人達。

 こんな風にしんみりしてしまうのは、年末だからでしょうか。年齢のせいでしょうか。きっと両方。若い頃は、やってみたいことがたくさんあって、また、行動する力もあった。

 

 来年は、ささやかでも何か、楽しいことを発信していけたらなと思っている。

 

 素敵なクリスマスを。

 

 

 20代の頃、私は宝塚歌劇にはまっていた。当時はチケットぴあがあって、始発に乗って並んで買っていた。同じような人達はいて、色々話をしながら待っていた。寒い時は、暖を取るために、一時場所を離れて、コンビニにコーヒーを買いに行く時、声を掛け合ってもいた。

 

 結婚してからは現役には関心が薄くなった。その代わり、オージー公演や、退団したオージーさんが出る公演を見に行ったりしていた。退団しても、現役時代とほぼ同じ舞台が見られることが嬉しかった。

 

 さらに、時が過ぎた。たまに、あの人どうしているんだろう、と思い出すことがある。

 とあるスターさんを検索してみると、開いたはずのスタジオのサイトが見当たらない。よく見てみると、クローズした模様。さらに見てみると、なんと、御年80歳とのこと。え! あの方が80歳! 昭和のベルばら四天王として、黄金時代を築いた彼らがそんなお年とは。

 そうよね。私も50代だもの。

 

 かつて、ダンススタジオに通ったことがある。私が50代なら、先生方は60~70代。いつスタジオをクローズして、年金生活に入ってもおかしくない世代である。

 

 その代わり、20代でガンガン踊っていたダンサー達は、現役を退いて、教える方に回る時期である。もちろん、いくつになっても現役と言う人もいるだろう。

 クローズしていくスタジオがある一方で、開かれるスタジオがある。

 

 見る阿呆に踊る阿呆。同じあほなら踊らにゃソンソン。

 お客さんに、笑顔になって帰ってもらいたい。感動してもらいたい。そういうダンサーはたくさんいる。でも、舞台に立っている人達が、一番感動していることを、私は知っている。

 

 もう一度、舞台に立つ日は来るのだろうか。どうせ見るなら、美しい夢を見ていたい。

 

 あなたは、どんな夢を見ますか。

 

 

「キールロワイヤルですね」

 東幹久さんのCМが、とても印象的だった。東京に出てきたばかりの私にとって、キールロワイヤルは、東京の象徴の一つだった。一人暮らしの部屋でキールロワイヤルを飲んでいた。都会的で、なんておしゃれなの!

 当時、180ミリリットル250円で売られていた。

 

 気が付けば、いつしか市場から消えていた。

 それが、ルピシアで見つけて、懐かしくなって買ってしまった。ずいぶん前である。

 今、最後の茶葉を飲んでいる。自由と孤独がセットだと知ったのも、この頃だった。でも、田舎に帰ろうとは思わなかった。孤独を上回るきらびやかさが、都会にはあった。都会は、私を受け入れてくれた。呼吸がしやすかった。

 

 キールロワイヤルは、カシスのリキュールとシャンパンで、簡単に作れるらしい。シャンパンは高価なので、スパークリングワインの代用でもいいらしい。

「キールロワイヤルですね」

 凛々しくサーブしてくれる、東幹久さんはいないけれど、当時の気持ちを思い出しながら、新たな夢を思い描いてもいい。そんな風に思った。

 

 それでは、又。