Twelve Sharp | そういえば、昔は文学少女でした。

そういえば、昔は文学少女でした。

クリスマスと誕生日に一冊ずつねだった、「世界少女名作全集」。図書室の本を全部借りよう、と思ってた中学時代。なのに今では読書時間は減る一方。ブログに書けば、もっと読むかも、私。という気持ちで始めます。洋書から雑誌まで、硬軟とりまぜ読書日記。

Janet Evanovich
Twelve Sharp (A Stephanie Plum Novel)

く、く、くだらない、と思いながらも、読み出したら止まらないこのシリーズ。Eleven on Top をきっかけに、勢いで続けて読んでみました。

今回のステファニー(ヒロイン)は、前にも増して、謎の男「レンジャー」と抜き差しならない関係に陥っていきます。


レンジャーは腕利きのバウンティ・ハンター。私生活は謎に包まれていて、そこがまた彼女の心を掻き立てたりするのですが、本作では何と「レンジャーの妻」を名乗る女が登場します。黒ずくめの衣装で銃を持ち、明らかに精神状態に異常をきたしてそうな彼女、カルメンに逆恨みされ、困り果てるステファニー。しかも肝心の本人は姿を消したまま、実の娘を誘拐したとして警察やマスコミに追われることになります。さらに、カルメンが射殺体で発見されて、レンジャーはますます窮地に。。。


お仕事勘と女の本能の両方で、これはレンジャーの仕業ではない、と気づくステファニーが、恋人モレリ、レンジャー本人の力を借りながら、真相に迫っていく・・・というのが一応のあらすじ。


だけどエヴァノヴィッチの真骨頂は、そのストーリーテリングではなく、抱腹絶倒のスラップスティックにあるんですね。

ニュー・ジャージーの決してお上品とは言えない登場人物たちの、お上品とは言えない言動に、妙なリアルさが漂って、よくまあこう次々と思いつくよね、というおかしなエピソード満載。ついつい本筋がどうでもよくなっちゃう。

元売春婦だったり服装倒錯者だったり、ガンマニアだったり、変態チックな人もいっぱい出てくるんだけど、へんてこりんをそのまま丸ごと受け容れる度量の深さ、みたいなものが、ちょっと潔かったりもします。

事務所の人手不足に困ったステファニーが、同僚のコニーとルーラと一緒に採用面接をやる場面は、その辺の度量の深さと、そうはいっても「まともな奴はいないのかよ!」というジレンマを描いて、爆笑ものです。


そしてもうひとつの売り物がロマンス。かつては女ったらしで喧嘩っ早くて危険いっぱいだった恋人モレリが、この数年というものすっかり品行方正、家庭志向に変身。SUVに乗ってラブラトールまで飼っちゃって、自分の家族にも受け容れられて。ハッピーなはずなのに今度は自分が結婚に踏み切れないでいるステファニー。そのひとつの原因を作ってるのが、レンジャーってなわけで、モテすぎちゃって困るヒロインの悩み方も、まあ正直でよろしい、という感じですね。

でもこれほんと、マンガだな。