さて、筑波の旅も半分が過ぎました。
前回は五輪塔でしたが、今回は結界石です。
忍性菩薩が筑波で活動されるようになってから、多くの場所を結界されています。
東城寺結界石「大界外相」です。
「大界外相」とは俗世間と寺院とを分ける「所謂ここから先は聖域です。殺生戒は勿論の事、戒律を破る事は許されませんよ」といった具合に俗世間の世界と、僧侶が活動する領域を区別する結界石です。ですから主に僧侶が活動する場に建っている事が多いです。
次は街の中に残る結界石「不殺生界」です。こちらの結界石は近年まで、橋の一部として使用されていたらしく、裏を返すと「結界石だー!」となったそうですw重要文化財級の大きな石です。
それに対して「不殺生界」というのは「殺していけません」と不殺生の戒に特定したものになっています。
ですから「これより先は俗人も生活はするが殺生は許されませんよ」という意味です。
不殺生界の結界石の中では捕猟や漁業など「仕事としても生命を奪ってはいけませんよ」という意味です。ですから茶園や農業、殺生をせずに生活をしないといけないと意味になります。
今日の日本では結界や戒律というのは、特別な時しか守られていないものですが、基本的に守る事を重視するよりも、その裏にある倫理や道徳を示す様なものです。
守る守るという事よりも、それを避けて生活する事が大事という事なのです。
まぁ戒律を守らない、守れないというのは1000年も昔から日本仏教の伝統とでも言えるでしょうね。反省。。。
奈良では近い所だと戒壇院には「大界外相」の結界石がありますね。
前回も書きましたがこんな逸話が残っています。
忍性菩薩が三村山を結界した事から、筑波に住む狐が猟師の追っ手を逃れて三村山に逃げ込んできたというお話が残っているそうです。
筑波の地で律宗を布教する為には結界石を置くことが重要な意味があったのでしょう。この他にも5つほど見つかっているそうですが、今回は時間の都合もあり2つご案内頂きました。
そんな事で今日は筑波に残る結界石でした。
続く。。。
では。