idoru | そういえば、昔は文学少女でした。

そういえば、昔は文学少女でした。

クリスマスと誕生日に一冊ずつねだった、「世界少女名作全集」。図書室の本を全部借りよう、と思ってた中学時代。なのに今では読書時間は減る一方。ブログに書けば、もっと読むかも、私。という気持ちで始めます。洋書から雑誌まで、硬軟とりまぜ読書日記。

Idoru/William Gibson
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S.J.Rozanの最新作(キンドル版)の後ろに著者インタビューが載っていて、彼女が面白い、と挙げた1冊にこれがありました。

後から思い出して検索しつつ、「えーと、アイドル、だったよな。idol・・・あれ?idoluだっけか・・・」と何度か失敗。

「idoru」だったのね。こりゃ、英語圏の人にはもっと読めまい。ちなみに日本語訳は「あいどる」ですね。なんだかロリロリの女の子が出てきてしまいそう。


でもこれはそーいうお話ではなくて、バキバキのサイバーパンクなのです。96年作だというのでずいぶん時を経てしまっていますが、近未来の東京を舞台にした、バーチャル・ハードボイルドっていうのか。

始めのうちは何がなんだかちっともわからなくて、投げ出してしまおうかとも思ってたのですが、3分の1くらいまで進んできたところで、ようやく話が見えてきました。


ヒロインのチアはシアトル在住の14歳。ロックバンド、ロー/レズの大ファンなんだけど、ボーカルのレズが、日本のアイドルと結婚を発表したもんだからさあ大変。真相を探りに東京へ飛びます。しかもこのアイドル、実在の人物ではなく、精巧に作られたホログラム・ソフトウエアであるって、どういうこと???


一方その頃、もうひとりの主人公レイニーは、その特殊能力を買われて、あるミッションを与えられ、やはり東京へ。んーとね、情報の海の中から、ある「結節点」を見つけることができるんだって。どういうことなのかよくわからないんだけど、まあとにかく。


21世紀の東京は大地震を経験していて、そこからまたすごい勢いで復興している、という設定。まさにゴッサムシティか、ブレードランナーか、です。

14年前の「近未来」が、どのくらい「現在」を予言できていたのか、という目で見るのもなかなか面白いけど、名刺がないと話が始まらないビジネスマンの姿とか、暴力団山口組とかラブホテルとか、サイバーでもなんでもない

「日本人らしさ」が頻出していて、笑えるような笑えないような複雑な思いも致しますね。


チアは、同じくロー/レズのファンであるミツコの家に泊めてもらい、彼女の兄のマサヒコと冒険を共にすることになるわけですが、マサヒコはネットゲームに没入して部屋にひきこもって学校にも行かない、という秋葉原好きの少年には・・・あんまり見えない。


そしてホログラムでできたアイドルの名前が「レイ・トーエイ」っていうのも不思議。台湾系?


翻訳版を読んでみないと、今回はわからない箇所が多すぎたかも。