共産党蕨市議宮下奈美さんは、4月15日に離党し5月15日付で別会派としての会派届を提出、同日記者会見を行いました。

 理由は共産党員からパワハラ、モラハラを受け、党機関に相談しても思うような対応をしてもらえず、10か月にわたって療養を余儀なくされて議員としての活動もできなくなったこと、自分の心身の健康を取り戻すために環境を変えることが必要だったことだと言います。

 宮下さんはこの経過を、5月17日の自分のブログに書いています。

 

 私のブログを読んでいただいている皆さんの多くは、宮下さんのブログも見ているかと思いますが、参考に全文を掲載します。

 

 

日本共産党を離党しました

 

私宮下奈美は日本共産党を4月15日に離党し5月15日付で別会派としての会派届けを市役所に提出。同日市民の皆さんに離党理由を説明する記者会見を市内で行いました。

今後は無所属の市会議員として蕨市で活動していきます。

 

【このようになった経緯について】

まず、きっかけは日本共産党員からのパワーハラスメントモラルハラスメントがきっかけで体調を悪くしました。

なんとかしようと思い、党機関に相談しましたが思うような対応は見込めず解決の糸口も期待できず、体調の悪化が著しく、日常生活に困難をきたすようなったこと、そのことで心身の健康を取り戻すために今の自分の党活動についての環境を変える必要がありました。

担当医師からは、患者を守る立場からそのことについて理解を得られ、環境を変えることが必要との見解により、診断書を党のしかるべき機関に提出し手順を追って離党に至りました。

 

【会見をする主旨について】

私は去年6月の市議選で市民の皆さんの付託を得て当選させていただきました。その時は日本共産党として立候補しました。

党として票を入れてくださった市民の方もいるかと思います。

記者会見は、市民の皆さんにこのようになった経緯と今後の活動についてきちんと説明し、無所属議員として活動していくこと。

支援していただいた皆さん、市民の皆さんに対して自分の口で話したい

こういう思いから本日は記者会見という場を設けさせていただきました。

 

【注意】

党に対してや党員のパワハラモラハラを糾弾する主旨ではございませんのでご理解いただきたいと存じます。

 

【わたしのこれまでについて】

私は子どものころは体が弱く保育園や学校に通うのが体力的に困難で同級生に馴染めない子ども時代でした。

大人になり社会人になってからはセクハラ、モラハラパワハラ という言葉が今のようにはまだない社会状況で、こういうことが当たり前の昭和の時代でした。

結婚しても大変な困難があり法律で離婚しました。

その後シングルマザーとして子ども2人を育ててきました。2人の子どもの子育ては、子どもの祖父母がいたとしても それはそれで助かりましたが、親ひとりでの子育てというのは経済的にも精神的にも緊迫したもので常にプレッシャーがありました。また、子どもの発達・成長、いじめや成長期・反抗期の訪れなどで日常生活では困難の連続でした。

こういう中で常に感じてきたのは私たちの暮らしと政治は深く関わっているということです。

地域で子どものことや生活のことについて相談できて話せる身近な人がいたらいいな と 常日頃から感じてきました。

国の政治はすぐには変えられないけど、小さい自治体・市としてできることはあるのではないかと、そういう思いを持って生活していました。

 

 【議員になってからは】

私の初当選は2015年で約9年前ですが、常に私は、身近に話ができる そういう議員でありたい という思いで活動してきました。

よく「市民のため」ということを言われますが私はその「市民」という言葉の中に常に自分も含め 自分ごと として考えてきました。

先ほども「相談できる人」ということを言いましたが市会議員というのは「議員が上」とか「よく知っているはずの人」とか そういう存在になる ということではなく、悩んでいる人が誰かに話をする、自分の口で自分の気持ちをアウトプットする という行為が自然と気持ちを整理し、話していく中で解決策案などを自分自身で見つけることができる。このことを「エンパワメント」と言いますが、エンパワメントとは、本来ある力を取り戻す実践。人は誰でも生まれた時から、生きる力、個性、可能性、問題解決力など、さまざまな素晴らしい力を持っているということです。

その人自身が本来持っているはずの力を引き出す エンパワメントする これが、相談業務の本質だと私は思っています。話を聞く方にも技術は要りますがこのことは市民から学んだ経験です。

ですので、これまでも、今も、これからも 市民のエンパワメントを手助けできる存在でありたい。

その中から制度と制度の狭間で苦しんでいる人がいれば政策や取り組みの提案をしますし、市政の中で埋もれているような政策があればそれを発見し、機能するように研究し提案・要望していく。

こういうことが、市民の「健康で文化的な生活」の一助になると思っています。

自分の心身が壊れかけてしまったため去年から約10ヶ月間療養を中心としており、活動がなかなかできない状況でした。

このままではいけないと思いましたしまず、自分の心身の健康を取り戻すために環境を変えることが必要だったこと、市民のみなさんに対して、今 申し上げた議員としての責務を果たしたい こういう思いから 離党し無所属議員として活動していく という決断に至りました。

 

日本共産党が掲げる目標や政策について】

私との考え方は一致するもので、そこに差異があったということはございません。

特に、これまで会社勤めが長く、派遣やパート・アルバイト労働をしていた私としては共産党の「8時間働けば普通に暮らせる社会」というのは、誰もがこんな社会になったら良い と思っていることだと思いますし、また 「子どもたちに平和な未来を」残したい という反戦平和への強い思いは私が生きている限り取り組んでいく活動です。

今、世界では戦争がおこり一般市民たちが犠牲になっています。人々の、子どもたちの命が奪われてるなんていうことは どんな理由があっても許されることではありません。

そして人権の根幹である「ジェンダー平等社会の実現」は「一人ひとりが自分らしく暮らせる社会を」目指すもので 子どもからお年寄り、そして性別問わず実現されるべきテーマです。

去年の選挙でも一番に「ジェンダー平等」を掲げました。

特に、『いわゆる』「マイノリティー」と呼ばれる方へ視点を当てた政策実現に向けての取り組みは、「誰にでも暮らしやすい社会の実現」につながるものだと考えています。

今申し上げた主に3つの政策はわたしの生き方そのものであり、それは共産党の政策と一致するものです。

これは、わたしが今の仕事であっても また そうでなくても取り組んでいくと決めていることです。

人として 健康で文化的な最低限度の暮らしを まずは自分で実践できるよう体調を戻すこと、そしてまた市民の方と一緒に暮らしをよくしていく活動をしていくこと、このことが市民の方への誠意だと思っています。

 離党しても、以上のことを胸に今後は無所属議員として活動していきたいと思います。

 

2024年5月17日

蕨市議会議員 宮下奈美

 

日本共産党を離党しました - Blog-Nami Miyashita (hatenablog.com)

 

 

 これに対して、共産党蕨・戸田地区委員会と共産党蕨市議会議員団は5月15日に連名で声明を発表しました。

 

【声明】宮下奈美議員の会派変更について

5月15日付で宮下奈美議員から会派変更届が提出されました。
日本共産党蕨・戸田地区委員会、及び日本共産党蕨市議会議員団は、以下の声明を発表しました。
 
宮下奈美議員の離党について

              2024年5月15日

              日本共産党蕨・戸田地区委員会
              日本共産党蕨市議会議員団

 2024年、3月8日に宮下奈美・蕨市議会議員より提出された離党届について、4月15日、日本共産党蕨・戸田地区委員会は宮下議員の離党を承認しました。また、宮下議員から、蕨市議会では日本共産党市議会議員団から離れ、独自の会派として活動したいとの申し出を受け、この点についても了承しました。
 
 今回の離党、及び会派からの脱退の承認については、今後の宮下議員の議員活動の継続にとって脱退が避けられないとの申し出を受けて行ったものです。宮下議員が受けたハラスメントなどの問題については、その都度、解決に向けて努力をしてきましたが、結果として宮下議員の望む方向で解決ができず離党に至ってしまったことは残念であり、責任を痛感しています。
 
 日本共産党蕨・戸田地区委員会、日本共産党蕨市議会議員団としては、宮下議員と一致する課題での協力関係を継続するとともに、今後とも広範な市民との共同を広げ、くらし、民主主義、平和を守るために力をつくす決意です。

 

 

 この声明は、きわめて異常なものです。

 宮下さんに対して、どんなパワハラ、モラハラがあったのかは語られていませんが、内容によっては犯罪にもなる、また民事訴訟での損害賠償請求の対象にもなる、全く許せない行為です。

 そういう問題だという自覚が、共産党の側にあるのか、きわめて疑問です。

 

◎ パワハラ、モラハラは実際にあったのか、共産党として認定したのか。

 

◎ パワハラ、モラハラの加害者は処分したのか。

 

◎ 党組織から宮下さんに謝罪はしたのか。

 

◎ 再発防止のための体制は作られたのか。

 

こうしたことが一切明らかにされていません。

 共産党は、もっと誠意ある対応をすべきではないでしょうか。