エージェント6 | そういえば、昔は文学少女でした。

そういえば、昔は文学少女でした。

クリスマスと誕生日に一冊ずつねだった、「世界少女名作全集」。図書室の本を全部借りよう、と思ってた中学時代。なのに今では読書時間は減る一方。ブログに書けば、もっと読むかも、私。という気持ちで始めます。洋書から雑誌まで、硬軟とりまぜ読書日記。

エージェント6(シックス)〈上〉 (新潮文庫)/トム・ロブ スミス
¥740
Amazon.co.jp

エージェント6(シックス)〈下〉 (新潮文庫)/トム・ロブ スミス
¥820
Amazon.co.jp

なんて久々の更新なんだ!自分のパスワードも忘れてた!

いやもう、トム・ロブ・スミス、すごいです。79年生まれってウッソでしょ、という迫力。

衝撃デビューの「チャイルド44」のときに、何を勘違いしたかロシアの小説だと思い込み、原書は無理だなーということで翻訳版を読んだのですが、田口俊樹さんの邦訳も素晴らしいので、キンドルLoveの私も、あえてこのシリーズはすべて日本語で読みました。


どこまでフィクションなのか、こんなこと書いていいのか?と思うほどに、スターリンらのソ連の悪政、ひどすぎる密告と私刑と貧困と無情を描いてきたシリーズですが、冷戦相手のアメリカと渡り合う本作の時代になって、俄然リアルに感じられるようになりました。


主人公レオは、かつて秘密警察の刑事として活躍した立場ながら、今は平穏に愛する妻と二人の養女との生活を噛み締める毎日。むしろ妻ライーサのほうが、教師として頭角をあらわして、生き生きと働いています。本作では、そんな夫婦の若き日の出逢いを初めて描き、へえええ、と意外なレオのロマンティストぶりを教えてくれます。


やがてライーサと娘たちに持ち上がるアメリカ行きの話。平和を歌う音楽使節団としての旅のはずが、とんでもない陰謀に巻き込まれて、レオの家族に大変な危機が!!!というのが上巻。


そこで何が起きるのか言っちゃうと、これから読む人に申し訳ないので書けませんが、まあとにかく大事件。

そして下巻はアフガニスタンに侵攻したソ連軍、っていう凄まじいところから幕を開け、ドラマティックな展開を繰り返して、驚愕のラストへ!


自由とか正義とか、愛とか、簡単に口にできなくなるような、でも少しそれらについて考えさせられるような壮大な物語でした。かといって堅苦しくなく、一級のエンターテインメントとして楽しめます!

エージェント6、そういう意味だったのか!