The Girl Who Played with Fire | そういえば、昔は文学少女でした。

そういえば、昔は文学少女でした。

クリスマスと誕生日に一冊ずつねだった、「世界少女名作全集」。図書室の本を全部借りよう、と思ってた中学時代。なのに今では読書時間は減る一方。ブログに書けば、もっと読むかも、私。という気持ちで始めます。洋書から雑誌まで、硬軟とりまぜ読書日記。

The Girl Who Played with Fire/Stieg Larsson
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ようやく読んだ、ミレニアムシリーズ第二作。あまりにも分厚いので、持ち歩くのが大変でした。

読んでいて周りから「うわ、なんだそれ?」とびっくりされることも何度かあり・・・でも、読む分にはその長さを感じさせないのだからさすがです。

前作 でいい感じに親しくなったミカエルとリスベットでしたが、一筋縄ではいかない彼女。忽然とミカエルの前から姿を消して音信不通になってしまいます。大金を手にし、海外を渡り歩くリスベット。ぺたんこの胸のコンプレックスを解消すべく豊胸手術に挑戦して、とうとう女性らしいバストを手に入れるエピソードはなんだか可愛らしいのですが、他人とうまく関われない無愛想で社交性ゼロなこんな人が、実際に身近にいたら大変です。

一方ミカエルは、前作の事件で一躍「時の人」になり、危機に陥っていた雑誌『ミレニアム』も復活を遂げているのですが、リスベットに去られた原因がまるで理解できず、いつまでも家を訪ねたり電話をかけたりメールしたり、未練たらたら。そのくせ、長年の愛人、人妻エリカとの関係も続行中で、さらに前回の事件で知り合った女性とも定期的に逢瀬を重ねています。前半は、まるで優柔不断なバカ男に見えるので、こっちも実際に身近にいないで欲しいタイプかも。

そしてリスベットがスウェーデンに戻って、大事件に巻き込まれていくのが今回のお話。

ミカエルは、大掛かりな売春組織と人身売買について取材しているカップル、ダグとミアと知り合います。ダグから、『ミレニアム』での特集と書籍出版を持ちかけられて乗り気になるミカエル。『ミレニアム』スタッフとも意気投合して好かれるようになるダグとミアでしたが、警察上層部にも及ぶ少女買春の大スクープを目前にして、何者かに射殺されてしまうのでした。第一発見者はミカエル。

なぜか現場にはリスベットの指紋がついた凶器が・・・やがて見つかるもうひとつの射殺体は、立場を悪用して長年リスベットをレイプし続けてきて、前作で逆襲された保護司。3つの殺人はすべて彼女のしわざなのか?それとも???

躍起になってリスベットを探す警察、彼女をサイコキラー扱いして興味本位でとりあげるマスコミ、彼女を信じて真相を探ろうとするミカエル、もとの雇用主のアルマンスキー、そしていっこうに行方のわからないリスベット、なぞの男たち・・・それぞれの思惑が入り乱れ、交錯して、読者はどんどん迷宮に引きずり込まれていきます。

途中からはミカエル君もダメ男を返上して活躍し始めますが、それにも増して、かっこいいのがボクサーのパオロです。男はかくあるべし、というのを体現しています。草を食んでる場合じゃないね。

いや別に男だけでなく、リスベットもすさまじくかっこいいのです。絶対友達にはなれそうにないけど。

それにつけても惜しまれる、作者の急逝です。早くシリーズ3作目を読みたいけど、読んでしまったら終わってしまうのがもったいない・・・