概要

特殊小型船舶操縦免許は、船舶職員及び小型船舶操縦者法に基づく国家資格。

日本国内の海、川、湖で水上オートバイを操縦するために必要な免許です。

 

(出典:YAMAHA)

 

以前は小型船舶操縦免許(現在の一級、二級)を取得すれば水上オートバイの操縦もできたのですが、水上オートバイの事故が多発したため、法改正により「特殊小型船舶操縦免許」という独立した免許になりました。

 

受験の経緯

一級小型船舶操縦士の試験に合格したので、ついでに特殊も取ることにしました。

特殊免許を取得するには3通りの方法があります。

 

①登録小型船舶教習所に通う

登録小型船舶教習所で2~3日にわたり所定の学科や実技の教習を受けます。

修了試験に合格することで学科、実技とも試験が免除されます。

費用は大体5万円~8万円ほど。

時間とお金はかかりますが、一番確実なコースです。

 

②免許スクールに通う

免許スクールの講習を受講し、国家試験を受験するコースです。

免許スクールとは予備校のようなもので、試験合格に向けて独自の講習を行います。

講習日程や講習料は様々です。費用の相場は大体4万円~6万円ほどでしょうか。

免許取得のルートとしては、これが一番オーソドックスみたいです。

 

③完全独学

学科も実技も完全独学で突破を目指すコースです。

費用は受験料2万円ほど(+教材費)で済むため、一番安上がりです。

 

さて…

一級は独学で取得できたので、特殊も独学で取ろうと思いますが、やはり不安はあります。

水上オートバイは陸上のバイクと同じように、右左折時に体を傾けて重心を移動させます。

独学の場合、どれくらい体を傾けたらよいか感覚が分からないまま受験することになるため、下手したら転覆するんじゃないかと思うと怖いんですよね…

(実際は余程のことがなければ転覆はしないらしいですが)

 

ただ、仮にも私は大型二輪の免許所持者。

水上オートバイも同じような感覚でいけるんじゃないかと思い、特殊も完全独学(練習なし)で挑戦することにしました。

 

出願

出願手順は一級を受けたときと同じです。

まずはJMRA(日本海洋レジャー安全・振興協会)から願書を取り寄せます。

試験の日程はJMRAのページで公表されているので、都合の良い日程を選びます。

 

一級はニューポート江戸川(東京都江戸川区)で受験しましたが、特殊試験は実施していないとのこと。

割と近場なMGマリーン(千葉県市川市)で受けることにしました。

 

備考欄に「定員制、要電話予約」との記載があったため、MGマリーンに電話してみます。

感じの良い若い女性が対応してくださいました。

 

「3月4日の特殊試験の予約をしたいのですが」

М「一発試験ですか?それなら私どもではなくJMRAに電話予約してください」

「あ、そうなんですか。わかりました」

М「あと、一発試験で受けに来る方は結構いらっしゃって、大体は不合格になるのですが、その際の補習等は受け付けておりませんので予めご了承ください」

 

電話予約は試験会場ではなくJMRAにするんですね。知りませんでした。

それにしても、補足程度にサラッと言われた最後の言葉が気にかかります。大体落ちるって…

「何人受けて、そのうち何%くらいが落ちるんですか?」なんて質問したかったのですが、面倒くさい奴だと思われてマークされても困るので聞けませんでした。

 

まあ、悩んでいても仕方ないのでとりあえず出願です。

 

受験料は郵便局の「普通為替」という方法で払い込みます。

特殊は現有免許なしの場合、受験料は22,750円です。

 

ただ、私は前回一級を受けたときに身体検査に合格しているので、身体検査料(3,450円)が免除となり19,300円でした。

ちょっと高いですが、スクールに通う費用の半額で済むので我慢です。

 

受験料を払ったら、必要書類を揃えてJMRAに郵送で出願します。

出願の翌々日、受験案内、受験票、預り証(レシート)がレターパックで送られてきました。

JMRAさん、今回も仕事が早い!

受験料の内訳です。

学科試験が2,900円、実技試験が16,400円。

 

これで受験申請は全て終わり。

試験日まであと約2週間、ひたすら勉強あるのみです。

 

…と言っても特殊の場合、学科は一級を受けたときに学んだ内容と殆ど重なるうえ、実技も課題が少ないので、それほど対策することはないのですが。

 

対策

独学受験者に欠かせないのが舵社の「PWC LICENSE」。

学科も実技もこの1冊で突破できます。

学科試験の問題が4回分収録されており、これを暗記するだけで学科対策は十分です。

また、実技対策用のDVDが付属しており、映像を通して実技試験の流れを掴むことができます。

 

ちなみにこの本、今までは毎年版を重ねて発売されていたのですが、

2015年度版を最後に現在は絶版となっています💦

舵社に問い合わせても出版再開は未定とのことでした。

 

私はたまたまヤフオクで安く買えましたが、入手しづらくなっているのは確かです。

独学受験者は今後更に減りそうな気がします。

 

学科は一級同様過去問の焼き直しなので楽勝として、問題は実技試験。

「小型船舶の取扱い」「操縦」で構成されます。

 

「小型船舶の取扱い」ではエンジン法定備品・書類艇体からそれぞれ2つずつ点検します。

指定される点検箇所は以下の通り。

 

「操縦」では水上オートバイを操縦してコースを走行します。

走行するコースは以下のような課題が課せられます。

一級と違い、予めコースを覚えておく必要があります。

コースを間違えると減点対象になるらしいので、しっかり覚えておきましょう。

(出典:JMRA)

 

また、実技ではロープワークが出題されます。

巻き結び、もやい結び、クリート止め、一重つなぎの4種類の中から出題されます。

一級のときは7種類でしたが、特殊はその中の4種類でいいんですね。

 

さて、そんなこんなで試験前日。

「PWC LICENSE」の収録問題を1周し、DVDを4回見ました。

ロープワークは前月に一級を受けたこともあり、体が覚えていました。

操縦は不安で仕方ないですが、DVDのおかげで試験の流れは掴めました。

さて、どうなることやら…

 

試験当日(2018.03.04)

さあ、いよいよ試験当日です。

JR総武線の市川駅から歩くこと15分、会場のMGマリーンに到着。

正門前に着くと係員さん登場。

試験会場は別の建物だと伝えられ、プレハブ小屋に案内されました。

 

学科試験

プレハブ小屋には10人ほどの受験者がいました。

皆さん学科試験の最後の仕上げのため参考書を読んでいましたが、いずれも市販されていないスクール独自っぽい参考書でした。

私以外は全員スクール出身者なんだろうなぁ…

 

試験官から諸注意を聞かされた後、試験開始。

問題集で見た問題がそのまま出題されるので楽勝です。

試験時間50分のところ、10分ほどで解答完了。

ざっと見直してから、退室可能時間と同時に退室しました。

 

退室した人から乗艇場所に移動するよう指示がありました。

学科試験の解答も後ほどそこで掲示するとのことでした。

 

乗艇場所に到着。

 

乗艇場所で待機していると、試験官が来て解答を貼り出してくれました。

自己採点すると40問中36問正解(90%)でした。65%正解で合格なので余裕ですね。

さあ、この後はいよいよ実技試験です。

 

実技試験

試験官から呼ばれ、まず小型船舶の取扱い(点検)の試験が始まります。

 

まずは艇体から。

「ジェットノズルの点検をしてください」

「はい!」

ジェットノズルにゴミなどが詰まっていないか指さし確認し、「ジェットノズルよし!」

 

「ドレンプラグの点検をしてください」

「はい!」

ジェットノズルの両脇にあるドレンプラグが締まっていることを触って確認し「ドレンプラグよし!」

 

その他、エンジンの点検では「ビルジ」と「エンジンオイル」、

法定備品の点検では「笛」と「船舶検査手帳」を指定されました。

 

最後はロープワーク。

もやい結びをするよう指示され、これは楽勝でした。

 

これで小型船舶の取扱い(点検)は終わり。

次は操縦です。ライフジャケットを着て試験艇に乗り込みます。

乗艇場所から試験コースまでは試験官が操縦し、受験者は後部座席に乗ります。

 

試験コースに着くと試験官と座席を交代します。

エンジンを始動させ、安全確認後、コース1周慣熟走行。

1周だけとはいえ、感覚は少し掴めました。

 

普通のバイクと違う点で押さえておきたいのは、

①水上オートバイはブレーキは無いものの、スロットルを放すと割とすぐに止まれるということ。

②自転車やバイクは曲がるときに速度を落とすが、水上オートバイは逆に加速しながらでないと曲がれず、前方に流れてしまうということ。

以上の2点、完熟走行でよく理解できました。

 

さて、まずはコース1(危険回避)です。

一定の速度を出しながら、危険回避用のブイの間を通過するというもの。

何とか走行できたと思ったのですが、試験官から速度が足りなかったためもう一度コースを走るよう指示が。

もう一度走行するも、今度はブイ手前でビビッて速度を落としてしまいブイ間を通過できず、コースアウトしてしまいました💦

もう一度リベンジしたかったのですが、コース2に入るよう指示が。残念。

 

コース2(8の字旋回からのスラローム)はぎこちないながらも何とかクリア。

人命救助も一回でクリアしました。

 

以上で操縦試験は終わり。

乗艇場所に戻る途中、試験官と少し会話しました。

 

「コース1で、1回目は速度不足、2回目はコースアウトだったので、そこは覚えておいて」

「(あ、これは落ちたかな…)」

「まあ、他ができていれば受かる試験だから」

「(ん、それとも合格見込み?)」

 

乗艇場所に戻り、試験官に礼を告げて解散。

10分ちょっとしか乗っていないのに、おしりが筋肉痛になりました。

 

試験後の感触として…

コース1では減点は間違いないでしょうが、コース2も人命救助も一応一発クリア。

ぎこちない操縦ではあるものの、安全確認は完璧にやりました。

点検もロープワークもできたし、この出来なら何とか合格では。

 

合格発表(2018.03.08)

さて、待ちに待った合格発表です。

朝10時にJMRAのサイトで検索すると、無事に合格でした。

 

一級も特殊も完全独学で一発合格してしまいました。

これで晴れて免許証の交付申請…したいところですが、実はあと一つ残っているのです。

 

それは特定操縦免許

遊覧船や遊漁船などの船長として人の運送をするのに必要な免許です。自動車免許でいうところの二種免許のようなものですね。

自動車免許のように普通免許取得後3年といった要件もなく、一日受講するだけで取得できるとのこと。

 

どうせなのでこれもサクッと取っちゃおうと思います。

一級、特殊、特定のトリプル申請をすれば費用も節約できますし…

 

→「特定編」に続く!