DERAILED | そういえば、昔は文学少女でした。

そういえば、昔は文学少女でした。

クリスマスと誕生日に一冊ずつねだった、「世界少女名作全集」。図書室の本を全部借りよう、と思ってた中学時代。なのに今では読書時間は減る一方。ブログに書けば、もっと読むかも、私。という気持ちで始めます。洋書から雑誌まで、硬軟とりまぜ読書日記。

James Siegel
Derailed

ジェニファー・アニストンの新境地、とも言われた映画の原作本。映画は見ていないのですが、確かに「らしくない」役に挑戦したものです。ミステリアスでセクシーなファム・ファタル、Lucinda。シャーリーズ・セロンのイメージかなあ。


40代の広告マンが、通勤電車で出会った美女と恋に落ち、そこから人生の歯車を狂わされていく、という設定は、まさにDerailed(脱線)なんですけど、普通そこまで脱線するかね、というほど次々にアンビリーバボーなことが起きて、もう、最初どこに線路があったのか全くわからない状態になって、おいおい!なんなんだこの結末は!と苦笑して終わる、という感じのミステリー?です。面白いのかつまらないのかよくわかんない。それなりに読ませるけど、つじつまが何か変。


慌てて電車に乗って、回数券どころか、それを買うお金(9ドル)も財布も忘れてきちゃったCharlesが、車掌に詰問されて大ピンチ(後から起きることに比べればどうってことはない)!と、そこへ10ドル紙幣を差し出したのは謎の美女、Lucinda!妻との仲がギクシャクしていた彼には、二重のラッキーなのだった!

まあそれはいいんですけど、9ドルすら払えなかったCharlesが、電車を降りた後なぜタクシーに乗るの?

さらに、ついにLucindaと一線を越えてしまった日、ホテルで恐ろしい悲劇に見舞われ、殴られて大怪我をして、財布も奪われたCharlesは、その足で病院⇒勤務先、と、いったい誰のお金でたどり着いたのか?


・・・というような疑問には、目をつぶるべきなんでしょうかね。

クライマックスの「事件」やCharlesの「対処方法?」も都合よくできすぎている。詳しく書けないのが残念!

そのうえ、Charlesに主役としての魅力が感じられない~。


著者自ら、有名エージェンシーBBDOのクリエイティブ・ディレクターだそうで、その辺りの楽屋話的ディテールは面白いです。扱い額の大きな花形クライアント、クレジットカードの担当を外され、頭痛薬の担当に代えられるくだりとか、ストラテジー(戦略)スタッフと制作スタッフとの噛み合わないやりとりとかね。

あと、"9 to 5 adman" という表現があって、9時~5時の定時で帰る代理店のクリエイティブなんて、アメリカには存在するんだ!と驚いてみたりしました。