Dearly Devoted Dexter | そういえば、昔は文学少女でした。

そういえば、昔は文学少女でした。

クリスマスと誕生日に一冊ずつねだった、「世界少女名作全集」。図書室の本を全部借りよう、と思ってた中学時代。なのに今では読書時間は減る一方。ブログに書けば、もっと読むかも、私。という気持ちで始めます。洋書から雑誌まで、硬軟とりまぜ読書日記。

Dearly Devoted Dexter/Jeff Lindsay
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キンドルには時々すんごい誤植があって、まあある程度は仕方ないよね、と思ってたんだけど、これはびっくり。

だって、著者名が「ハーラン・コーベン」になってるんですよ、私のキンドル。

っていうか、「ハーラン・コーベン」だったから買ったんですが、全然別人、ジェフ・リンゼー作だよ?

アメリカで人気の異色ドラマ、「デクスター」の原作第二作、です。

昼間は警察官で夜になると殺人鬼、っていう設定はどこかで聞いたことがあって、うっすらと知っていました。その第二弾を、別の作家に書かせたのか、フーン、と思ってたら、違った。

何がどうして間違ってしまったのでしょうか。

この場合、書いてもない作品の著者になってしまった人と、自分が書いた作品なのに名前が出なかった人の、どっちの迷惑度が高いのだろうか・・・

ともあれ。

相当ヘンです。全編ブラックユーモアに包まれていて、不謹慎、悪趣味、だけど笑ってしまう。

法で裁けない悪者を、闇に葬る、というのは、「必殺仕事人」なんかでおなじみの設定なんですけども、デクスターの場合、単純に人を殺したくてウズウズしている、っていうところが他と違う。自分で自分のことを異常者だとわかっていて、僕さえいなければ世界は確実に少しよいものになるだろう、なんて思ってる確信犯。

さすがに、罪もない人々を殺すことには抵抗があるので、獲物にはそりゃあ、悪い奴をセレクトしています。。。

この作品では、いたいけな子供たちを餌食にしている変態小児性愛者がターゲット。もちろん「制裁」を加えます。でもどうやら共犯者がいるようで、そっちのほうも退治しなければならない、と思っている矢先、昼間の本業のほうで、厄介な事件に巻き込まれていきます。

被害者の体をパーツごとに切断し、それでもなお殺さずに生かした状態で放置する、というとんでもない猟奇事件の発生です。しかも、夜の行動を同僚に怪しまれて、ずっと尾行されるデクスター。困った・・・

少しでも自分に対する疑惑の目をそらそうと、彼はカモフラージュで、ある女性とつきあっているふりをします。

この相手=リタは、前夫がDV男でさんざんな目に遭って、男なんて懲り懲り、と思っているところがデクスターにはちょうどよかった。ガツガツ迫ったりしない優しいデクスターに、子供たちともどもすっかり打ち解けて、傍目からは本当に微笑ましいカップルに見えるふたり。

ところが、偽装恋愛のはずが、だんだんリタたちとの時間が快適に感じられるようになってきて、デクスターはちょっと戸惑います。嬉々として悪い奴を殺しに行きたいのに、居心地のよいソファでビールを片手にまどろんでしまったりして。どうした俺!?って感じ。

一方異常切断魔の次なる標的は、デクスターの妹デボラのカレシ、カイル。FBIからマイアミに派遣されてきたカイルは、いつも小指にキラキラのダイヤの指輪をしています。ある日カイルは犯人に連れ去られ、デボラのもとに届いた小包にはその指輪つきの手が・・・ぎゃー!

デクスターは無意識にその指輪をポケットに入れていたものの、リタの家でうっかり彼女にそれを見つかり、婚約指輪だと勘違いされてさあタイヘン。泣いて喜ぶリタに、真相を話すわけにもいかず、結婚に向かっていくのか俺?状態・・・

全くもって悪ふざけが過ぎるお話ですが、自称モンスターであるデクスターの心に、それでも良心や愛情が垣間見えて、なんだか憎めないのです。

勘違いから購入したとはいえ、結果的には面白かった。シリーズの他にもあたってみようかな。