まかてさん、ハズレなしかも
今回もとても良いお話でした
江戸時代前期の代表作家
井原西鶴の一生を
娘のおあいの視点で綴った物語
本好き、小説好きには
グッとくる名言が色々出てきますよ!
『 阿蘭陀西鶴 』朝井まかて著
大阪の街で俳諧師として活躍する西鶴
彼の娘、おあいは盲目ながら
母親仕込みの料理上手で
裁縫も掃除もこなします
9歳で母親が亡くなり弟2人と別れ
父親と女中のお玉と暮らしています
自分勝手で人好きで見栄っ張りの父親に
嫌悪感すら抱いていますが
俳諧の世界をのぼりつめることが出来ず
長編の話を書くようになっていく父親を
側で見ているうちに
人間の本来の格好悪さや滑稽さを愛おしみ
庶民の喜ぶ本を生み出そうと必死の
父親の姿を見ているうちに
父親を誤解していた自分に気づくおあい
尖っていた彼女が少しずつ丸くなっていく
その様子が丁寧に描かれていて
父娘の関係性の変化に感動しました
西鶴さんの口八丁手八丁に笑い
美形の女形とおあいの静かな交流に
ヤキモキヤキモキし
当時の大阪の京都に負けじと
張り切る商人達の勢いに感心し
なにより西鶴が自身の本について
好きな時好きなように読んだらいい、と
本を読むのが大好きな人達が
一番望むことを言い放ってくれたことが
嬉しかったです
大谷博子さんのあとがきより抜粋↓
『読むものはな、それを己に重ね合わせて
胸を躍らせたり口惜しがったりできる。
な、ここが脈所や』
『物語というのは自分の好きな時に好きな
ように読んで、百人おったら百通りの
※世之介が生まれるわけや』
(※好色一代男の主人公)
西鶴の言葉だ。そしてこれは、
朝井まかての言葉でもある。
ラストがまた良いんです
本好きの皆様に一読頂きたい一冊でした!