日本航空 再建への道 -3ページ目

日本航空 再建への道

日本航空 再建までの道のりを観察しながら、企業経営の気づきを書いていきます。

<全日空>社長が公的資金の使途で日航を批判
毎日新聞 2010年3月25日記事より
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100325-00000094-mai-bus_all

予想通り、全日空が日航批判です。

『全日本空輸の伊東信一郎社長は25日の会見で、
会社更生手続き中の日本航空が公的資金を
使って機材の更新を予定していることに対し、

「将来も含めて公正かつ公平な競争環境が確保されなくなる
可能性がある」と強く批判した。

伊東社長は、日航の機材更新について
航空機への投資は各社とも血のにじむ努力をしながら進めている。
この根幹部分が公的資金で簡単に行われるなら、
黙ってみているわけにはいかない

と強調した。

公的資金の問題のある使い方として、
ほかに大幅な値引、IT投資、空港施設改善などを挙げ、
資金の使途は広く開示されるべきだ」と主張した。

さらに、
「毎日赤字だと自ら言われている。
まずは出血を止めるのが先ではないか。
供給過多の国際線をどうするのかが問われていると思う」
と指摘し、日航が国際線の大幅な削減に慎重な姿勢を見せていることに
疑問を呈した。

全日空は、10年3月期の連結最終(当期)赤字が650億円に上ると予想している。
25日発表した2月の輸送実績(速報値)で国内線旅客数が
2年5ヶ月ぶりに前年同月を上回るなど、
旅客数は回復傾向にあるのに、
日航との激しい競争で単価が上がらず収入が伸びないためだ。

伊東社長は「危機意識は大きなものを持っている」と述べ、
日航再建のあり方が自社の経営に与える影響に強い懸念を表明した。』


全日空の立場からすれば、

日航は業績が悪く、法的整理をし、
公的資金活用している。

それならば当然、
経費大幅削減、早期黒字化を目指すため
企業規模縮小し、
市場の一部より迅速に撤退すべきだ
と考える。

全日空は日航との戦いに勝ち、
日航は法的整理に至り、市場からの退出を余儀なくされるはずだった。

それなのに、なぜ、全日空は
日航と対等の競争をしなければ、
いや、むしろ、市場から退出すべき日航の方が有利な状況で、
今までよりも厳しい状況で
競争をしなければならないのか。


答えは簡単である。
今の日本は、市場主義経済ではないからだ。


恐らく高齢化社会が進み、
既得権益を握る人間の声が大きくなれば、
当然、市場主義経済など望まなくなる。

競争は、既得権益層の地位を脅かすからだ。

伊東社長には悪いが、
この状況は、日本国民が望んだものだ。


2010年3月20日
文春新書より
「JAL崩壊 - ある客室乗務員の告白」
が発売された。

日本航空の現役・OBを含めた、
チーフパーサー、パーサー、スチュワーデスなど
複数の客室乗務員のグループ
日本航空・グループ2010による著作。

週刊誌に載っていそうな暴露記事満載。
俗に言う香ばしい人々のオンパレードである。

映画「沈まぬ太陽」にまで社内報でいちゃもんをつける
度量の小さい組合が跋扈する企業内で、
現役社員がこのような本を出して叩かれないものかと
やや心配してしまう。

この本の中に、
JAL再建への4つの私案との箇所がある。
面白いので、一部抜粋

『今からでも遅くない。再建のためには、

JASを分離、独立させて別会社か子会社化させる。
要は合併以前にJALが運航していた幹線のみに戻す。
経営危機に際して発表された減便・廃止路線は
全て旧JAS路線です。

ANAが嫌がるでしょうが、合併-大連立を頼み込む。
イタリア、フランス、イギリスなど主要ヨーロッパ諸国で
日本のように二大航空会社が国内、国際線を抱えて
覇を競う国はない。・・・

外資に経営を委ねる。または、外資が筆頭株主として、
実質的経営権を握る。・・・

④すでに現実のものとなりましたが、潔く会社更生法を適用し、
更地から再生する。
浮世離れした常識の持ち主であるパイロットの目をさまし、
“面妖な組合ゴロ”に支配され、振り回されてきた組合問題を
一気に解決するには、やはりショック療法が最も有効かもしれません。』
(同書 p37-38)


特別早期退職を35歳以上の機長を含むパイロットまで拡大している
リストラ計画。


今のところ、組合の動きは伝わってこないが、
この本に書かれている通りの組合ならば、
もう直ぐ、マスコミを騒がすことになるかもしれない。

JAL崩壊 (文春新書)/日本航空・グループ2010
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2月1日の稲盛会長就任以来初めての定例会見が
3月17日行われた。

2月1日会見においては
「再生計画を確実に実行すれば
再建は十分に可能」と表明したが、
今回は、一転して厳しい内容のもの。

まずは、毎日新聞3月17日記事より
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100317-00000020-maip-bus_all

『会社更生法の適用を受けて再建中の
日本航空の稲盛和夫会長は17日、記者会見し、
国際線の不採算路線について、
「事業規模そのものを縮小する方向にはない。
採算が合うようにできないか模索している」
と述べた。

国際線から撤退すべきだとの意見も出ていることについては
あらゆる手だてで国際線の黒字は十分達成できる。
国際線は残したままで必ずJALを再建してみせる
」と、
撤退反対の考えを強調した。

会見に同席した大西賢社長は、厚生労働省が日航の
企業年金の支給減額(平均44%)を認可したと発表。

また、11年度の新規採用を行わない方針も明らかにした。

稲盛会長は日航の企業体質について、
責任体制が明確になっていない。
起業家精神を持ち、商売人感覚のある人があまりにも少ない。
企業文化を大きく変えなくてはならない
」と指摘。

1月19日に日航などが示した事業再生計画に関し
「(着任前の予想より)実行は容易でない」と述べた。』


また、別記事ロイター、一部抜粋では
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100317-00000855-reu-bus_all

『JALは赤字が続いているが、
秋口まで単月で黒字転換しないと主取引銀行などから融資を受けるのが
難しい
」(稲盛会長)として人員削減を含むリストラを進める。

同社は16日グループ社員の5%に相当する2700人の早期退職による
人員削減計画を公表しているが、路線の縮小・減便などで
「削減幅が広がる可能性もある」(大西賢社長)。

国際線については、「国内線よりも売り上げは多く、
やめてはJALの存在意義はない」(稲盛会長)と
撤退しない考えを再度表明した。』


さらに、もう一つ。
読売新聞、同日記事より
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100317-00000906-yom-bus_all

『会社更生手続き中の日本航空の大西賢社長は
17日の記者会見で、厚生労働省に申請していた企業年金の削減について、
更正計画が東京地裁から承認されることを条件に認可されたことを
明らかにした。

現役社員で給与水準の53%、OBで30%の引き下げが
今秋から実施される見通しとなった。

また、2011年4月入社の新卒採用について
「おそらくない」と述べ、98年以来、
13年ぶりに新卒採用を見送る考えを示した。

10年4月入社については、内定者142人を予定通り採用するとしている。

・・・

一方、貨物専用機による貨物事業からの撤退を検討していることも表明
日本郵船の子会社・日本貨物航空との貨物事業の統合交渉が
決裂したことを受けたもので、旅客機の下部を利用した
貨物事業は継続するとしている。』



今回の会見内容は、記事を読む限り要点は3つ

・国際線からの撤退否定
・企業年金削減の厚生労働省に認可される
・貨物専用機による貨物事業からの撤退示唆

9月までの単月黒字化を目指すとのことだが、
残された時間は半年。

まずは、3月末の業績に注目が集まるところ。

国際線撤退がないとすれば、
ダウンサイジングも限定的になる。

景気も上向きになっておらず、
先行きは相変わらず厳しい。

企業再生支援機構とは
いったい何者なのですか?
機構という一株式会社が
JALを再生させることができる
法的根拠は何なのでしょう?』
(月刊エアライン 2010年4月号 「JAL再建プランQ&A」)


A:中小企業の再生支援を目的として設立された機構です。

管財人となったり、出資をしたりして、再生を支援します。

本来はJALのような大企業を救済することが目的の
機構ではありませんが、

今回、ほかにお金を出してくれることがなく、
ここが選ばれたわけです。

法的根拠はありません。
助けてはいけないという法律もありません。』

なかなか投げやりな回答だが、かなり的を射ている。



2010年3月12日、ウィルコムの支援を決定した機構だが、
本来は、

・厳しい地域経済の現状を打開するため、
・有用な経営資源を有しながら、
・過大な債務を負っている
・中堅事業者、中小企業者その他の事業者に対して、
・事業規模、業種や地域を問わず、


事業再生支援を行う株式会社だ。
http://www.etic-j.co.jp/

出資は、政府と金融機関から行われている。

ちなみに、日航もウィルコムも、
「その他の事業者」に該当するという解釈。


事業再生計画のフォーマットもある程度決められている。

これについては、別記事にて再検証するが、
「企業再生支援機構の実務運用標準」
http://www.etic-j.co.jp/pdf/091104newsrelease-2.pdf
がこれにあたる。

JAL再建計画についても、
このフォーマットに基づき作成されているが、
http://www.etic-j.co.jp/pdf/100119newsrelease.pdf
これについては、のちに提出される更正計画によって
修正・変更される可能性があるとのこと。



再生支援機構に期待すること、
個人的には、事業再生市場を強化・拡大させる「触媒」としての役割だと
考えている。

現在公表されているJALとウィルコムの「事業再生計画の概要」
はっきり言って、実務に耐えられるレベルではない。


まぁ実務を担当する人は、大企業の優秀な方達なので、
利害関係人、特に債権者をまとめてくれて、
再建に向けての当たり前のことを列挙してくれるだけの方が、
裁量が大きくいいのかもしれないが。


中堅・中小企業の再生計画を立案する上で、まるで参考にならないのだ。

今後、本来の趣旨にかなった中堅・中小企業に対する
精度が高く、実務に耐えられる再生計画が多く公開されれば、
税金が投入されている意味が出てくる。

出資している金融機関にとっても、
もしかしたら、企業再建が進み、
不良債権が減るという効用が得られるかもしれない。

さっさと本来の趣旨に立ち返って欲しいものだ。

1997年11月24日月曜日
山一證券が自主廃業した。

2001年8月1日、
インターネット取引専業の証券会社として、
日本で初めて松井証券が東証1部に上場した。

その期間、4年弱。

松井証券の経営陣には、
山一證券の幹部やエリート従業員なども名を連ね、
商品開発などで功績をあげた。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%BE%E4%BA%95%E8%A8%BC%E5%88%B8


トレンドは確かに存在するが、
トレンドだけで、中堅企業が国内トップ企業にのし上がることは難しい。

トレンドと
経営者の明確なビジョン、
そこに優秀な人財が複数合流すること、
これらが揃うと、
業界のビジネスモデルを大きく変えるような企業が台頭する。

今回のJAL再建に伴い、
もしかしたら、業界内の新たなプレーヤーが台頭してくる可能性がある。

以下は、日経トレンディ 2010年4月号
「JAL撤退でFDAとSKYが下克上!?」より一部抜粋。


空港から飛行機が消える。
昨年、信州まつもと空港が危機に直面した。
唯一就航していたJALが、
不採算を理由に完全撤退を表明したのだ。

そこで救世主のごとく運航引継ぎに名乗りを上げたのが、
フジドリームエアラインズ(FDA)
という聞き慣れない名前の航空会社。
昨年6月に開港した富士山静岡空港に拠点を置く、
創業間もない新興エアラインだ。

・・・

現在、富士山静岡空港から石川県小松、熊本、鹿児島への
3路線で1日4往復を運航しているだけのFDAだが、
4月からはJALの運航していた新千歳線と福岡線を引継ぎ、
2倍の8往復に規模を拡大する。


加えて6月からは信州まつもと空港でも、JALに代わって
新千歳と福岡に1日2往復を飛ばすのだ。

JALが撤退する地方空港に、FDAはなぜあえて就航するのか。

ビジネスモデルの要になっているのが、
リージョナルジェットと呼ばれる小型機だ。

FDAが使うブラジル・エンブラエル社のE170やE175は、
いずれも座席数が80席前後。

現状、JALやANAが地方路線で使っている150人乗り前後の機材で
50%の搭乗率しかない路線でも、
この機材ならばほぼ満席になる。

しかも燃費がいい。

需要は少ないが競合も少ない地方路線で、“適性価格”を維持して
採算を合わせるのがFDAの狙いだ。


FDAの鈴木与平社長は、
「この機材の存在が航空事業に参入した理由の一つ。
国内線のリノベーションに挑戦する」と話す。

年内には3機体制から4機体制に移行。
毎年1機以上を追加する考えで、
5機体制になった際は、
「JALやANAが撤退を進めていく不採算路線をはじめ、
大手と競合しない地方空港への路線拡大を検討する」(
鈴木氏)
という。

・・・

「大手が小型機を増やすまでの4,5年が勝負」(鈴木氏)
とFDAは位置づける。

JALにとっても、逆風下に路線の引継ぎ先があることは好都合。

両社は、今回の交代劇を機に、コードシェア(共同運航)などを
念頭に置いた提携に踏み切った。

・・・

地方と地方を結び、新たな需要の創出に挑むFDA。
不況下で視界の見通しが利きづらいなか、
リージョナルジェットによるビジネスモデルを確立できるかどうか。
その成否に地方路線と地方空港の行く末が懸かっている。』


JALのリストラに伴いオペレーションを担う優秀な人財が確保できれば、
FDAの成長は加速できる。

また、山一から松井への幹部やエリート従業員の移転同様、

政府機関との人脈・交渉ノウハウを持つ人財、
海外企業・海外政府機関とのチャネル・交渉ノウハウを持つ人財を
複数獲得できた場合、
FDAは大きく飛躍する可能性がある。

学閥が影響力を持つ政府機関とのコネクション、
業界に通じ、高い語学力、世界に通じるビジネススキルを持つ人財は
そこいらに落ちてはいない。
また、流出することは極めて稀だ。


FDAを率いる鈴与グループ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%88%B4%E4%B8%8E
http://www.suzuyo.co.jp/suzuyo/about/suzuyo.html

200年以上の歴史を誇り
グループ企業約130社を抱える
物流を軸にした巨大企業である。

当然、物流事業とのシナジーを含めての参入だけに、
旅行代理店エイチ・アイ・エスを主体に作られた
スカイマークよりも、懐はずっと深いはず。

JAL再建の3年間の間に、
どこまで拡大できるかが勝負だろう。

本日のJAL再建報告

【JAL政権関連9】 で書いた3月中旬からの
衆議院の国土交通委員会の前に、
民主党が動き始めた。

決算と政投銀融資検証=民主PT、日航問題で初会合
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100310-00000162-jij-pol


『民主党は10日、経営破綻した日本航空の問題を調査する
「日本の空を考えるプロジェクトチーム(PT)」(座長・桜井充参院議員)
を発足させ、国会内で初会合を開いた。

粉飾決算の疑いを調べた上で、過去に自民党政権下で
日本政策投資銀行などが実施した日航向け融資の是非も検証。
来月中に結果を取りまとめる方向だ。

日航をめぐっては、麻生前政権が昨年6月、政府主導で
政投銀やメガバンクによる1000億円の協調融資を決定。

日航が会社更生法を申請したため多くが焦げ付き、
政府保証などの形で税金投入が避けられない事態となった。

同PTは経営実態を正確に把握できていれば国民負担を避けられた
可能性があるとして、過去の決算が適切に処理されていたかを調べる。』

別記事で
『JALが過年度決算で長年にわたり機材購入リベートを利益計上していたなど
粉飾決算の疑いがあり、経営陣や監査法人などが刑事上の
責任を追及される可能性があると指摘し、出席した議員らとの
質疑応答も行われた。』とのこと
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100310-00000779-reu-bus_all


まさに政争の道具となってきたJAL問題。

もう直ぐ、民主VS自民 が見られ、
これまで出てこなかった情報も表に出てくるのだろうか。

それにしても、西松前社長、

財務に強く、どの派閥にも属さないニュートラルな存在だったため、
これ幸いと、敗戦処理の一番大変な局面を背負わされたのに、
さらに、事後の責任追及ともなると、
もう勘弁してやってはどうかと、同情してしまう。

2010年3月9日報道
「1月の国際線、日航11%減 顧客流出が鮮明」

『会社更生手続き中の日本航空が9日発表したグループの
1月の国際線利用客数は、前年同月比10.7%減の
82万4875人と、4ヶ月連続で前年実績を割り込んだ。

路線廃止と減便に加え、
会社更生法の適用申請による利用客離れもあった。

これに対し、全日本空輸が9日発表したグループの1月の
国際線利用客数は13.7%増の
35万7323人と6ヶ月連続で増加した。

国内線は日航が7.9%減、
全日空も3.3%減だった。

日航は、国際線の方面別では、いずれも減少。

韓国を結ぶ路線が25.2%減と落ち込み、
オセアニアは12.4%減、欧州も10.3%減。

一方、全日空はアジアが13.9%増
北米、欧州もそれぞれ13.0%伸びた。』
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/business/other/366761/



国内線の減少幅は昨秋以降、徐々に縮小しているとは言え、
なんとも厳しい状況のJAL。

これを受けて、
同日、リストラ加速を発表。

『会社更生手続き中の日本航空は9日、
主力運航子会社の日本航空インターナショナルの

地上職と客室乗務員の35歳以上の次長・課長級と一般職、
50歳以上の整備技術職を対象にした特別早期退職を
11日から募集すると発表した。

期間は4月9日まで。

・・・

日航は9日、グループの早期退職募集により、
2010年度に180億円の人件費削減を見込んでいることも
明らかにした。
今後、パイロットなどについても早期退職を募集する方針。』
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/business/other/366639/
産経新聞2010年3月9日記事より


まったなしの状況が続くJAL。

今後、1ヶ月以内には、特別早期退職募集状況の発表が。

9000人のうち、1700人の退職を想定しているとのことだが、
その割合は、18.9%と、約5人に1人の退職を想定している。

果たして、このリストラ策は、どのような結果となるのだろう。


今週のJAL再建関連記事ということで、
本日は、週刊ダイヤモンド 2010年3月13日号
「民主党VS自民党の密かな争い
JAL問題の責任追及合戦」より、
一部抜粋


1月19日に会社更生法適用申請をし、
企業再生支援機構の傘下で再生を目指している
日本航空(JAL)をめぐって、
民主党対自民党の争いが始まろうとしている。

自民党は3月中旬から、
衆議院の国土交通委員会でJAL問題を徹底追及する
構えを見せているのだ。
党内では昨秋から、「航空問題プロジェクトチーム」を発足。
前原誠司国土交通大臣の迷走ぶりを問題視してきた。

対する民主党は2月、自民党政権下でJALが政治の道具として
利用されてきた経緯や、粉飾決算の有無を明らかにする
プロジェクトチームを発足させる予定だった。

永田町では
「想像以上にJALの再建は難しい。
なにかあれば自民党政権下の粉飾のせいにしよう
という魂胆なのではないか」
との観測が広がったが、
民主党自体がJAL問題に一枚岩となって取組もうという
機運が薄く、チームの発足は延期となったまま、
放置されている。

再生計画が確定する夏以降には、
つなぎ融資を返済するため、メガバンクなどに
約5000億円もの資金を借りなければならないが、
当面はここが最大の難関だ。

なんとしても国際線の2社体制を維持したい国土交通省と、
国際線を手放したくないJALの思惑があり、
徹底したリストラ計画ができるかどうか、疑わしい。

しかし、生半可なリストラ計画では
メガバンクを説得できるはずもなく、
またぞろ政府保証を付けるか否かでもめる可能性が高い。』
(週刊エコノミスト 2010年3月13日 p22)


いろいろな資料を見ていくと、
国際線撤退の線が時間経過とともに
徐々に濃くなっていくのが分かる。

一般的に考えても、
国際線は、景気動向や国の情勢、流行病、天災など、
業績の振れ幅が大きく、
短期間に収支回復をするためには、
確実な国内路線に特化する方が望ましいはず。

これまで法的整理の問題でも
バタバタした民主党。

ここで、国際線撤退は、判断として難しいだろう。


このままだと計画達成は限りなく不確実であり、
メガバンクを説得するためには、政府保証は、
飲まざるを得ないのではないだろうか。

すると、民主党は、自民党に叩かれる。
こんな流れだろう。





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DIAMOND ONLINE
「経済ジャーナリスト 町田徹の“眼”」
2010年2月12日
『JAL稲盛会長がアメリカン選択を決断した深刻なる理由』
http://diamond.jp/series/machida/10112/?page=2
に、JAL再建計画に関する杜撰さを指摘した記事がある。

以下、一部抜粋。

実際、金融、航空関係業界では、機構とJALが作成した
再生計画の杜撰さを指摘する簡潔なリポートが何種類も
作成されている。

これらの中には、関係者に対する説明資料として極秘扱いで
流通しているものも少なくない。
これらの資料を見れば、どれほど銀行幹部らが、JALの再生を
危ぶんでいるかも頷けるというもの。

そこで、その一部を紹介すると、
「JAL再生計画の問題点」と題したA4用紙1枚の資料は、
甘い需要予測による収益見通しに加え、出口戦略を描けないまま、
更正手続き中の6ヶ月間全便運航というやり方は、
止血せずに輸血だけを続けるようなもので

二次破綻のリスクが懸念される」
とばっさり切り捨てている。

「企業再生支援機構『再生の方向性』に対する意見」とタイトルが付いた
別のA4用紙1枚の資料も

「2010年度の売上高が対前年比で▲1430億円に対し、
営業費用が▲3744億円となっており、
文中にある子会社の売却や、燃料費・人件費・その他費用の減額を
加味しても、費用全体の10%超を単年度に削り込む計画は実現不可能」

などと計画の実現性の乏しさを突いている。

さらに、航空業の専門家が作成したA4用紙3枚の
「企業再生支援機構『JAL再生の方向性』に関する疑問点」
という資料にいたっては、

デフレ基調下では120%を超える単価回復傾向は不可能
実現性ゼロに等しい」

「日本の需要特性として、季節波動、曜日波動、朝夕に集中する時間帯波動
が顕著なうえ、満席便の折り返し便は低需要便という現象がかならず
発生するため、搭乗率65%を国内線で実現することは幻想」

2010年度にB787型機が3機導入されることになっているが、
乗員養成や機材慣熟から同年度内の国際線運航は不可能。
それを計画前提に加えていることは端から出来ないことを盛り込む
『確信犯』ではないか?」

と計画の実現性に疑問を投げかけている。』



今までと何ら変わらぬ運航をしていれば、
これまでと同じように赤字を垂れ流すだけではないかと
最近のJALの様子を見ていて考えてしまう。


計画は杜撰であることは、
それが即ち、達成できないということとイコールではない。

しかし、時間が経てば結果は自ずと出てくる。

少なくとも、四半期ごとに、計画の進捗が報告される中で、
3年間で合計12回の報告が行われ、
どのように計画に修正が加えられていくのか。

正式な計画発表も含めて、今後の動向に注目したい。




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『再生JALの足かせ?
羽田発着枠を利権化する航空行政』


JAL再建のためには、不採算路線からの撤退が不可欠。

国内線14路線
国際線12路線から撤退が計画されているが、
他の航空会社との兼ね合いも含めて
どのように進めていくのだろう。

以下、
WEDGE 2010年3月号
WEDGE OPINION  森功氏 記事より抜粋


航空業界自体が規制業種だったせいもあり、
航空会社は政府・国土交通省に
随分神経を使ってきた。

むろんただ赤字路線を飛ばすだけでは、
会社の経営がなりたたない。

従って、赤字路線を飛ばす代わり、
黒字路線の発着枠をもらうバーター取引を
繰り返してきた
、といわれる。

1980年代半ばまで国際線を独占してきた日本航空(JAL)。

成田空港20万回の発着枠比率でみると、
外国キャリアがトータルで56%を占めているが、
単独の航空会社ではJALがトップの27%。
全日本空輸(ANA)はその半分ほどの14%の
シェアにとどまっている。

むしろ問題視されているのは国内線だ。
なかでも、国内最大の基幹空港である羽田との路線で、
いかに大きな権益を得られるか。
そこが航空会社にとって、営業戦略のポイントになる。

ただし、羽田の発着便にも赤字路線は少なくない。
むしろ営業上、航空会社は赤字路線を飛ばしても
意味がないのだが、そうはいかない。

97の空港ネットワークの赤字空港を存続させるためには、
羽田路線が必要だと国交省は言う。

その綱引きの中で、四苦八苦してきたのが、
JALだとされる。

が、実のところ、航空会社がどのようにして赤字路線を
押し付けられてきたのか、その実態となると、
ほとんど知らされていないのではないか。


赤字路線と黒字路線のバーター取引。
来る10月、4本目のD滑走路が共用され、
新たに発着枠が増える羽田空港で、それを検証してみる。

地方空港と同様、航空会社にとって、
羽田空港路線のドル箱路線は垂涎の的だ。
現在の発着枠30万3000回が、40万7000回に増えるため、
航空会社はその10万回増枠分の争奪戦を展開してきた。

その国内空港の発着枠分を決めているのが、
国交省航空局なのである。

・・・・

10万回の羽田増枠分のうち、
まず今年10月と来年4月に4万7000回が航空会社に
配分先が決定。

内訳は国内2万6000回、国際2万1000回だ。

国際線は相手国との二国間交渉によって決まるため、
焦点はやはり、国内路線枠の配分だった。

その1日37往復便について、
国交省が決めた配分は、
ANA11.5回、JAL7.5回、
スカイマーク、エアドゥ、スカイネットアジアが各4回、
スターフライヤー5回。
その配分基準があからさまなのだ。

発着枠を決定づけるのが、「地方路線や低需要路線の維持」や
「新規航空会社の参入」。

つまり、過去どれだけ地方路線や低需要路線を維持してきたか、
そこが評価点になり、国交省から配分を受けるシステムなのである。

・・・

国交省の決定権は、航空機の離着陸回数だけではない。
新たに与えた発着枠で、路線をどこに飛ばすか、
事実上そこまで指図する仕組みになっている。

羽田空港の発着枠配分を例に挙げると、
その使い道について、
「地方路線限定」「自由枠」「到着枠」「小型機枠」
と指定されている。

JAL、ANAの配分を見ると、それは地方路線に限定され、
福岡や札幌などの幹線便は新規参入会社にしか
与えられていない。

・・・

例えばANAの配分枠には、低需要路線を継続して維持させるための
4枠を与えたが、低需要路線は、
年間利用者数が40万人に満たない路線のこと。
さすがに再建中のJALにはこれがないが、
いずれにせよ経営の足を引っ張る路線だ。

米子、鳥取、庄内、佐賀と羽田を結ぶ4路線がそれだが、
エアーラインの採算分岐点とされる路線利用率60%でみると、
昨年度の鳥取は辛うじて61%を維持している。

が、佐賀は56%しかない。
かなりの赤字路線なのである。

それでも路線を維持するた、増枠分をそこに回せというのである。

・・・

赤字路線を飛ぶ代わりに、黒字路線をもらうという
バーター取引の実例がこれだ。

航空業界の自由化により、路線の設置は認可制から届出制になった
とはいえ、肝心の発着枠の権益を握られている以上、
航空会社が自由に路線を設置するのは不可能なのである。

・・・

国交省は相変わらず、地方航空の路線ネットワークを維持するため、
躍起になっている。

だが、それも限界に近い。

JALの経営破綻により、
撤退する路線をANAで埋めようとする動きもある。
そんなことを繰り返していたら、ANAもJALに二の舞になりかねない。

もはやネットワークが維持できないほど、
空港が増え過ぎてしまった。
そう考えた方がいいのではないか。』


公共性と採算性のバランスは難しい。


『採算性を重視する民間企業の経営と、
ネットワークの維持の公共性の観点を重視する国の方針とは
大きなズレが存在する。
その点を、JALの再生でどのように折り合いをつけるのか。
再建への道筋では、これらの課題に直面しそうだ。』
(週刊エコノミスト 2010年3月9日 「JAL再建」より)


この問題は、JAL単体ではなく、行政も含めた、
抜本的な再建が必要となる。

そうしなければ、JAL失敗のツケを
別の企業が背負う形になってしまうからだ。





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