ニーズの変化とめーめー稼ぎ | 野良翻訳家・HanaBananaの Enjoy Life!
富岡製糸場、世界文化遺産内定、おめでとうございます。
中学の社会の教科書に出てきましたよね?男子がやたら「製糸」の箇所を連呼して、ぎゃひゃひゃっって笑っていたって記憶しかない。情けねぇ。

富岡製糸工場は明治時代の女性の労働環境としては、世界的なレベルで見ても大変恵まれた職場だったそうです。1日8時間の労働時間、週休1日、夏場や冬場には各々10日間の長期休暇も認められていたそうです。さらに、革新的な事実は、そこで技術を習得した女性達は、自分達の故郷に帰ってから、各地でその技術を伝承したそうです。これは、キャリアウーマンの走りですね。かたや、女工哀史という言葉がある通り、経営者の理念によっては、女性はまるで奴隷かのように扱われていた事実もありますので、
ここの労働環境が、いかに独創的だったかも際立ちます。


男尊女卑だとか、女性の社会進出などが難しいとか言われている日本は、今やOECD(経済協力開発機構)加盟国の中で、女性の就業率が下から10位と大変低く、女性の社会進出というテーブルでは後進国という体たらくなのですが、富岡製糸場という、実はたいへん進歩的な職場が明治初期にはあったって事実を、
建造物の素晴らしさと共に、もっと知らしめてほしいなと思いました。実際に、登録の事前審査をした、イコモスという会議(国際記念物遺跡会議)では、
そのソースが、世界文化遺産登録の大きな後押しとなったそうです。


専業主婦信仰、「女性は家にいて夫を支えるべき」という発想が生まれたは、比較的、近代の戦後の高度成長期のとても短い時期。1950年から80年にかけて、結婚したら女性はオウチに入るのがステータスだった、いわゆる「昭和妻」ですね。江戸時代なんかは、庶民は「銘々稼ぎ」という言葉があるのにも
わかるように、共稼ぎが普通でした。武士クラスになれば、また話は違っていたのでしょうが(それに降嫁的な結婚なのか、家柄の低い方から嫁ぐのかなどの事情によって様々な形態があったでしょうが)、お家を運営して守る事は、今の夫婦、子供、もしかしたら親くらいのサイズの家族なぞ比べ物にならない程、それは「仕事」に近い手腕が必要だったでしょう。だって、何万石って大名のサイズがある通り、それだけの企業に近い所帯を背負っていくのは、女性だって様々な役割があったでしょうし。


要するに、専業主婦信仰ってのは、経済が勢いがあり、国民が平均的に潤っている時代のブームを、武士の時代の特殊階級の形態を持ち出して、まことしやかに
男も女もそれぞれの都合によって、「主婦」という生き方を推進したのではないでしょうか。つまり、流行ですね。あるいは、私達の父母の時代、いわゆる高度成長期は、男性に企業戦士になってもらって、どんどん日本の経済を成長させねばならない背景があったので、専業主婦の必要性が大いにあった時代かもしれませんけどね、「昭和ドリーム妻」という、流行りの側面があったことも否めませんね。


その時代、またそれ以前の、教育水準が低い専業主婦にならざるを得なかったり、勤めているワケではないけれど、主婦をしながら農作業などの社会的にカウントできない労働者としての側面を持っていたにも関わらず、奴隷化していた女性達の存在もいたことは間違いありません。そういう人たちを守るために、バブル期以降、年金受給制度や男女雇用機会均等法の導入、などが整備されました。


そのフェミニズムの亜流というか、ひょんなことから出た存在が、いわゆるお仕事をして権利を得ながらも、高収入の旦那さんがいるので、生活に関するお金を稼いでいるのではない、ワーキングウーマンと専業主婦の「いいとこ取り」の奥さんでしょうか。でも、そういう方々はごくわずか、まともに考えたら、働くということは、男女雇用機会均等法が制定されたのですから、職場で男だとか女だとか分け隔てるのがおかしいというという建前。しかしながら実際は、女性ということだけで差別を受けることも多々ある日本の職場ですから、男性以上に頑張っていかねば生き残っていけないのが
ちょっと前のフルタイムワーキングウーマンの宿命でした。私見ですが、今はずいぶんと緩くなってきていると感じます。ただ、社会のニーズに合っていない、昭和の時代の観念は、ありますよね。


加えて、これまた私見になりますが、私がシングルマザーをやってきた10年間に感じてきたことを書きますと、専業主婦の奥さんがいる男性は、家をお任せできる存在がいるだけに、長時間働けます。出張だってぜんぜんいけちゃう。育児しながら働く当方と比較したら、そりゃぁ会社にとって都合の良い人は、長時間働けて、フットワークの軽い人でしょう。もちろん私の無能さもあるのですが、そういう競争に時間的に体力的に
負けたーーー!と感じること、多々ありましたもの。実家に住んで母の助けを借りていた(といっても母も経営者ですからね)けれど、もしも、ばっちり家事・育児をしてくれる存在が家にいたら、同じ立場の男性に負けないもん!て気持ちはありましたネ。


ところで、専業主婦、もしくは一定額以下の収入があるのに免税されているリーマンの主婦というのは、ちゃんと働ける体力を持った人が賃金労働をしなくても済んでいる、富裕層の一種に数えていいとも言えます。個人の家庭の事情で済んでいれば、それは選択の自由です。一定額以下の収入があっても、税金を払わなくても良く、旦那さんの税金も控除されるという制度の枠内で、上手に働くパートの方々はいらっしゃしますね。「これ以上働くと、税金払わなくちゃならない」って人。これ、バブルがはじけた以降、ちょっと世の中が不安定になってきた頃に無税で働けて、主婦としての優遇措置は手に出来る効率の良い働き方だったと思います。平成初期のニーズにかなった主婦のライフスタイル。もちろん子供が小さいからとか、本当にその必要があった方々もいらっしゃるでしょう。
とりあえず「平成ニーズ主婦」って勝手に名前つけとこうか。


ですが、この平成ニーズ主婦がのっかってる制度は、税収が主にワーカーから徴収されているという観点から考えると、
その人の税金を、夫以外の誰かが負担していることになるんですが、そこらへん、やはり、「ん?」と思うのですよー。



流行というのは文字通り流れるもので、それこそ歴史によって、人の生き方、ライフスタイルのニーズも変化していくものです。もちろん、人の生き方なぞ、個々の勝手なので、主婦であろうが何であろうが、他人様に迷惑がかかっていない、他人様に依存していない限り、
選択肢はいくらでもありましょう。


が、再び書いちゃうけど、時代は流れています。その高度成長期の、夫を支える妻が圧倒的に必要だった時代の方々は
既に高齢者、年金を貰う世代になっています。しかも、人口比率として、非常に高い。その時代の人達を支えるための、
その世代より下の、現在の働き盛りの世代で、女は専業主婦になるのが正しい生き方と信じてしていらした方々、もしくはその生き方を余儀なくされた方々、控除枠内で働いている方々(パートで働いていても、いったん所得税はその給与からひかれるという税金の仕組みを知らない人がいて驚いた)、はたまた、ラッキー、高収入ののダンナにぶら下がって気楽でいいわ~な方々も含めて、残念ですが、問題のある歪んだ富裕層、社会問題に変化したのではないでしょうか。


ご主人をサポートすることによって、間接的に納税していると思っていらっしゃる方々もいるかもしれませんが、ご主人は免税されている点で、
このご意見は、少し違うと思います。


高齢者の増加、失業者の増加、と同時に広がる生活保護受給者の数。それらを支える税金を支払う働く世代は、自分達の生活のために稼いでいると共に、誰かを支えるために稼いでいる事実は、聞きあきたことですよね。


この10年間、単身の親として経済的、実働的に子供を養ってきて、
また、最近では、経済的、実働的に親を養うようになって、ひっじょーに疑問を抱く制度なんですね。限られた体力と時間で働いて、時には正社員に就くことも
難しかった中、収入からまっとうに各種の税金を支払うことだけは免れられない。それを考えると、正直「ずりぃ。。。」と思うし、
そして、生活保護や収入を低く抑えて優遇制度を受けるのは、屋根のある家に住み、家族全員がきちんと食べることが出来て、さらにちゃんと働ける身にとっては、恥ずかしい、申し訳ないことだと
育っていますので。

もちろん、私の周りにも、専業主婦の友達はたくさんいますし、流れにのって主婦や無税のパートをしている友達もいるし、そういう人たちを恥ずかしいと思うかって言ったら、思いません。
それに、こういう問題って個人を責めているように捉える、狭量な人もいるだろうから、「やっかみ?」とも言われかねない。そう言われるのがいやだからではなく、もっと大きい問題としてとらえて、切りこんでいかないのだろうか、と、歯がゆく思っていました。
だって、やっかんで済むような軽々しい疑問や危機感ではないでしょう。そして、個人のライフスタイルをバッシングして片付く問題ではない。小学校の緊急学級会じゃないんだから。
まるで、それは社会問題を笠にして、
鬱憤をはらしているようにしか見えませんしね。


まぁでも、世の中には、物事を俯瞰して見られない近視眼的な思考回路の方々もいますからねぇ、残念なことに。

こういう問題は、もっと大きい所から、
つまり制度から改良していかなければならないのでは?当然、今まで優遇されていた人々からは、大いに反感を買うでしょうが、お国の懐事情が背に腹を変えられない流れがあるならば、きちんとフェアに一人一人が背負うように整理していくことが最重要です。

どんな形にせよ、優遇されてきた人々にとっては、それで生活が回っているのですから、これ以上お金を取られるのは嫌だ、働かないで済んでいたのに、税金払わなくて済んでいたのに、なんで私たちから???って思うのが、人間の性ですから、いくつも波乱があるでしょうね。





ズルして生活保護をもらってる人、専業主婦、納税しないで済む程度にセーブして働く主婦、国籍が違うということで、歴史的に差別を受けてきた代償として公的な支払いを免除されている人々、
今、社会問題として浮上してきた人達個人を責め立てて、解決出来る問題ではない。もちろん、ズルして生活保護をもらっている人と、専業主婦じゃぁ、人としての質が違うという問題もあるので、
容易に一緒くたにはできませんが、この先、波乱含みながら、こういう制度をどんどん見直していくのではないかなと。



先日、安倍総理も言ってたように、女性の社会進出が望まれています。これは、ぶっちゃけ「もっと税金を払ってもらう人を増やさないと、国が運営を出来ませーん」と同じ意味ですよね。消費税増やしたのに、またかよ!ですよね?
同時に政府税調が、配偶者控除の見直しの議論を開始しました。メディアでもいっせいに報じていましたよね。昭和ドリーム妻、平成ニーズ妻の流行も終わり、江戸時代、銘々稼ぎ(響きが可愛い、めーめー稼ぎ)に戻れっつーことですよ。



もちろん、制度をやめるとなると、新たな難題がふっかかってきますよね。例えば専業主婦だった人、パートだった人がフルで働く必要が出てきたとなったら、
その就業先を探すのも大変でしょうし、また子供が小さい家庭は、保育所の確保にも苦しむでしょう。正社員ではなくとも、預けられる公的機関、公的機関推奨の安全な保育施設、保育形態が必要になってきます。また、高齢者をかかえる家庭も、何らかのサポートを受ける必要性が出てくるかもしれません。
うちも他人事じゃないので、「もしも」を考えますヨ。それこそ、たった一人の働き手ですから、私が仕事を辞めて
介護をすることは、気持ちは別とて、食い止めないと。



母「すまないねぇ、あたしがこんな体なばっかりにぃ」

俺「それは言いっこなしよ、おっかさん。それよか、ごめんねぇ、あたしが働けないばっかりに、雨漏りもするこんなあばら屋で、毎日、白湯ばっかりで」

母「なにを言ってる、うっ!ゲーホゲホゲホゲホゲホー」

俺「おっかさん、おっかさぁーーーん!!」


ってね、なりかねないっすからね、


そーなったら、

俺は税金払った、超苦しい中、主婦の方々が無税・優遇されてる中、俺は一人で頑張って払った!!だから、俺だけ福祉制度の優遇しやがれー!!
って、役所の前でのたうち回ってやるわ。



考えただけでも、やることありすぎて
安倍ちゃんクラクラでしょうね。税金を徴収して不足していた所に充てるともに、福祉に対してお金を費やしていくという魔法使いみたいな技をも望まれますよね。


あっちを立てりゃこっちが倒れ、世の中、常に不条理は絶対にあって
全ての意味においてフェアになることは無理ではありますし、フェアの意味合いも、観点によって違います。

が、

日本という国を建て直すという意味において、経済力は必須。

配偶者控除の見直しは、始まりに過ぎない、今後、どんどんセーフティネットが整理されていくのだと思います。しっかり働かなくちゃ。様々なライフスタイルが誰にも文句を言われず選べる豊かな国に戻ることの、礎になるためにもね。


納税者としては、働く親の子供の保育や高齢者、働くことが不可能な障害者のサポートなど、使われるべき事、行くべき人に使われていってほしいと、切に願っています。


あと、専業主婦をナマポと一緒にした!とか専業主婦の存在否定とか、みたいに、この記事を感じたら、ほんと、さぁーせん。
それは、私の文章力が無いせいか、あなたがIQが2くらいしか無いかのどちらか、もしくは、どちらもです。


で、富岡製糸場はどこいった?っつー話ですが、こういう理想的な職場が明治初期にあったんだから、これからの富岡製糸場を作っていこうじゃないかーって
思ったのさ!!