- James Siegel
- Derailed
ジェニファー・アニストンの新境地、とも言われた映画の原作本。映画は見ていないのですが、確かに「らしくない」役に挑戦したものです。ミステリアスでセクシーなファム・ファタル、Lucinda。シャーリーズ・セロンのイメージかなあ。
40代の広告マンが、通勤電車で出会った美女と恋に落ち、そこから人生の歯車を狂わされていく、という設定は、まさにDerailed(脱線)なんですけど、普通そこまで脱線するかね、というほど次々にアンビリーバボーなことが起きて、もう、最初どこに線路があったのか全くわからない状態になって、おいおい!なんなんだこの結末は!と苦笑して終わる、という感じのミステリー?です。面白いのかつまらないのかよくわかんない。それなりに読ませるけど、つじつまが何か変。
慌てて電車に乗って、回数券どころか、それを買うお金(9ドル)も財布も忘れてきちゃったCharlesが、車掌に詰問されて大ピンチ(後から起きることに比べればどうってことはない)!と、そこへ10ドル紙幣を差し出したのは謎の美女、Lucinda!妻との仲がギクシャクしていた彼には、二重のラッキーなのだった!
まあそれはいいんですけど、9ドルすら払えなかったCharlesが、電車を降りた後なぜタクシーに乗るの?
さらに、ついにLucindaと一線を越えてしまった日、ホテルで恐ろしい悲劇に見舞われ、殴られて大怪我をして、財布も奪われたCharlesは、その足で病院⇒勤務先、と、いったい誰のお金でたどり着いたのか?
・・・というような疑問には、目をつぶるべきなんでしょうかね。
クライマックスの「事件」やCharlesの「対処方法?」も都合よくできすぎている。詳しく書けないのが残念!
そのうえ、Charlesに主役としての魅力が感じられない~。
著者自ら、有名エージェンシーBBDOのクリエイティブ・ディレクターだそうで、その辺りの楽屋話的ディテールは面白いです。扱い額の大きな花形クライアント、クレジットカードの担当を外され、頭痛薬の担当に代えられるくだりとか、ストラテジー(戦略)スタッフと制作スタッフとの噛み合わないやりとりとかね。
あと、"9 to 5 adman" という表現があって、9時~5時の定時で帰る代理店のクリエイティブなんて、アメリカには存在するんだ!と驚いてみたりしました。