金田一耕助シリーズ。二人の傴僂男には、ともに同様の銃創。どちらのものか不明な傴僂の首なし死体。夢遊病。二重ロックの金庫内の刀。[???]
金田一耕助:探偵
磯川:警部
屋代寅太:探偵小説家
古神織部:子爵, 故人
四方太:織部の弟
お柳:織部の後妻
守衛:織部と先妻の息子, 傴僂
八千代:織部・お柳の娘
仙石鉄之進:古神家の家老的立場
仙石直記:鉄之進の息子
源造:古神家の使用人
お藤:古神家の女中
お喜多:守衛の乳母
蜂屋小一:傴僂の画家, 八千代の婚約者
沢田:警視, 捜査課長
内藤:守衛の治療歴のある医師
妙照:海勝院の尼
お静:海勝院に匿われた謎の女
古神邸にて、頭部を持ち去られた傴僂男の死体が発見された。邸内には守衛と蜂屋という二人の傴僂男がいたのだが、その二人とも姿を消しており、死体がどちらのものなのか決めかねた。その後、守衛の頭部が見つかったことにより、一旦はそれが守衛の死体と見做されたものの…。
※以下すべて反転表示。ネタバレ注意。
メイン・トリックとして、明らかに某超有名作品を意識したであろうものが用いられている。(どちらも読み終えた者なら、それに気づかないということはまずない) しかし首なし死体という派手なネタこそが読者に対するレッドヘリングとなっており、途中では元ネタ(?)には意外と気づかせないようになっている。
二重ロックの金庫内の刀が血に染まっていたことを示すことでちょっぴり怪奇性も出しているが、「どのように持ち出したのか?」という方向へ読者を誘導してもいる。
第一の首なし死体発見現場の壁の文字についてのくだりからは、フェアプレイにもかなり気を配っている意識が感じられる。
夢遊病を隠しているはずにしては直記の行動にやや疑問符が付く場面もあるが、夢遊病が単に物語の演出上のものではなく、データの一つとなっているのは素晴らしい。
いくつかの些細な不自然と思えなくない点はそれこそが手掛かりなのだが、それとは無関係な鉄之進の死については展開が強引すぎる気がしないでもないw 脅迫状のような手紙を犯人が他人に依頼したとういうのはちょっとおかしいかも。あと、雷夜の出来事もなぁ。追跡者たちが八千代の姿を目撃できたのは偶然に頼りすぎじゃないかなぁ。
(1) 八千代に正体不明の傴僂男からの脅迫状のような手紙が届く。
(2) 八千代、傴僂の画家・蜂屋を銃撃し、右脚を負傷させる。その後、蜂屋を自宅に迎え入れる。
(3) 直記、危険防止のために金庫の中に刀を入れる。直記が鍵を、屋代が文字盤の符合を管理することで、二人が揃わねば金庫は開けられなくなった。
(4) 離れに傴僂の死体。頭部が失われている。死体の右脚には銃撃による傷跡。周囲には血溜まり。スリッパで踏み荒らされている。後に八千代のスリッパが血に染まっていることが確かめられる。時折夢遊病の症状を示す八千代は、それについては記憶がないという。守衛は姿を消している。金庫の中にはきちんと刀は入っていたが、鞘から抜くと血が付いていた。
(5) 右脚の傷跡によって、一旦は首なし死体の主は蜂屋と推定されたが、守衛もまた右脚に銃による傷跡があることが判明。死体はどちらのものかまたわからなくなる。
(6) 鉄之進、夢遊病の症状を示す。鉄之進がその際に触れていた場所の奥を屋代が探る。頭部が見つかったことより、死体は守衛のものと断定される。
(7) 八千代、置き手紙を残して姿を消す。
(8) 鉄之進、お柳、四方太、そして続いて直記とお藤、古神の本領へと移る。屋代も直記に招かれる。姿を消していた八千代も来ている。
(9) 刀がなくなる。八千代、いなくなる。直記と屋代が後を追う。鞘が落ちている。外は嵐。雷光により八千代の姿を捉え、そちらのほうへ向かう。傴僂の影を捉える。女の悲鳴。しばしの捜索。滝壺の大きな岩の上に、頭部が失われた女の死体。
(10) 翌日の捜索。洞穴内には首斬り作業を行なったらしき血痕。前夜の傴僂の衣装と、紐が付いた笊のような物。これがあればあの傴僂の扮装が可能。お静のコンパクトも見つかる。既にお静は傴僂らしき男に連れられ姿を消していた。
(11) 金田一、八千代が犯行に深く関わっていることを説明する。