小走りに向かう僕。
「いったいどうなっているのだろう」
「どんな状態なんだろう」
「何がおきたのだろう」
考えても答えの出ないことばかりが
頭をよぎる。
僕は足を止め、
ゆっくり瞼を閉じ
呼吸を整えた。
そして
美樹ちゃんが泣き崩れそうな顔で
出てきたお席の前に立ち
「失礼致します」
小さなお子様を抱き抱えながら食事をとる
凛とした奥様。
その向いには程良いお洒落な服装の
ご主人が座っていました。
30歳前後の若夫婦に第一子。
初々しさと一生懸命さがヒシヒシと伝わってくるご様子。
きっと
初めて尽くしの大変な日々の生活の中
レストランで美味しいものを食べて
息抜きをすることも
ままならない環境。
せっかくの束の間のひと時を我々は
つまらないものに変えてしまったのだと
一瞬にして感じ取れた。
「お客様
手前どものサービスが行き届かず
不愉快な思いをさせてしまいまして
誠に申し訳ございませんでした。」
とつまらない思いをさせてしまったことを
僕は素直にお詫びした。
怒りに満ちた奥様の表情に
僕は本当に申し訳ない思いでいっぱいになった。
「この店はトイレで
母乳を飲ませるの!?」と
いきなり想定外の言葉を耳にした僕は
恐らく「えっ!?」というような表情をしたのであろう。
「あの子に母乳をあげるから
個室を貸してほしいと言ったら
個室は貸せないと言われたのよ。
それで、
じゃあトイレであげろって言うの?
と聞いたら、
そうして下さいだって。
常識が無さ過ぎるんじゃない!?」
お客様が気分を害されるには
充分過ぎる内容に
僕自身憤りを感じました。
「大変申し訳ございませんでした。
個室をご用意させて頂きます。」
という僕に奥様は
「だって個室は貸せないんでしょ!」と
強い口調で動こうとはなさいません。
「当店の決まりで個室は
コース料理でのご予約のお客様のみとなっておりますが
今回は赤ちゃんに母乳をあげるという
特別な理由がございますので
ご案内させて頂きます。
当店スタッフが
この決まりに縛られてしまい
正しい臨機応変なご案内が出来ず
ご不快な思いをさせましたこと
お詫び申し上げます。」
奥様は言葉を選びながら
「確かに赤ちゃんは食事をしていないので
お店にとっては迷惑かもしれませんよね。
でも、赤ちゃんもお腹がすくんです。
そこで
いくら綺麗にされているトイレでも
不衛生な場所で食事をさせることは
絶対にしないでしょ!?
それをさせようとするあの子の神経が
理解できないですよ。」
「はい。
誠に申し訳ございませんでした。
まだ学生で分からなくての事だと思いますが
少し考えればわかる事ですし
分からなければ私に聞きに行けば良かったことです。
全て私の監督不行きでございます。
誠に申し訳ございませんでした。
ただ、
個室と言いましても
一部ガラスになっており
廊下から中が見えてしまう場所がございまして、
恐らくそれも気にしてのことだったとは思います。
そこを見えないように致しますので
恐れ入りますが
もう5分ほどお待ち頂けますでしょうか?」
という私の提案に
奥様は落ち着いた様子で
「あなたの説明はよくわかりました。
あなたみたいに説明してくれれば
何も問題なかったのよ。
じゃあ、待ちます。」
とおっしゃって頂き安堵した瞬間
「でも、あの子には直接謝って欲しいんですけど。」
するどい突っ込み。
当然ですよね。
「はい。わかりました。
まずは赤ちゃんがお腹がすいているご様子ですので
先に個室へご案内させて頂きまして
その後落ち着きましたら
スグにお詫びに伺わせて頂ければと思いますが
いかがでしょうか?」
という私の提案に奥様も快諾して頂き
個室へご案内させて頂きました。
ただ、美樹ちゃん
僕の話を聞いてくれて
美樹ちゃんも僕に何が起きたのか
話してくれるのか
そして何より
お客様と和解ができるのか
母乳をあげている個室の前で
心配しながら見張り役をやっている僕でした。
つづく
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