ギャング・アワー回顧録 おまけ | 羽仁修のブログ

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脚本家・羽仁修の暇つぶし的ブログです。

ということで、ばっさりカットになった

田中と大崎のやり取りを公開します。


渋谷と三鷹、その後赤羽が出て来る

廊下のシーンが終わり、

田中と大崎が作戦会議をしている・・




田中  このまま俺が逃げ出したら、大崎君はまずい

    よね。

 大崎  そうだね。それこそ死刑確定。

 田中  そうか・・・


       また考え込む二人。


 大崎  でも、最悪はそうしようと思ってる。

 田中  え!?

 大崎  そうすれば、田中君も赤羽さんも助かるし。

 田中  ちょっと、何言ってるの?

 大崎  最悪の場合だよ。

 田中  それっておかしいよ。だったら赤羽が逃げら

     れた事にしたほうが、よっぽどいいよ。

 大崎  それはダメだよ!

 田中  どうして?

 大崎  赤羽さんは恩人だから。

 田中  え、そうなの!?

 大崎  うん。

 田中  ほんとに?

 大崎  ほんと。

 田中  そんなことってあり得んの?

 大崎  あり得るんだよ。

 

       驚きを隠せない田中。

 田中  ・・あの、もし・・

 大崎  あれは僕が高校の時だったんだけど・・

 田中  あ、けっこうあっさり話してくれるんだね。

 大崎  え、ダメ?

 田中  いや、ダメじゃないけど、そういうの話しづ

     らかったりするかなって・・

 大崎  別に恥ずかしい話じゃないし。

 田中  ・・じゃあ、お願いします。

大崎  当時の僕、不良だったんだよね。

 田中  うわぁ、意外・・

 大崎  意外って・・ 僕、一応現在進行形のギャン

     グなんだけど・・

 田中  あ、そうだった。ごめん・・

 大崎  で、大して喧嘩も強くないのに調子に乗って

     たら、ゲーセンでたちの悪いのに絡まれちゃ

     ってさ。いやぁ、やばかったね。僕も引くに

     引けなくなっちゃって、ちょっと反抗しちゃ

     ったもんだからもう袋叩き! それが加減の

     わからない奴らでさ、マジ殺されるかもって

     思ったんだ。そしたら・・

 田中  まさか!?

 大崎  そう! そのまさか! 赤羽さんが助けに入

     ってくれたんだ。

 田中  マジか!? あいつ喧嘩強かったかんだ。

 大崎  そしたら今度は赤羽さんが袋叩き!  

 田中  やられてるっ!!

 大崎  もうびっくりだよ。てんで弱いんだもん。

     この人なんでノコノコでてきたんだろうっ

     て?

 田中  で、どうなったの?

 大崎  さんざんやられてから、赤羽さんはこう言っ

     たんだ。『これで終わりか? んじゃ今度は

     こっちの番だな。覚悟しろよ!』って。

 田中  おお! 殴るだけ殴らせてから反撃に出るパ

     ターン!

 大崎  ううん。奴らの後ろに三鷹さんが立ってた。

     どうやら待ち合わせてたみたい。

 田中  だっさ!うわ、だっさ!! なんという小

     物・・

 大崎  いやぁ、もう三鷹さんの強いのなんの! 

     これが本物かって茫然と眺めちゃったよ。

     7~8人いたと思うけど、二分も掛かんなか

     ったんじゃないかな・・

 田中  そりゃ、すごいね。で、赤羽は見てただけ

     と。

 大崎  いや、最後にこう言い放ったんだ。『これに

     懲りたら、二度となめた真似すんじゃねーぞ

     !』って。

 田中  もう超ダメじゃん。心底軽蔑出来るわ・・ 

     つーか、それだったら、恩があるのは三鷹さ

     んじゃん?

 大崎  ううん。もし、やられてるのが僕だけだった

     ら三鷹さんは助けてくれなかったと思うん

     だ。赤羽さんが一緒に殴られてくれたから。

     だから赤羽さんは僕の恩人なんだ。

 田中  う~ん、なんかずれてる気がするんだけ

     ど・・

 大崎  で、それがきっかけで、このチームに入るこ

     とに決めたんだ。

 田中  なるほど。赤羽にとっては恥ずかしい話だっ

     たね・・

 

            赤羽が戻って来る。

 赤羽  コーヒーお待たせしました。

 田中  ・・・こいつがね。

 赤羽  さあ、冷めないうちにどうぞ!



 

このあと、マヨネーズ入りのコーヒーを

赤羽が飲まされるくだりに続きます。



以上、ギャング・アワー回顧録でした。


それでは、また・・