LIFEGUARD | そういえば、昔は文学少女でした。

そういえば、昔は文学少女でした。

クリスマスと誕生日に一冊ずつねだった、「世界少女名作全集」。図書室の本を全部借りよう、と思ってた中学時代。なのに今では読書時間は減る一方。ブログに書けば、もっと読むかも、私。という気持ちで始めます。洋書から雑誌まで、硬軟とりまぜ読書日記。

James Patterson, Andrew Gross, William Campbell
Lifeguard

ジェームズ・パターソンも私はこれが初めて。心理学者にして刑事:アレックス・クロスのシリーズが有名らしいですね。

いろいろ読んでるつもりでも、まだ知らない世界だらけ。これだから小説は楽しいのかもしれない。


さて本作ですが、パーム・ビーチでライフガードをしている青年ネッドが、ゴージャスな美女と恋に落ち、夢のような時間を過ごしたあとに待っていた悪夢そのものの現実・・・ってな始まり方をします。

セレブの集うリゾート地でのラブアフェア、仲間達と企てる、名画強奪での一攫千金。てっきりお気楽なライトノベルかと思いきや、恋のお相手がいともあっさり殺されて、「あれ。あれあれ?」と思っているうちにジェットコースターは動き始めます。


楽勝だと思われた泥棒計画が失敗し、だいじな仲間4人も惨殺されてしまう。そしてこともあろうに、すべての容疑はネッドに向けられてしまうのです。しかも、彼を追っているのはFBIだけではない。魔の手がしのびよる中、ネッドはどうやって逃げ延びて、自分の無実を証明し、愛した人々の無念を晴らすことができるのか?・・・


八方塞がりのこの状態は、かの「逃亡者」を思わせます。誰が敵で誰が味方なのか。真実はどこにあるのか。警察内部にも、もしかして裏切り者がいるのでは?

そんな中、FBIでは女性捜査官エリーが登場。あからさまな男社会に小柄な女子。それだけで、まともに相手にしてもらえない上に、彼女の専門は「美術」。高価な絵が盗まれたから、ということで捜査に加わるわけですが、先輩たちの嘲笑をものともせず、がんばるエリーにはちょっと声援を送りたくなりました。お約束どおり、彼女が主人公のネッドと恋愛関係になっていきます。


それにしても登場人物を死なせすぎ。そしてどんどん死んでるわりに、話のトーンが軽すぎ。タイトルが「ライフガード」って、ガードしてないじゃん?と突っ込みたくなる気持ちを抱えたまま、確かにページはすいすい進みます。1章ずつがとても短く、スピーディにたたみ掛ける展開になっているので面白いことは面白い。


個人的な好みを言えば、恋あり笑いあり、の軽妙な話にするならば、もっと人命を大切に扱って欲しいし、非情なクライム・サスペンスにするなら、主人公の深みが足りないように思えました。


これは、アンドリュー・グロスというもう一人の作家との共著だ、ということも影響しているんでしょうか?

別作品をいくつか読んだら、作風がわかるかな。