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店の防犯カメラを見るために僕は警察官のお2人と一緒に


ホテルの管理室に通され応接室で支配人を待っている。


ホテルの支配人は定年後の再就職で来られた方で


日頃から顔をあわると明るく声を掛けてくれ


経験の足りない僕に色々とアドバイスをしてくれる人だ。


それだけに今日は、いつも優しく接してくれる支配人に会わす顔がない。


しばらくすると支配人が現れた。


いつもの黄金色のツヤのある顔ではなく今日は青ざめ土っぽく感じる。


「僕は本当にとんでもないことをしてしまったんだ。」と


我に返ったかのように突然重苦しい空気に押しつぶされそうになった。


警察の方は慣れたもので、早々に防犯カメラを見せて欲しいと切り出した。



「いやぁ、実はカメラが壊れてまして…。」



突然、誰もが耳を疑う言葉を支配人は口にしたのである。


「えっ。映ってないの?」


「は、はい。 まったく映ってないんです…」


半ばあきれたようにも聞こえる警察官の問いに


支配人はチカラなく答えた。


警察の方が支配人に軽い調子で色々と聞いていたが、


僕は込み上げてくるものを押し殺すのに精いっぱいで耳には入らない。


どうやら防犯カメラの映像を一応確認するようで


みんなが動きかけた時、


支配人はそっと僕に「ごめん。」とつぶき背中をおした。



防犯カメラには見事なまでに


お店のレジ付近だけが見ることができず、


外からの防犯カメラに外国人が通った姿と


レジでやりとりをしているようにも見える影が映っている程度で


確固たる証拠はとれなかった。


それでも佐藤くんが言っていた時間帯に


外国人がお店を出入りしていたという事実が確認できたので


救われたと少しホッとした僕でいた。


しかし警察や会社は「佐藤くんとその外国人が


仲間かもしれないという可能性は否定できない」と疑いは完全には晴れなかった。


それでも警察の方にはレジ回りの現場検証と指紋採取をしてもらい


一応事件としてもらったが、


とんでもない年越しとなってしまった。


僕と池田さんと佐藤くん3人はとても「良いお年を」なんて言葉は


口に出せずにお店を後にした。



その後、数日間は僕と佐藤くんと池田さんは本社に呼び出され


明らかに犯人と疑っていますよ的な質問を受けた。


支配人はどんな話をされたかは分からないが


きっとかなり厳しい処分になったに違いない。


犯人も逮捕されず佐藤くんも池田さんも支配人も


憂鬱な日々を淡々と送ることしかできないでいた。


新しい防犯カメラがついた頃、


幸いなんとか保険がおり売上金は保険会社から補てんされ


正直言って肩の荷がおりた。


僕は真っ先に池田さんと佐藤くんを呼びこれを伝えると、


久しぶりに2人の顔がゆるんだような気がした。


ただ、大切な仲間に傷が残ったのは紛れもない事実である。



今回はハッキリいって僕のミス。


飲食店にとってもっとも売上が上がる12月に大入りの連続で


僕自身が浮かれていたし僕は凄いと勘違いしていた気の緩みが


一番の原因だったと言える。


それに、僕は教えるということを勘違いしていた。


僕は佐藤くんに単にレジの操作方法やお客様への受け答えの


仕方を教えただけにすぎず、


その心や危機管理(危険回避)については


一切教えていなかった。


テクニックではなくその意味やその心を教えることが一番大切で、


それを知っているからこそどんな状況でも臨機応変に対応ができ


危険から回避することもできるし、


お客様のかゆい所に手が届く接客サービスができるようになるという事を


僕は理解していなかった。


そして、明らかに浮かれている店内の雰囲気に


気づいていながらそれを許した甘さが


結果としてスタッフみんなを傷つけてしまったのです。


それは彼らを甘やかしたのではなく


僕が僕自身を甘やかしたという事実に他ならない。


僕は、自律して自立するべきだと奮起するのであった。



次話の店長奮闘記へつづく



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