連続密室殺人。(「・ω・)「にゃおー [???]

マルセル・ヴィグネレイ:農機具製造会社の総支配人
シモーヌ・ヴィグネレイ:マルセルの妻
ジャニー:ヴィグネレイ夫妻の娘
ジュリアン/アデール・ブランショー:使用人夫婦
ローラン・シャラス:弁護士, マルセルのいとこ
アルマン:ローランの召使
アルフレッド・リュパアル:謎の人物
オーギュスト:カフェの主人
ゴーシェ親父:アパートの管理人, 元巡査
デュモン:アパートの下宿人
ムーリエ:アパートの下宿人
リュカン:医師
ディディエ:医師, ローランの友人
ジラール刑事:移動警察班班長
ドゥブー:捜査主任警視
モーヴェル:検事代理
エルブレイ:予審判事
肥った警部:ゴーシェの元上司
リミュー:警官
マグロアール刑事:強面の古強者
ラフオン:検屍医
アンドレ・ブリュネル:私立探偵
プロスペル:ブリュネルの召使
“わたし”:ブリュネルの親友



「助けて! 人殺し!」

通りに響いた悲鳴の元に通行人が目を遣れば、そこはアパートの4階の窓。その部屋の主の美しい妻・シモーヌが身を乗り出すようにして叫んでいた。その直後、銃声が響き渡ってシモーヌは倒れ、その姿は見えなくなった。窓の中には二人の男が格闘していると思しき影が動いている。

窓を群集が眺めていた頃、部屋の出入口にも人々が集まっていた。銃声を聞いた者たちは、それが自分にも撃ち込まれることを恐れ遠巻きに見守っていたが、元巡査の管理人は勇敢にも拳銃を手に部屋の扉の前までやって来ると、マスターキーを使い部屋に飛び込んだ。

部屋の中には銃撃を受けたヴィグネレイ夫妻が倒れていた。夫・マルセルは絶命していたが、妻・シモーヌは瀕死の重傷ながらまだ息があった。しかし銃を振り回す危険人物の姿は見当たらない。さては犯人は台所にある使用人専用階段から既に逃げたのだろうと思い当たり、管理人は台所へと向かう。彼は呆然とした。階段への扉には内側から閂が掛かっていた。


使用人が姿を現さないことも妙だった。ジュリアン・ブランショーはヴィグネレイ夫妻の休暇の準備で別荘にいることはわかっているのだが、その妻のアデールが現れないのはおかしい。後にアデールは使用人部屋にて射殺体となって発見された。それが不思議なのは、少し前に部屋を覗いた際にはそこには誰もおらず、それからずっと部屋の前を警官が巡回していていたからである。


それからも事件は続いた。マルセルのいとこであるローランは毒を盛られて一時は死の淵を彷徨い、ジュリアンは注意を受けて部屋に閉じ籠っていたのに、その固く閉ざされた室内で妻と同じように射殺体となっていた。いずれも犯人の手口が不明な奇怪な事件である。


そして捜査線上に浮かんだのがアルフレッド・リュパアルという人物。マルセルは、自身が殺害された日やそれ以前に彼にカネを振り込んでいたが、その理由が不明なのである。調べてみるとリュパアルというのはロクに部屋にも帰らず、何をしているのかもわからぬ怪しげな人物。

部屋を張り込んでいると、ようやく彼が現れた。密かに彼の電話の内容を聞き取ると、どうやら何者かと面会するらしいとわかった。その相手こそが連続殺人犯ではと、勇みその場所である別荘に張り込むと、やはりと言うべきなのか、屋内から銃声が鳴り響いた。部屋に飛び込んだ探偵・ブリュネルが見つけたのはリュパアルの死体。誰もいなかったはずの、そして出入口を見張られていた別荘に、犯人はどのように入り込んだのか?


危篤状態だったシモーヌも死んだ。そしてローランのもとへ、これを最後にするという殺害予告が――


※以下すべて反転表示。ネタバレ注意。



密室!密室!密室!

先日の某事件に対して「あんなのを密室と呼ぶな!」という思いを秘めている方も納得の、とにかくひたすら密室殺人ばかりという作品。フレンチ・ミステリには人を喰ったようなひねくれたストーリー・テリングに重きを置いた作品が多い印象だが、本作はトリックに真っ向から挑んでおり、その解明がそのまま犯人捜しにも繋がっている。つまりトリックが解明できれば犯人もわかるし、逆に犯人がわかればトリックも解明されるのだ。

作中では「なぜこの犯人はわざわざ密室を作るのか?」という点に焦点を当ててはいないが、真相が解明されると各々にきちんと理由があったこともわかる。(御都合主義であることは否めないがw) これだけ多くの密室殺人を扱いながら、特に理由はないとか、犯人の自己顕示欲によるものとか、捜査を撹乱させるためなどという理由でお茶を濁さないのは偉いw

ジュリアン殺し、そして少なくともリュパアル殺しに、同国の先輩作家の超有名作品のものとほぼ同一のトリックが用いられているが、これはその先輩作家への敬意を込めたオマージュなのだろうかw



(1) ヴィグネレイ夫妻の自宅アパート(4階)の窓から妻・シモーヌが姿を見せ、助けを求める。銃声が響く。シモーヌは倒れ、その姿は見えなくなる。窓の中に二人の男が格闘している影が見える。再び銃声。
(2) 最後の銃声が響いたとき、部屋の前には人々が集まっており、中の騒ぎを窺っていた。すぐにゴーシェ親父が拳銃を持って駆け付け、中に踏み込む。
(3) ヴィグネレイ夫妻はともに撃たれており、マルセルは死亡、シモーヌは瀕死の重傷。ともに自らを撃ったものではないことが後に確認される。室内に他の者の姿なし。台所には外部へ通じる使用人用の階段があるが、その扉は閉ざされ、閂も掛かっている。窓は野次馬に監視され、出入口の扉は内側から施錠されていた上、野次馬が集まっており、犯人がどのように現場を脱出したのか不明。室内に秘密の通路も隠れ場所もない。
(4) 通常なら給仕をしているはずのブランショー夫婦の姿がない。夫・ジュリアンはヴィグネレイ夫妻の休暇の準備のために別荘にいるので不思議ではないが、妻・アデールがいない理由は不明。7階にある使用人部屋にもその姿は見えず。
(5) マルセルのいとこ・ローランは友人でもある私立探偵・ブリュネルを呼び寄せる。ブリュネルたちはヴィグネレイ夫妻の部屋を調べた後、アデールの部屋へと向かう。部屋の中に入ったローランは悲鳴を上げた。何事かと皆が集まると、ベッドの上にアデールの射殺死体。先ほど調べた際にはそこに死体は決して存在しておらず、それから部屋の前の廊下は警官がずっと巡回していた。ほんのわずかな時間は部屋の扉から目を離すこともあるが、その間に何者かが死体を運び込び、ましてや何処かへと脱出することは不可能と思われた。
(6) アデールが殺されたとなるとその夫・ジュリアンの身の安全も危ぶまれるとして、すぐに連絡し、ローランやブリュネルはジュリアンと面識があるため、彼らが到着するまでは部屋を固く閉ざし、決して外に出ないようにと伝える。
(7) 翌朝、ジュリアンのもとへと向かうためブリュネルたちは駅に集合するが、ローランが現れない。様子を見に行くと、ローランは事務所で瀕死状態。カップのコーヒーからは毒が検出される。
(8) ローランを医師に任せ、ブリュネルらはジュリアンがいる別荘へと急ぎ到着。玄関の扉は施錠されていない。呼び掛けるが反応なし。書斎の扉に血痕。扉は開かない。電話線が切断されている。
(9) ジュリアンはブリュネルが指示したとおりにしたらしく、扉も窓も頑丈に閉ざされている。散々苦労して扉を壊したものの、その後ろには家具が置かれバリケードが築かれている。それも取り払ってようやく室内に入ると、そこには射殺されたジュリアンの死体があった。室内には犯人はいなかった。
(10) 瀕死のローランは峠を越え、一命をとりとめた。
(11) マルセルの書類を調べると、彼が殺された日にリュパアルという人物にカネを振り込んでいることが判明。リュパアルは借りた自宅にはほとんど帰って来ないという。マルセルらしき人物が彼の部屋を訪れたことがある。
(12) ブリュネルらは交代でリュパアルの部屋を見張る。ブリュネルやローラン、マグロアール刑事の張り込みは無為に終わったが、“わたし”はついにリュパアルの姿を捉えた。自宅に入ったリュパアルを追い、隣の部屋に忍び込み、彼が電話で話すのを聞いた。リュパアルは己がマークされていることを知っていた。電話の相手の正体は掴めなかったが、どうやらその人物と面会するらしい日時と場所を聞き取った。ブリュネルとローラン、ジラール刑事に電話するが、どれも繋がらない。仕方なくその内容を記した手紙をそれぞれに急ぎ届けるようにカフェの主人・オーギュストに依頼すると、“わたし”自身は部屋を出たリュパアルの尾行を開始した。しかしあるいは勘付かれたのか、相手を見失ってしまった。
(13) “わたし”、リュパアルが電話の相手と話していた待ち合わせ場所である別荘に到着。塀に囲まれた別荘は三方に出入口の扉。どれも塀に開いた三つの出入口の正面にある。“わたし”一人では三つの出入口を同時にすべて見張ることは不可能なので、塀の一つの角の辺りに潜み、二つの出入口を見張り、もう一つの出入口が利用されないことを祈ろうかなどと考えていたとき、ブリュネルとローランも到着する。三つの出入り口の前にそれぞれが潜んだ。
(14) 銃声。“わたし”は別荘の庭に侵入する。ブリュネルとローランも両側から駆けて来る。ブリュネルの指示で“わたし”は別荘内には入らず、その角に陣取って、“わたし”の担当の出入口とブリュネルの担当のそれを見張る。ブリュネルは別荘内に侵入。もう一つの出入口はローランが見張っているため、これで何者も三人の目に触れずには別荘を出入りできない。
(15) 別荘内にリュパアルの射殺体。ほかには誰もいない。
(16) 危篤だったシモーヌが死亡。
(17) ローランを最後の犠牲者にするとの殺人予告状。
(18) ローランの部屋の中から絶叫。銃声。部屋の扉は施錠されている。“わたし”は錠を壊し室内に入る。ほとんど同時にブリュネルも室内に入り、倒れているローランに駆け寄った。ローランは胸に銃弾を受け絶命していた。室内にはほかに誰もいない。

らふりぃの読書な雑記-88
金田一耕助シリーズ。左腕を斬り落とされ姿を消した男の因縁。馬車に座った前当主の死体。からくり屋敷の地下に広がる迷宮。[??]

古館種人(ふるだてたねんど):伯爵, 明治の元老, 名琅荘の創始者
古館一人(かずんど):種人伯の息子
古館辰人(たつんど):一人伯の嫡子, 先妻のひとり息子
加奈子:一人伯の後妻となった美貌の女性
柳町善衛(やなぎまちよしえ):元子爵, 加奈子の実弟
尾形静馬:加奈子の遠縁にあたる青年, 左腕を切断され行方不明
天坊邦武(てんぼうくにたけ):元子爵, 辰人の生みの母の弟
糸女:種人伯の妾, 名琅荘をとりしきっている老女
篠崎慎吾:実業家, 辰人から名琅荘を譲り受けホテル経営
倭文子(しずこ):慎吾の妻, 辰人と離別した華族の末裔
陽子:慎吾の先妻の娘
奥村弘:慎吾の秘書
速水譲治:名琅荘の従業員, 混血の戦災孤児
戸田タマ子:名琅荘の女中
お杉:名琅荘の女中
真野信也:左腕のない謎の人物
田原:警部補, 事件の捜査主任
井川:静岡県警の古参老刑事
小山:富士署の若い刑事
江藤:刑事
久保田:刑事
森本:警察医
金田一耕助:探偵



名琅荘の歴史は維新の功労者の一人、古館種人伯爵にまで遡る。彼は自身が権謀術数渦巻くまっただ中にあることを理解しており、その身を守るためにも秘密の脱出路など、からくり仕掛けを施した屋敷を建てたのである。人はその複雑怪奇な屋敷を指して、名琅荘をもじって迷路荘などと揶揄を交えて呼ぶようにもなった。

権勢を極めた種人伯であるが、残念ながらその傑出した能力は後継者には受け継がれなかった。種人伯がこの世を去り、一人息子・古館一人の代になると、たちまち資産をすり減らし、一人伯の手に残ったのは名琅荘だけであった。惨劇が起きたのはその名琅荘においてであった。

一人伯には加奈子という美しい妻がいたのだが、彼は妻とその遠縁にあたる尾形静馬との男女の仲を疑い続けていた。名琅荘は種人伯の妾だった糸女に牛耳られており、それもまた一人伯を苛立たせており、ついには彼を自身の妻を切り捨てるという凶行に駆り立てたのである。そしてさらに一人伯は返す刀で静馬の左腕を切り落としたのだが、これは返り討ちに遭い、逆に命を落とすこととなった。

深手を負い、殺人犯となってしまった静馬は逃亡。隠し通路から地下洞へと姿を消した静馬の行方は杳として知れない。ある者は地下洞の何処かでひっそりと命を落としたのだろうと言い、またある者はいや逃げ延びたに違いないと言う。中には静馬を可愛がっていた糸女が密かに匿っていると噂する者もいる。それはあながち根も葉もない話というわけではなく、そう度々ではないが、左腕のない静馬らしき人物をちらりと見掛けた者は後を絶たなかったのである。


先の惨劇から数年後、名琅荘に真野信也と名乗る人物が訪れた。その男には左腕がなかったのだが、たまたま応対に出た女中・タマ子は昔の事件のことなどつゆ知らず、さほど怪しむこともなく客間に案内した。すると真野は密室から姿を消したのである。

真野なる人物が自分の紹介と騙っていたと聞いた現在の名琅荘の所有者・篠崎慎吾は、知人のつてで探偵・金田一耕助を呼び寄せた。金田一は到着するなり事件に出っくわした。前の名琅荘の所有者である古館辰人が単に死体となっていただけでなく、なぜか馬車の座席に座っており、なぜか左腕が胴に固定されていたのである。


※以下すべて反転表示。ネタバレ注意。



金田一が聴いたフルートの音が手掛かりになっているなど、理詰めっぽさを感じないこともないが、この作品の魅力はそれよりも謎解きよりも暗黒の地下迷宮の雰囲気と、転がっていくストーリーじゃないかな。解決編は「これこれこうだから正解はこうなる」というよりは、まるで手掛かりをお題とした三題噺読んでるような気になるもんw

密室トリックはそれを解明した金田一本人も既存トリックの流用を認めているらしいチャチなもので、よくよく考えてみれば、犯人にとっても作品にとってもまったく不要な部分だw 強いて言えば、それによって金田一が刑事たちの尊敬を集めたことくらいだろうか。

辰人殺害事件については、死体が馬車に乗っていた理由に拍子抜けだねぇ。それはさておき辰人は左腕の固定を律儀にやりすぎだw ついうっかり左腕を使ってしまって、そのせいで計略が露見するミスを避けるためなのはわかるが、それにしてもできるだけ速やかに片付けたいはずの犯行には不適当だし、不測の事態の際の対応に難があることは容易に想像できるだろう。だいたいリハーサルというのは本番で想定し得るミスを洗い出す目的があるだろうに、リハーサルでのミスが致命的になってしまう、すなわちミスが許されないリハーサルとはなんともはや、本末転倒だ。誰もやって来るはずはないと高を括っていたと言うが、結局はほとんどちょうどその時間帯に3人も近くにやって来ている。それを予測できぬほど辰人が無能だったと言ってしまえばそれまでだが。



(1) 名琅荘にて古館一人、妻・加奈子とその遠縁の静馬との不倫を疑い、加奈子を斬り殺し、静馬の左腕を切断するが、静馬に反撃され、死ぬ。静馬は逃亡し、その行方は杳として知れぬまま数年が経過する。
(2) 先の事件以来、名琅荘の付近では左腕のない男の目撃が、頻度は低いものの絶えず。
(3) 真野信也と名乗る左腕のない謎の人物が名琅荘を訪れ、密室から姿を消すという出来事が発生。名琅荘はからくり屋敷のようなものであり、部屋にも隠された抜け穴があるため、姿を消した方法は謎ではないが、調査のために金田一耕助が招かれる。金田一、名琅荘への途上にて左腕がないように見える人物の後ろ姿を目撃。
(4) 名琅荘は旅館としての始動を控えており、関係者も招いていた。招待客の一人である元所有者・辰人が殺害される。頭部に打撃後の絞殺。死体は馬車に座っている。左腕がベルトで胴に固定され、その姿は先ほど金田一が目撃した人物に似ている。現場は倉庫。その天井には鉄骨が通され、滑車とロープがぶら下がっている。人ひとりほどの重量の砂袋が置かれている。
(5) 名琅荘の隠し通路の調査を開始する。奥には天然の洞穴に手を加えた地下道が広がっている。顔を隠した正体不明の男が徘徊しているが捕えられず。
(6) 天坊の部屋の様子に異変。ずっとシャワーが使用されたまま、いくら呼び掛けても応えない。扉は閉ざされており、上部の小さな回転窓を押し開け覗いても、天坊の姿は見えない。マントルピースの上に盆が置かれ、そこに部屋の鍵とブロンズ像が乗せられている。保管されていた合鍵を使い部屋の扉を開く。その奥の浴室にある浴槽に天坊の死体が浸かっている。溺死。女中・タマ子が姿を消している。
(7) 地下道の探索。タマ子の絞殺死体発見。凶器は失われていた天坊のガウンのバンド。別の場所で後頭部を強打され瀕死の陽子も発見。
(8) 天坊が隠した小さな缶を発見。中には男女二人が写っているらしきネガ・フィルム。

らふりぃの読書な雑記-87
金田一耕助シリーズ。二人の傴僂男には、ともに同様の銃創。どちらのものか不明な傴僂の首なし死体。夢遊病。二重ロックの金庫内の刀。[???]

金田一耕助:探偵
磯川:警部
屋代寅太:探偵小説家
古神織部:子爵, 故人
四方太:織部の弟
お柳:織部の後妻
守衛:織部と先妻の息子, 傴僂
八千代:織部・お柳の娘
仙石鉄之進:古神家の家老的立場
仙石直記:鉄之進の息子
源造:古神家の使用人
お藤:古神家の女中
お喜多:守衛の乳母
蜂屋小一:傴僂の画家, 八千代の婚約者
沢田:警視, 捜査課長
内藤:守衛の治療歴のある医師
妙照:海勝院の尼
お静:海勝院に匿われた謎の女



古神邸にて、頭部を持ち去られた傴僂男の死体が発見された。邸内には守衛と蜂屋という二人の傴僂男がいたのだが、その二人とも姿を消しており、死体がどちらのものなのか決めかねた。その後、守衛の頭部が見つかったことにより、一旦はそれが守衛の死体と見做されたものの…。


※以下すべて反転表示。ネタバレ注意。



メイン・トリックとして、明らかに某超有名作品を意識したであろうものが用いられている。(どちらも読み終えた者なら、それに気づかないということはまずない) しかし首なし死体という派手なネタこそが読者に対するレッドヘリングとなっており、途中では元ネタ(?)には意外と気づかせないようになっている。

二重ロックの金庫内の刀が血に染まっていたことを示すことでちょっぴり怪奇性も出しているが、「どのように持ち出したのか?」という方向へ読者を誘導してもいる。

第一の首なし死体発見現場の壁の文字についてのくだりからは、フェアプレイにもかなり気を配っている意識が感じられる。

夢遊病を隠しているはずにしては直記の行動にやや疑問符が付く場面もあるが、夢遊病が単に物語の演出上のものではなく、データの一つとなっているのは素晴らしい。

いくつかの些細な不自然と思えなくない点はそれこそが手掛かりなのだが、それとは無関係な鉄之進の死については展開が強引すぎる気がしないでもないw 脅迫状のような手紙を犯人が他人に依頼したとういうのはちょっとおかしいかも。あと、雷夜の出来事もなぁ。追跡者たちが八千代の姿を目撃できたのは偶然に頼りすぎじゃないかなぁ。



(1) 八千代に正体不明の傴僂男からの脅迫状のような手紙が届く。
(2) 八千代、傴僂の画家・蜂屋を銃撃し、右脚を負傷させる。その後、蜂屋を自宅に迎え入れる。
(3) 直記、危険防止のために金庫の中に刀を入れる。直記が鍵を、屋代が文字盤の符合を管理することで、二人が揃わねば金庫は開けられなくなった。
(4) 離れに傴僂の死体。頭部が失われている。死体の右脚には銃撃による傷跡。周囲には血溜まり。スリッパで踏み荒らされている。後に八千代のスリッパが血に染まっていることが確かめられる。時折夢遊病の症状を示す八千代は、それについては記憶がないという。守衛は姿を消している。金庫の中にはきちんと刀は入っていたが、鞘から抜くと血が付いていた。
(5) 右脚の傷跡によって、一旦は首なし死体の主は蜂屋と推定されたが、守衛もまた右脚に銃による傷跡があることが判明。死体はどちらのものかまたわからなくなる。
(6) 鉄之進、夢遊病の症状を示す。鉄之進がその際に触れていた場所の奥を屋代が探る。頭部が見つかったことより、死体は守衛のものと断定される。
(7) 八千代、置き手紙を残して姿を消す。
(8) 鉄之進、お柳、四方太、そして続いて直記とお藤、古神の本領へと移る。屋代も直記に招かれる。姿を消していた八千代も来ている。
(9) 刀がなくなる。八千代、いなくなる。直記と屋代が後を追う。鞘が落ちている。外は嵐。雷光により八千代の姿を捉え、そちらのほうへ向かう。傴僂の影を捉える。女の悲鳴。しばしの捜索。滝壺の大きな岩の上に、頭部が失われた女の死体。
(10) 翌日の捜索。洞穴内には首斬り作業を行なったらしき血痕。前夜の傴僂の衣装と、紐が付いた笊のような物。これがあればあの傴僂の扮装が可能。お静のコンパクトも見つかる。既にお静は傴僂らしき男に連れられ姿を消していた。
(11) 金田一、八千代が犯行に深く関わっていることを説明する。