湿原(上・下)/ 加賀乙彦 | 我が家の本棚

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お酒や音楽、趣味のバレエ、鉛筆デッサン、ナンタケットバスケット関連話も時々。




こんばんはー



上・下巻
どちらも600ページ程のボリューム
文庫本初版1988年とあります
だから活字が小さめなんです
分量と濃い内容に進みは遅く
読了に時間がかかりました
息切れ気味
緻密に描き込まれていて
読む側の手抜きが許されない感じでした
冤罪の恐ろしさが迫ってきます


『 湿原 』加賀乙彦著


数々の罪を犯してきた前科者で
自動車整備工として働く雪森厚夫49才と
精神病院に入院した過去のある
女子大生の池端和香子24才

新幹線爆破事件の容疑者として
無実の罪を着せられた2人が
長い時間をかけて釈放されるまでの物語

2人の純粋な恋愛を描いた話であり
1人の犯罪者の半生を描いた話でもあり

大学紛争、警察組織の裏側、弁護団の奮闘、
戦中の軍隊の愚行、
雪森の故郷である北海道の湿原と家族達、
犯罪者の心理と刑務所内の実情、、、
色々な要素が物語の中に盛り込まれ
重く感じる部分も多々ありましたが
下巻は話の展開のスピードがあがり
入り込んで読みました
そしてラストでは
ふぅっと胸を撫で下ろしました

物語の舞台設定は1969年なのですが
警察の容疑者に対する不当な扱いや
身勝手な報道を繰り返すメディアなど
憤りを覚えた部分は
2020年になっても解決していません
冤罪がいかに人の人生を狂わすのか
小説と分かっていても辛くなりました

余談。。。
精神科医でもある著者ならでは、と
感じる文章も沢山出てきます〜