宇多丸のウィークエンド・シャッフル 秋元康×宇多丸 スペシャル対談 Part1 | モヤモヤAKB

モヤモヤAKB

モヤモヤさまぁ~ず2大好き。AKB48は1推しはゆきりん、2推しはみぃちゃん、3推しははるごん。

(宇)僕らがずっと、色々話し合ってる事って、大きく言って2つだと思うんですけど、アイドルという文化、ジャンルの面白さ、本当の面白さを引き出すにはどういうやり方があるか?という事と、もう一つ、これは完全に表裏一体ですけど、アイドルという物が持つというか、帯びてしまう一種の不幸さみたいな物を解消とは言わないまでも、軽減できないものか?っていうのがずっとあって、それに関して、このタイミングではどうしてもこの件をお話頂かない事には始まらないので、ちょっと伺いますが、峯岸みなみさんの丸刈り動画事件ありましたね、その件に関して秋元さん、どうお考えなのかを率直に伺いたいんですが?
 
(秋)やっぱりメンバーの意志を尊重するって事と、世間での見え方は誤差を生むなと、つまり、いくらメンバーの事を思い、それをストレートにそのまま出してあげようと思っても、多分それが昔の小さい頃のAKBだったら、リアルさとか、そういう風に思ってんだっていうのが直で良かったんだけど、あそこまで大きなニュースになっちゃうと、本人も自分が言った事、した事がすごく大事になって、余計な負荷をかけてしまうのかなと思いました。それはどういう事かって言うと、元々はそういう話があった時に、峯岸の方から自分でファンの皆さんに伝えたいと、その方法がYoutubeってのは前の前田敦子が選挙を辞退する時の、あれが一番良いんじゃないか?という話になり、じゃあそれでって話でスタートしてたんですね。ところが、本人がもっと自分が反省してるという事を表したくて、そういう行動をとったと、それがある種の気合だったと思うんですよね、多分、本人的には。ただ、それが気合とか以前に、それはある種のその場にいたヘアメイクとか、分からないですけど、管理責任も問われるだろうし、大人としての周りの反応とかも問われる事を本人は逆に心配しちゃってるって所が、どこまでが、今AKBが抱えてる問題はそこなんだ思うんですよね。昔のように、リアルだから良い、あるいは本人の気合が入ってるから良いとか、そういう事ではなく、それがAKBを知らない人、AKBという活動を知らない人にとっては、ある日、奇異な姿が、まあ僕もYoutubeを見て、チェックをする間もなく出てしまったので、それは当然、ずっと全員の事を見ている訳ではないので。
 
(宇)どの段階でお知りになったんですか?
 
(秋)Youtubeです。もちろん、謝罪コメントをしたいっていうのは知ってましたし、謝罪コメントを撮りますってのは聞いてましたけど。
 
(宇)丸刈りなってるっていうのは?
(秋)それは途中で連絡は入りましたよ、でも、想像ではちょっと短くしたんだろうな程度に思うじゃないですか。
 
(宇)その後、峯岸さんご本人とお話したりとかは?
 
(秋)メールのやりとりでも、電話でも話しましたね、でも、本人はやっぱり事の大きさ、事が大きくなっていくことに対しての不安ですよね、つまり、その事が逆にAKBに迷惑を掛けたんじゃないかって。
 
(宇)これは秋元さんもそう思われてるかもしれないですけど、まわりの大人はこれが有りだと思ったっていうのが、僕ら的には信じ難いっていうか、あまりにも世間一般の常識と乖離(かいり)しすぎているというか、なので世の中の人は秋元さんが指示したと思って、誤解している人だっているだろうし。
 
(秋)もちろん、当たり前だけど、僕がその場にいたら止めたでしょうね。ただ、問題はそこに僕が居て止めたか、止めないかという事よりも、そうまでして、反省の意を見せたかったっていう事に、もしかしたら今までのスキャンダルと対峙する事への難しさってのがあるのかなって思いましたよね。
 
(宇)僕がもっとディープなAKB一筋のファンで、峯岸さんのファンだったら、その気合は良し、みたいな受け方するのも可能で、有り得ない話では無いと思うけど、丸刈りじゃなくても、こういう事が起こる度に世間との距離感みたいなのが改めて浮き彫りになっちゃうと思うんですよ、アイドルという文化と。恋愛禁止っていうのにそれなりの妥当性があるのは、みんなそうなんでしょうねとは思いながら、そんなに罰せられる事なの?っていうのが世の中的には・・
 
(秋)ちょっと違うかな。一つは、そこがAKBの中で難しい所なのが、出来るだけファンの皆さんとメンバーの距離感を近くしたい、例えば一つの判断はSNSのようなGoogle+のようなもの、あるいはTwitterみたいなことを許可している時点で、もう情報は駄々漏れで、でもそれを含めてAKBだなってのがあって、もしかしたらそういう事も本来ならばもっと、あれもダメ、これもダメ、あるいは世間に対してそういう事しちゃダメ、あるいは謝罪のコメントなんか無しとかっていうのも出来なくは無いと思うんですよ。
 
(宇)もっと完全管理した状態ってのは可能だと。
 
(秋)そう、そう、そう。だけど、果たしてそれが良いのかなというのがあって、どうなのかな、まだ結論は出ないですけどね。ただ、決してね、大人達が嗾(けしか)けたとか、大人達が黙認したとかではなく、本人の思いってものがどこまで伝えて良いものなのかってことですよね。
 
(宇)尊重した結果っていうね、ちょっと本筋とはズレますが、ちょっと心配なのは今、峯岸さん大丈夫かなってっていうのが、むしろ今の状態の方が心配っていうか。
 
(秋)もちろん元気ですよ。だけど何をやっても、本来は僕がこういうコメントをすれば、したで炎上するし、本当はそういうことはコメントしない方が良いなとは思うんだけども、今日はせっかく宇多丸さんが先週のも聞かせて頂いたし、ちゃんと話すべきだなと思って話すんですけど、例えば、一大事になったと、峯岸が、本人も慌てて、当然、周りもみんな、どうした、どうした、何だこれはって事になるじゃないですか、そうなりました、そしたら今度は周りのメンバーが、初期メンバーが大変だっていうんで集まった、それは僕らが知らないところですよね、メンバー同士が集まった、彼女達はみぃちゃんがそんなにね、深刻で大変じゃ無いんです、気合なんですよっていうような事をやろうと思って、写真撮ったんでしょう、ピースして。今度はお前反省してないのかってなる。メンバーもすごい可哀相だなと思うな。
 
(宇)そうですよ。でも、あの絵面がはっきりネガティブな物としてある以上は何かやっても炎上、やらなくても、言わなくても邪推を生むし、秋元さんの指示なんでしょどうせ、っていう思ってる人だって当然いるだろうし、自分でやったんじゃなくて、やらされたんだって誤解してる人もいっぱいいるし。ただ、彼女がそこまで思い詰めるような事なのかっていうのが世間から見ると、異様な事に見えちゃうと。
 
(秋)それは分からないよね。分からないっていうのは本人がどこまでそれを問題視するか、例えば、これはもう誤解を呼ぶから言いたくもないし、言わないんだけども、僕は恋愛禁止条例ってのは一つのネタとしては歌にしたり、ネタとしてはそうだよな、うちは恋愛禁止条例だからなって言ってるけど、テレビのコメントでも、何だっけな、EXILEの番組に出た時も、うちは緩いからねとか言ってるように、決して、恋愛が禁止なんではなくて、メンバーにも言ったんだけど、高校野球で甲子園を目指してる人は多分、恋愛してる時間が無いんじゃないかと、分かんないですよイメージで言うと、多分、ガールフレンドと会ってる間、もしかしたら素振りをしたのかもしれないし、あるいは朝から晩まで走ってるのかもしれないし、っていうようなことで、それはなかなか難しいかもね、でも、本当に好きな人ができたら、それはしょうがないんじゃないかって話はしてましたよね。
 
(宇)ただ、ペナルティーみたいなものもあるわけじゃないですか、それもネタなんですか?
 
(秋)いや、ペナルティーはネタっていうと面白がってるみたいだから、そうじゃなくて、どうしたらメンバーは今まで応援して下さったファンが許してくれるだろうかって事を考えると思うんですよ。
 
(宇)許すねぇ、要はユーザーがやっぱりそれを望んでいない以上はってことですかね。
 
(秋)そうでしょうね。はっきりしてますよね、スキャンダルが出て離れちゃう人と、何かすることによって、イメージで言えば社会奉仕みたいなお掃除10時間とか、昔よく言ってたのがトイレ掃除とかそういうのも有りじゃないのっていうのはありましたよね。
 
(宇)うちのラジオのコンバットRECという男が提案した、せっかく総選挙というシステムがあるんだから、自己責任というか、恋愛ありというか、自己責任で引き受けたという上で順位を付ければ良いじゃないのっていうような事を言ってたりしてましたけど、それはどうですかアイデアとして?秋元さんが仰ったのは恋愛するなとは言ってない、ただ、ファンの人がそれで納得するかどうかは別問題。
 
(秋)今年どうなるか分かりませんけど、やるとしたらそうなるでしょうね、きっと。みんな厳しく何か、禁止令でこういうペナルティーがあります、例えば、一番ファンの方が仰るのは、何で、ペナルティーが違うんだと、それはルールが無いからなんだよね。ルールが無いし、ペナルティーの規則も無いから、例えば、ずっと噂があるけど気を付けなさいってマネージャーが指導したり、あるいは遅刻してくるんでそれはダメだよっていう事があった上での何かと、あるいは何にも無くて過去の事だったりとか、あるいはキャラクターとか、そういう事で何か考えることはありますけどね。ただ、もう万策尽き果てた(笑)、つまり、メンバーに任せると自分の中のアピールも出てきちゃうし、何やっても狙ってると思われちゃう。だから、コンバットRECさんの仰るように自己責任で好きなようにして、それでファンの皆さんが、あいつは彼氏いるらしいけど、悔しいと思いながらも応援しちゃうかもしれないし。
 
(宇)要は恋愛禁止とか、そのアイドルの在り方っていうのは80年代半ばからのレギュレーションが2013年に残っちゃってるのがちょっと不自然だなって。 
(秋)多分ね、一番の問題はどこにあるか、僕も先週の放送を聴いて、考えたんですよ。一番はAKBが一応見えるからなんですよ、ガラス張りで中が。これは80年代から先人達は正しかったなと思う。そこで全てごちょごちょした物を、あるいはスキャンダラスな事も全部見せないで、あるいはもしも、そういう事があってもこれをちゃんと隠すような事をしていかなきゃいけなかったのかなとも思う。
 
(宇)ただ、今は隠すと言っても昔と違ってネットもありますし、監視社会というかね、みんなの目もあるから。
 
(秋)もちろん、そうなんだけども、その事によって時代と共にアイドルという名のミステリアスな部分、つまり、アイドルってのはトイレもいかないんだという80年代神話が、Twitterでトイレ行ってたよっていうのがある訳じゃん。
 
(宇)秋元さん自身が80年代半ばに、それを壊した張本人なわけじゃないですか。可視化、リアル化方向もやっぱり先駆者であり、未だに最前線じゃないですかAKBは。
 
(秋)そこはね、僕の中でも結論が出てないのは、横山がぐぐたすの中でトイレの紙が無くなったとかっていうのをそんなアイドルいなかったよね。
 
(宇)そういうのは良い事だと思うんです。
 
(秋)それが良い事だから、Google+で迫られたんですよね。ブログはマネージャーに送って、マネージャーがチェックしてあげてたと、でもGoogle+に関しては間に合わない。だから、見せたい部分、それは良いですよねと同じくらい、それは拙いんじゃないのって事も出てくるわけだよね。
 
(宇)故に、丸坊主とか、それは社会常識に対して大人の意見も入る間もなく、出たりすることも有り得る。
 
(秋)有りますよね。例えば炎上する事がいっぱいありますと、でも炎上するかもしれませんという事を言われた時に、それは何が社会のルールでいけなくて、何が誤解を招いてって事は自分が学ばないと分からないから、それは僕らが腹を括るしかないよねっていうのがその時の僕のコメントだったんですよ。それもある程度の指導した上でないと、ちょっと大変かなってのはありますよね。
 
(宇)僕が思うにですね、指導とか、ケアというか、そこの問題のような気がするんですけど。例えば、総選挙というイベント、あれは僕らが露悪的な言葉を使って言うなら、残酷ショーじゃないかと、例え芸能界が熾烈な競争の世界とはいえ、目の前で順位付けられて、その様が残念ながら大変面白いのも事実だけれども、残酷でもあると。僕が思うのはあれをやるならば、終わった翌日から数日掛けてでもいいから、秋元さんが全員と面談してその順位の分析とアドバイスみたいな事を、それこそが最高のカウンセリングだと思うんで、そういうケア、あるいは日頃の、例えば去年のある時期までの前田敦子さんとかが大変追い詰められているように見えると、前田さんに限らず、ここまで事故というか、彼女達が自分で思い詰めちゃってみたいな事が起きてないが、ぶっちゃけ運が良いだけじゃないのかっていう、何かそういうメンタルケアみたいな事をされるって動きは無いんですか?
 
(秋)相当メンタルケアしてますよ。各マネージャーから、もちろん僕が直接気付いた事であれば、どんな下位メンバーであれ、例えば研究生で僕も名前がよく分からない子でも、僕がその子のメールアドレスを訊いたり、マネージャー経由で指示する場合もありますし。AKBっていうのはそんなに世間が思うほどビジネス、ビジネスでもないし、もっと学校に近い感じだと思うんですよ。例えばAKB商法とか言われるけれども、商法だとしたらもっと楽な方法があると思うんですよね。握手会にしてもね、握手会ってすごいお金が掛かって、お金だけじゃななくて手間も掛かって、すごい大変な事をしてるのは、AKBの元々会いに行けるっていう、昔はねそこで麻里子、明日頑張れよとか、あっちゃん、もうちょっと元気が出ないと省エネダンスみたいに見えるよとか、手の伸ばし方が悪いんだよって事を言えたんですよ、それが劇場が満員になって入れなくなって、そうなるとそういうチャンス、自分がアドバイスして、確かに昔はアドバイスによって手を伸ばして綺麗になったりした子もいたんですよ、ダンスが、僕も劇場に来てロビーでみんなの話を聞きながら、なるほどなと思う事もいっぱいあったし、だから割と僕は宇多丸さんのラジオとかもそうだけど、みんなの話を聞いて、なるほどなと思う事はどんどん取り入れていくし、そういうものがどんどん場が無くなってくると、握手会という近さがね良かったりするのかなとも思うし、ただ、それが正解なのかも分からないのね、まだ。 
(宇)そのケアとかもしていると、そこも可視化しちゃえば良いじゃないですか、秋元さんの姿だけが不可視なのがあらぬ妄想を抱くんだと思うんですけど。
 
(秋)そうかもしれないけども、メンバーを守る為には可視化できない部分もあるから、そうなると運営なり僕の責任にしてた方が良いかなって所ものね。 
(宇)何かいたぶって、面白がってるだけじゃないかって風に見えちゃう、それは本意じゃないわけじゃないですか。僕も自分達で残酷ショーだって言いながら、この間の映画秘宝でも言ったんですけど、ちょっとそれは言い方として語弊あるなと、本来なら人気が無い子は、ただ表舞台から消えていくだけの所が、あの子落ちちゃったっていうのが見えるという事の良さもあるなって思って。
 
(秋)一番のテーマはみんながセンターを目指すが、センターは一人しかいないと、どんな時でも。その時に自分の居場所を見つけるってことが最大のテーマなんですよね、AKBにとって。僕はそれが自分のプロデューサーとしての使命だと思ってて、もちろんセンターに相応しい子、センターでいこうって子もいるんだけど、だからヒントをくれってのが一番なんですよ。例えば指原はヒントをくれたんですよ、2.5秒しか映ってないんですっていう、そうすると2.5秒しか映ってないって事が何かで引っ掛かってくるし、内田眞由美って子がね、1回目のじゃんけん大会で優勝して、でも圏外だったんです、総選挙で、それで自信を無くした、だけど、ある時コント番組で岩の被り物したでしょ、それがすごく面白くて、今は本まで出せるようになった、あるいは仲谷がずっと声優になりたくて非選抜アイドルって本を出してそれがベストセラーになった、つまり何か、大堀ならセクシーとか、何かヒントがあるとそこから拡がるんだけど、前田あっちゃんのようにセンターにいきたいとか、たぶん今回の高橋栄樹監督の作品もセンターとは何なんだろう?センターを目指すものたちは何なんだと、だから先週の放送でちょっと違うのはあれは模してる訳じゃないんだよね、再現ドラマのようにしてる訳ではなくて、単純にもしかしたら、こういう事なのかなというイメージ映像なの。
 
(宇)初期の前田敦子さんの後ろ姿を模してるのはドキュメタリーとしてはやり過ぎじゃないかって言いましたけど。
 
(秋)あれは模してるんじゃなくて、イメージだと思うんですよね監督の、だからわざとガラガラの客席を作った訳でもなくて、たまたま撮影が空の劇場を使って、何期生かの女の子達を使って、あなた達はセンターになりたいですか?なりたいです、っていうようなのを撮ったんだと思うんですよね。
 
(宇)センターとそれ以外、敗者というかセンターがたった一人の勝者だとすると大抵の人は敗者なわけだけど。
 
(秋)敗者ではないんだよね。
 
(宇)言い方がちょっと刺激的かもしれませんけど。
 
(秋)僕はよく野球に例えるんだけど、野球でリトルリーグから4番でエースでピッチャーでね、それがプロになりたい、野球で有名な中学、高校に行くと、すごい人達が集まってくるわけじゃないですか、その中で必ずしも野球が好きなのか、4番を打つ事が好きなのか、ピッチャーが好きなのかによって違ってきて、どこかでみんな、俺は野球が好きなんだと、もしかしたら裏方にまわる人もいるし、そこがAKBの中でどういう道を見つけてあげるかという事が、大切だと思うんですよね。
 
(宇)因みに秋元さん、おニャン子の時から本来だったらアイドルの中でははじかれちゃうような人に役割というか、スポットを当てるみたいな事をあの頃からやってますよね?元祖っていうか、それは今と同じ意識が最初からあったんですか?
 
(秋)そうですね。プロデューサーってのは0を1にする作業ではなくて、0.1を1にする作業なんで、0.1を探してるんですよね。だから小嶋陽菜はセンターならないけど、こいつのギャグセンスは世界一だなとか、みぃちゃんのアドリブで喋らせたらこの人は天才だなとか、指原のヘタレぶりは面白いなとか思うんですよね。
 
(宇)そういう目線でご覧になってると、彼女達が決して上手く拾えない人もいるでしょうし、今回の峯岸さんとか、彼女達をどうにも不幸になってしまう瞬間みたいなのって、しょうもない質問ですけど、秋元さん自身、胸が痛んだりとかってあるんですか?
 
(秋)もちろんそうですね。
 
(宇)今回の映画でいえば、戸賀崎さんが泣いてるじゃないですか、あれ見て目から鱗というか、そりゃそうだよなっていうか。
 
(秋)たぶん僕と窪田君っていうオーナーと、戸賀崎が今まで劇場を含めAKBで一番泣いてる思いますよね、感動も含めて、悔しいって思いもあるし。
 
(宇)例えば平嶋さんとかがああいう形で辞めざるを得ない、秋元さん的には忸怩たる思いがあるわけですか?
 
(秋)ありますね。平嶋ともずっとメールのやりとりをしたし、次にどうするかだと思うんですよ。結局、起きてしまった事をあーだこーだ言っても、しょうがないですよね、彼女達もどうしたら良いのか分からないから。平嶋に関しては辞退しますって言うから、その後どうしようかって事を考えますよね。プロダクションにもお願いして、クビにしないでくれって事も言いますし、どういう機会で力になってあげられるかも考えますよね。一番はそれぞれが同じ方向じゃなくて、バラバラしたところで芽が出るから。
 
(宇)こうやって伺うと、ものすごい目配り届いてて、素晴らしいと思うんですけど、何ですかね、この見え方との乖離は?
 
(秋)一つは説明しないって事がありますよね、もう一つはそれは僕がそう思ってるだけで実際は目が行き届いてないところもいっぱいあますよ。
 
(宇)目が届いていないが故なんですかね。
 
(秋)もちろん全部が200何人一つ一つの事で言えば、それは無いんじゃないのって事もいっぱいあるし、その判断はないでしょって事もあるし、後はスタッフを育てる事だと思うし。
 
(宇)あと本質としてですよ、面白さっていう所と、残酷さは背中合わせだったりするじゃないですか。
 
(秋)残酷にしたいとか、先週の放送でも負荷って仰ってたけど、負荷を掛けたいなんて事は何も思ってないですよ。
 
(宇)例えば試練がある、課題がある。
 
(秋)試練とか課題とかではなくて、動いていくわけじゃないですか進行形で、その次に行くのはこっちだ、次に行くのはこっちだってことがあって、ある人にとってはGIVE ME FIVEって曲で今度はみんなでバンドをやろうと、バンドでどうしようか、前田はリードギターなとか、柏木はドラムなっていった時に、それをドラムやらなきゃいけないのっていう負荷と感じるか。
 
(宇)あれは良い試練だし、演奏がプロと比べたら多少ダメでも見てる側は達成感も含みで、あれは珍しく本人達も楽しそうだし、こっちも楽しい、こういうのもあるんだと思ったんですけど。
 
(秋)例えば指原が何かありましたと、本人の話も僕はそんな聞かないですよ、だってよく分かんないもん、本人がさ本当のところどうなんだ?って言っても、本当のところもあやふやだし、そうなった時に指原らしいのは何なんだろうってことが、たまたま福岡でそろそろメジャーデビューもしなきゃいけないし、じゃあまとめる役として行くのが良いんじゃないかなと思ったとか。
 
(宇)あれも結果的にウィンウィンになった感じもあるから、何だろうな、やっぱり総選挙とかのイメージなんですかね、もっぱら総選挙のイメージで僕も含めて語りがちって事でしょうかね?あれは結構、厳しい感じがするじゃないですか。
 
(秋)たぶん可視化した事によって、全てが大変に見えてくるんでしょう、でも本当は日常で行われてる事なんですね。例えば昔のねるとんとかもそうじゃないですか、呼ばれなかった人って、残された女の子っていつの間にか消えてるんですよ、でもね、テレビをずっと作ってきて思ったのは、アイアンシェフね、料理の鉄人なんて昔からああいう企画ってあったんですよね、だけど負けた方どうすんの?と、プロじゃん、プロが負けたらシャレにならないよねってのがあって、でもそれをフジテレビのスタッフが上手い形で、出てくる事だけでステータスなんだよっていう風になった、あるいは、ほこ×たてとか、負けたらお互い会社同士なんだから、でも結局そういう時代なんだと思ってるんですよね。だから、総選挙って1位以外みんな納得してないんですよ。その納得してないってことが1年目にやって悪い方向に行くんだったら止めようと思ってたんだけど、一つの目標になり、自分の位置を知ることになり、ってことがもしかしたら勝ち負けよりも、負けても勝っても良いんじゃないかって事が一つありますよね。
 
(宇)まあ、上位はそれでも良いんですけどね、ねるとんでいうスーって横に引いてく女の子達のように最後の方に残ってる子達とかを見ると。実際、今回の3作目のドキュメンタリーでも光宗さんがドテーって、ずっとあの何時間か苦しんでたかと思うと、しかもそれに対してあの作品内では何の説明も無いし、結果、辞められたって事実があるだけで。
 
(秋)あれは今の光宗のコメント欲しいよね。
 
(宇)因みに今回の3作目も含めて、どの程度秋元さんの指示というか・・
 
(秋)一回目のラッシュを見て、感想を言いますけど、やっぱり英樹監督に任せますよね。
 
(宇)今回も見て、そういう時ってどういう指示を出されるんですか?
 
(秋)指示じゃないです、感想です。やっぱりこれは監督の物なんで、あそこはこうして欲しいっていうのは無いですね。
 
(宇)大筋としての、例えば2作目の、言っちゃえば露悪的な、ちょっとダークで痛い所を出しましょうとか、今回はセンター論で行きましょうとかっていう大筋は指示されたりするんですか?
 
(秋)しないですね。もちろんミーティングはしますけど、監督が何をやりたいか、ただプロデューサーとしては2本目と3本目っていうのが単なるAKBの1年のスケジュールを追ってるような時系列で並んだものだとつまらないんじゃないですか?って話はしたけど、でも今回がセンター論で前回が涙でとかは無いですよ。ただ、奇をてらった事をやろうというよりも、監督の思いですよね。たぶん2作目に被災地の映像を入れたのは、彼が岩手出身で思いがあって、でも監督ってそういう客観性よりも主観がもっと強くないと、ドキュメンタリーといえどもね、なきゃいけないと思うんで、良い意味でも悪い意味でも監督作品だと思いますけどね。
 
(宇)僕はこの2作に高橋英樹さんのAKBに対する客観的なっていうか、単純にこN少女達が可哀相じゃないかとか、これでいいのかなみたいな、そこをすごく英樹さんの気持ちっていうか、考えてる気持ちの部分をすごく強く感じたんですよね。恋愛禁止の部分に関しても、明らかに、後の峯岸さん事件を知ってればこれはやっぱり今、彼女がこの中で葛藤してる、結果として分かるって事だけど、でも、たかみなでさえ、全員に有り得る事だなんて言ってるってのを出すという、映しちゃって見せること自体に、何か今のままで良いんですかねっていう、問題提起とまではっきりしたものじゃないけど。
 
(秋)それはたぶん高橋英樹だけではなく、未知な事をやってるのでスタッフ全員にあると思うんですよ。例えば冒頭に申し上げたように女子高みたいなもんだからね、女子高で本当にこの教育方針が正しいんだろうか?目を離せばもしかしたら制服を脱いでどっかに遊びにいくやつもいる、それは良いんだろうか?とか、そういう事も含めて正解が無いんですよね。
 
(宇)束ねるのに一種の規律は必要だろうし。
 
(秋)それは宇多丸さん達がきっかけでって事は無いんですけども、今は臨床心理士であるとか、スクールカウンセラーとかもベタつきで付いてますよ。
 
(宇)まじですか?
 
(秋)だけど、毎週のように先生がいて、アンケートを取っても、それで今の女子高が悩みがなくなるかって事でも無いし。
 
(宇)僕はやっぱり秋元さんが直接話すのが一番のカウンセリングだと思いますけどね。
 
(秋)もちろん僕が見て、これはちゃんと話した方が良いなと思うものはやりますけど、全部は無理ですよね。
 
(宇)去年の前田さんとかってどうですか?
 
(秋)前田は一番ミーティングしてたと思いますけどね。
 
(宇)それでもあの感じなのかな。
 
(秋)そうだと思いますよ。性格もあるじゃないですか、ストイックで、だから卒業の時も当日まで本当に僕も分からなかったですよ。当日の朝、最後のメールをしたんですよ、まだ辞めない方が良いんじゃないか?もうちょっと自分のドラマとか映画とか代表作を作って、あるいはコマーシャルだってちゃんとしたのをいくつかやってからの方が良いんじゃないかとか。
 
(宇)秋元さん的にはそうだったんですね。
 
(秋)そう、そう。でも最後は前田に任せると、前田が自分が行かなきゃいけないっていう、意外にあの子ってそういうのを背負ってるですよね、あんなヘラヘラしてる感じで、でもAKBでは私が行かないと次が行けないっていうのがあって、その思いと怖いって思いが揺れてたと思うんですよ。だから僕も本当に分からなかったですよ、さいたまスーパーアリーナで。
 
(宇)BUBKAチームと我々は言ってるけど、俺らが勝手にみて、完璧なタイミングだぞって、ぜんぜんそういうんじゃなかったんですか?
 
(秋)やっぱり事実は面白いよね。よくね総選挙のコメントとか秋元さんが書いてるんですかとか、書いてたらあんなリアルに言わないよって、もしも俺が書いてあれだけ言えたらあいつらはみんな名女優だと。もちろん前の段階でどこかで話したようなことを憶えてて、そういうのはあると思いますよ、だけど基本的には無い。前田のもさいたまスーパーアリーナの関係者席で見てて、あれ?言うのかな?って。言うとしたら、最後の会いたかったの前、各プロダクションに移籍してみんなこれから頑張ろうねって言います、で高橋みなみがまとめます、で会いたかったに行きます、ここのタイミングしかないからねって事だけは言ってあったんですよ。これはどうなんだろうなって思って、その状況は僕しか分からないから、そしたら前田が胸に手をあてた時、これは言うなと思って。あの時点で大人の事情が飛ぶ訳じゃないですか、これは電通にまず契約問題を・・
 
(宇)やっぱりそうなんだ、色んなCMとかそういう。
 
(秋)そりゃそうですよね、今までのアイドルだったら、まずそれを全部整理して、お話してじゃないですか。
 
(宇)僕らは前日かな?移籍で松井珠理奈さんがAKBとか、それって前田さんが居なくなる事を前提とした、次期センターっていう布石の・・
 
(秋)それがAやっぱりKBの面白いとこだよね
 
(宇)マジック起きちゃったと。
 
(秋)いや、AKBが面白いってのは、要するにそういう風にみんなが深読みしてくれるから(笑)だって、じゃんけん大会で島崎が優勝した事が八百長だって言われてるところが面白いなと。
 
(宇)だって麻里子様の次に島崎さんってそんなうまい話あるかい!って思っちゃうけど、秋元さんがついてるところですよね。
 
(秋)でも、面白かったですよね。
 

 

Part2へ

 

※Part2に音源(MP3形式)のリンクがあります。