NA花井盛彦手話教室 #1 | 手話 【OFFICE 花井盛彦 】

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今日の【通訳】総合クラスは「読み取りの音声通訳」です。

 

花井先生が表現した短文を音声で発表。スタッフが文章におこして花井先生が添削します。

 

①家族は6人です。夫婦と息子2人に娘1人。お父さんがドーベルマンの仔犬を買ってきました。

ドーベルマンは怖いイメージがあるけど、普通の犬と同じで可愛いです。

 

ドーベルマンはCLです。ピンと立った耳、シュッとした尻尾から読み取ります。

見慣れない単語だと思って、焦ってしまいますよね。ドーベルマンのところでテンポが崩れてしまいました。

 

②君は頭がいいから私の言いたい事、わかるわよね?

諦めた方が正解よ

 

「私の言いたいこと」が「頭がいいと言われてる」になってしまいました。ロールシフトを正しく読み取ることが大切です。

 

③富士山に何回も登ったことがあります。

 

「何回」が「何回?」と訳してしまいました。冷静に表情やNMМを見ると、質問でないのがわかります。

 

④相手が向かってきた。三回連続ローキック、カカト落としもくらってダウンした。

 

相手が向かって来たので「追いかけられた」と訳してしまいました。

よく見るとCLで表す二本の指の一本は、逃げていないので追いかけられてはいません。

そうすると「その場での戦い」のK1やキックボクシングがイメージできます。

 

⑤彼は情報、知識が豊富で何でも分かる。アンテナが高い。

 

アンテナをBSアンテナの様に表現しています。アンテナと言えば、昔の携帯電話の様に「一本指を立てる」と思いがちですが、それだと収集に長けているイメージとは遠いですよね。

「アンテナみたい」ではなく「アンテナが高い」と訳しました。

 

⑥ドアを開けて、突然やってきた相手に殴られた。なんで?「血迷ったか?!」

 

「血迷った」は「頭に血がのぼる」とも訳せますが、何か理由があってカーッとなる場合は、頭に血がのぼるでも良さそうですが、「何でこの状況になったのか検討もつかない」場合は「血迷った」が合っています。

 

⑦イチローは天才ってよく言われてる。でも、イチロー本人は天才だと思っていない。

自分は努力タイプ、今まで少しずつ努力を重ねてきた、とよく言っている。

 

②で「頭がいい」と訳した単語が出てきました。才能の事を言っていますので「天才」と訳せますね。

 

⑧バレー代表選手。オリンピックに向かって一生懸命、頑張って練習をしてアキレス腱のケガをしてしまった。コーチが『焦るな、オリンピックまでまだ1年ある』って。

 

「オリンピックまで1年」の表現は、「まだ1年ある」なのか「もう1年しかない」なのか、リズムや間を読むのが必要になります。

 

⑨スキーの上手い人と下手な人の違いとは、上手い人は転んでないから寒くない。下手な人はよく転び、雪の中を転がるから指や足が雪まみれになってシモヤケできる。だから寒くなって辛い。

 

「シモヤケ」という単語は出てきませんが、雪まみれで手先、足先にできるものと言えば「シモヤケ」ですね。

 

ネイティブが話す自然な日本手話なので、そのままを日本語にしようとすると文章に限界がきます。

浅い会話になってしまう理由ですね。

 

通訳クラスは、聴者の通訳さんが教える事が多いですが、聴者の場合はどうしても日本語優位で、ろう者の持つ自然な会話が疎かになりますし、ろう者の講師は日本語が苦手な場合が多く、添削が不自然になることがあります。

聴者とろう者 、お互いに言いたい事、伝えたい事があるのにズレ、認識の違いが多く、言葉の壁は高いです。

その問題は大きく、だからこそ花井流の指導は、どちらも歩み寄り納得のできる方法です。日本手話も日本語も、ポイントや翻訳の詳細、重要な事を教えてくれています。

 

今日もお疲れ様でした。