このブログは当時の記録を元に時間差で書いています。

 

現時点でも妻は入院しており想定を超えて長期に及んでいます。

 

このブログが“今“に追いついた時には明るい未来が待っていることを祈ります。

 

 

朝になり、気付けば僕は寝ていた。

こんな状況で寝られることに驚いた。

関係無いが寝る直前までスマホを見ていても即落ちできる。

ブルーライトへの耐性が強いのだろうか。

これで射撃が上手ければ僕はのび太だ。

 

朝になれば何事もなかったように

いつもの眠そうな顔が見られることを期待したが、

あまり変化はないようだ。

落ち着きがなく、1人で「うんうん」と何か聞こえるのかうなづいている。

 

その日は休み明けで仕事の予定だったが有休を取った。

とにかくすぐに病院に連れて行こうと思い、

かかりつけの病院に何度も電話をかけて9時ごろようやく繋がる。

普段は予約が一杯の病院だけど様子を察してくれて無理やり診察をねじ込んでくれた。

 

前回入院のことが頭をよぎる。

前回は2回目の発症、つまり再発だったが今のような状況を長く引っ張ってしまった。

 

診察に行って薬を貰って「様子を見てください」

帰って様子を見るけど少しずつ悪化して数日経過。

また診察に行って薬を貰って「様子を見てください」

帰って様子を見るけど少しずつ悪化して数日経過。

 

これを繰り返すこと1ヶ月

結局症状はどんどん悪化していき結局入院することになった。

 

そんな前回の反省を踏まえて今回は心に決めていたことがある。

「症状が悪化する前に入院してもらおう」

良かれと思って自宅で頑張っても本人も周りも疲弊するだけ。

まだ本人と話ができる。

前回の入院直前は本人の意志と関係なく体が動いたり、

別の人格が出てきたりして、まともに話ができなくなった。

今のうちに入院した方が絶対いいはずだ。

そう思って予約の時間に病院に行った。

 

診察では話せる限り本人に状況を話してもらった。

かなりしんどそうだったがそれなりに説明はできていた。

私からは前回のようにひどくなる前に入院も考えたいことを伝えた。

 

先生はあまり間を置かず

「少し入院して薬の調整をしましょうか」

と優しく本人に話かけた。

本人も声には出さずうなづいていた。

 

前回と同じ病院に連絡してもらったがすぐに確認ができなかったため

あとで改めて連絡をもらえることになったので一旦帰宅。

 

夕方ごろになり症状は悪化なのかわからないが変化してきた。

体を痛がるようなことはなくなり

頭の回転が遅いような会話が成り立たなくなるような感じだ。

話していると本人以外の人格を感じることも増えてきた。

 

「パピコ、大丈夫かい、ご飯食べる?」

と聞くと、遠くにいる柴犬のナツを指さして

「あれがパピコ」

と言って不敵に笑っている。

これが冗談ならいいのだが明らかに声質まで少し変わり、

実際に見るとメチャクチャ怖い。

 

ナツの散歩に2人で出た。

その時はまた症状がおさまっているのか普通に話ができた。

近所には私の実家があるのだけど実家に寄りたいというので

大丈夫かなと心配しつつも寄ってみる。

結局ほとんど喋らなかった。

後から聞くと両親は異変を感じていたようだ。

 

病院から電話があり翌日から入院できることになった。

2人で入院の準備をするのだけど、

これがまた旅行のつもりなのか外行きの服ばかり用意する。

1週間分は準備しようと話しても、

なるべく荷物自体を減らそうとする。

 死角からカバンに下着をねじ込もうとしても、

気づいて外に弾き出す。


入院を理解しきれてないのはおそらく病気のせいだけど、

この頑固な性格は本人のものだ。

混ざると厄介極まりない…

 

なんかすごい心配して、すごいムカついて

今思えば入院前だしもっと優しくすれば良かった。

 

明日が来ることをこの日はとにかく待っていた気がする。

入院すればすぐに良くなる。

この時の僕はそれを信じて疑わなかった。