三鷹市議会 令和6年第2回定例会 半田伸明の一般質問 不登校児童・生徒を取り巻く環境について | 半田伸明のブログ

三鷹市議会 令和6年第2回定例会 半田伸明の一般質問 不登校児童・生徒を取り巻く環境について

令和4年度はその前年度と比べて、不登校児童数が倍増だったり3倍増だったり、すごいことになりました。文教委員会の資料を読み返し、不登校につき「どうやって登校させるか」から「不登校児童・生徒の保護者をどう福祉的に支えるか」の議論開始が必要と考え、今回一般質問で取り上げることにしました。

 

動画はこちらになります。

以下、流れを紹介します。

 

(冒頭の主張部分)

不登校児童・生徒を取り巻く様々な環境について考察を深めていくべきである。

 

(質問)

1)令和4年度の不登校児童・生徒数は、令和3年度と比べて小学校で約3倍増、中学校で約倍増となっている。小学校の場合、令和3年度は不登校60人及びコロナ感染回避という自主的な判断の合計は130人だったが、令和4年度は不登校だけで188人となっている。中学校の場合、令和3年度は不登校68人及びコロナ感染回避の合計が90人だったが、令和4年度は不登校だけで126人となっている。つまり、コロナ以外の何らかの理由があり、それが新たな不登校の人数を増やしたという見方になる。これをどのように分析しているか所見を伺う。

 

2)不登校要因の主たるものの分析で「本人・無気力・不安」という項目が小学校・中学校を合わせて令和3年度が54人だったのが令和4年度に149人まで一気に増加している。約3倍増という結果だ。これをどのように分析しているか、所見を伺う。

 

3)令和5年度に長期欠席・不登校に係る研究会の設置となっていたようだが、どのような議論の経過があったのか、またまとめはどうなっているのか、所見を伺う。

 

4)子どもが不登校となると、保護者は精神的に追いつめられるというのが実態だろう。学校側は子供を再度登校させるべく頑張るわけだが、保護者のメンタルケアまで手が回っていないのが実態だろう。教育ではなく福祉の観点から、新たに不登校児童・生徒の保護者向けのメンタルケアの事業を新規に考えていくべきだと考える。所見を伺う。

 

5)不登校の児童・生徒は学校で行われる健康診断にはいかないと推測される。現状は健康診断担当の校医のところに行けば無料となっているようだが、そもそも校医がかかりつけ医というケースが全てというわけではない。校医と限定せずにかかりつけ医に健康診断に行く場合にも無料とできないだろうか。所見を伺う。

 

(答弁要旨)

(質問1・2部分)

共通することは、議員指摘の、本人にかかる無気力・不安、こちらが約3倍増となっていることに関係があると思う。

長期欠席・不登校状況にある児童・生徒への支援の在り方に関する研究会の議論において、令和元年からの長引くコロナ禍に加え、令和4年の年明けにオミクロン株が流行し、学級閉鎖や学年閉鎖が急増したことによる急な行動制限などで、生活リズムの乱れや先を見通すことができない不安感、人間関係を十分に築けない無力感、学校生活へのなかなか期待が持てないという無気力感により、不定期な欠席が積み重なった結果、無気力・不安を要因とした不登校が増えていると分析している。

 

(質問3部分)

校内別室支援体制の構築など、分教室型を含めた学びの多様化した学校の設置の必要性について協議・研究を進めた。

 

(質問4部分)

児童・生徒に焦点を当てた課題解決だけではなくて、保護者の方へのサポートも重要であると、強く認識している。子ども家庭支援センターりぼんでは、不登校児童・生徒の相談について保護者の意向も確認し、教育委員会の教育相談とも連携しながら、子どもと家庭に関するあらゆる相談に対応している。保護者向けのメンタルヘルスケアについては、状況に応じて臨床心理士が対応しているが、引き続き家庭内の問題に関して総合的な相談支援を行う。

 

(質問5部分)

医療費は助成しているが、健康診断は医療でないため助成の対象とはならず、無料にならない。

 

(再質問)

病気にならないために健診を受けるのである。その健診は金取りますというのは違うのではないか。健診は無料じゃない、金を取る、でも医療の段階になったら金を出すというのは、順序が逆なのではないか。

 

(部長答弁)

指摘は当たらない。

 

(再質問)

りぼんがあるから、それを充実させるというのもわかるが、私がここで言いたいのは、家族の支援を考えられないかということなのである。

 

(部長答弁)

家族全体で支援をしていきたいということである。

 

(再質問)

そうはいっても、りぼんは相談が来て初めて動くのであり、そのペースを超えた不登校になっているのが現実なのである。学校の先生は対応できるか、無理だろう、これだけ急増すると。

りぼんというものがあると、横のつながりというか、知らない保護者はいると思う。アウトリーチまでしろとは言わない、それは個人情報の問題があるから。そこまでは言わないけれども、学校の先生しか入り口がない、スクールカウンセラーしか入り口がないという不登校のお子さんを持つ御家庭に選択肢の幅を広げてあげるという発想って、大事だと思うのだが。

 

(部長答弁)

1枚にまとまった形で情報として提供できるようなものを作る。

 

(再質問)

「本人・無気力・不安」という項目が3倍増というのも驚きだが、もっと驚いたのは、小1.2.3の実態である。急増という言葉じゃ表せない数字になっている。「本人・無気力・不安」というのが、小1.2.3の大半に当てはまるかどうか、この辺りの分析を知りたい。

 

(部長答弁)

このコロナ禍の中で、就学前教育の部分で、なかなかうまくいっていなかった子どもたちが増えたと聞いているが、明確にどこに分類されているのかといったことについては、ここだけではないのかなと思っている。

 

(再質問)

小1.2.3の保護者は、30代や40代などの働き盛りの方だろう。保育園までは送迎をしていた、小学校にようやく上がってくれた、ところが不登校になっちゃったとなった場合、何が原因でこうなったのって多分なると思う。そこで1つ私が考えているのは、タブレットは原因していないのかの検討は必要なのではないかという点である。一般論でスマホは高校生になったらあげるが、それまでは駄目よとかと禁止しているとかよく聞く話である。意味がないわけだ、タブレットを与えちゃうと。信じられないだろうが、タブレットで自宅でユーチューブ見ている事例なんていくらでも聞こえてくる。セキュリティーの在り方の問題もあろうかと思うが。タブレットを小1.2.3の方に与えてしまって、それが原因で、本人・無気力・不安につながっているのではないかという1つの仮説は、私は考えられると思う。

 

(教育長答弁)

それも1つあるかもしれない。学校と家庭の相談・連携が必要になってくると思う。お話のように、スクリーンタイムと、リアルの時間との問題というのは、これから大きくなるかもしれない。有力な仮説の1つかもしれない。それも含めて、しっかりと検討をする。

 

(再質問)

小学校に上がったら、いきなりおもちゃが高価なのが来ると同じなのである。使い方の実態を調査して云々と一般論でなりがちだが、そんなの親が普通に答えるわけがない。なぜなら、子が親に見せたくないだろうから、使っているというところを。だから、タブレットの使い方がいいか悪いかという議論を超えて、与えてしまっちゃったことが、実は不登校の急増につながっているのではないかという仮説を、ぜひこれは検証してもらいたいと思う。

令和5年度に長期欠席・不登校に係る研究会の設置でまとめ云々という話があったが、続編はあるのか。タブレットの部分に特化した議論、私は今後、必要になってくると思う。特に低学年にターゲットを絞って。

 

(部長答弁)

一定の研究というのは絶対必要になってくると思う。タブレットを、先ほど与えるといったこと、そこを起因として、子どもたちのいわゆる無気力・不安感、そういったものが出てくるのではないかといったところについては検討していきたい。

 

(教育長答弁)

家庭に持ち帰らせると、教育的な意味が大きいと考えているから。家庭学習をしようという、させたいというところについては非常に好評だし、効果がある。しかし、それは100%じゃないわけで、確かにそういう懸念もあるということで、総合的にいろんな面から研究してみたい。

 

(再質問)

タブレットを導入して、こんないいことがあったと、過去、本会議でいくらでも話は聞いてきたが、大事なことは不登校の数をきっかけとして、負の側面にもきちんと研究の目を向けるということなのである。

りぼんの件だが、できれば不登校の保護者が困っているのを、りぼん側から能動的に声をかけることのシステムをつくることはできないだろうか。

 

(市長答弁)

個人情報保護の関係で難しい側面がある。どういう方法が可能かということを検討したい。子どもの情報だから、慎重に対応していきたい。

 

(教育長答弁)

スクールカウンセラーはスクールソーシャルワーカーという仕事もしてもらっている。アウトリーチでもって家庭訪問をして、場合によっては福祉につなげたり対応を図っているが、十分とは言えないと思うので、さらに充実させたい。

 

(再質問)

子どもが不登校になったときに、今、お話あったカウンセラーの話、担任の先生の話、で、りぼんがあって、何々があって、何々があって、居場所は例えば多世代交流があってみたいな、先ほど紙を云々とあったが、これは至急対応すべきだろう。予定はどうなっているのか。

 

(部長答弁)

どういう形で配布してするか、必要があれば全部配れるようにしていきたい。

 

(半田締めくくり)

学校に任せっきりではなく、保護者の生きるをどう支えるか、ぜひ今後も検討願いたい。

 

以上になります。

 

今まで不登校問題は「どうやって学校に復帰させるか」の議論ばかりでしたが、学校に行かない選択肢も私はあってよいという考え方です。

しかし、それは保護者が対応可能なケースに限られるでしょう。現に共働きで小さなお子さんが不登校、お昼ご飯どうするという問題は発生しますし、様々な問題をつぶさに見ると、これは究極的には「保護者の生きるをどう支えるか」に行くつく問題なんだろうと思います。その不登校の数が急増という言葉では説明がつかないほどに激増しているのです。日々悩んでいる保護者の方がどんどん増えているのです。学校の先生の対応だけではどうしても無理が出てしまいます。

 

天文台のまちづくりで大沢台と羽沢が一緒になるとか、義務教育学校とか、なんだかこう華やかな話ばかり先行しがちですが(私は反対を表明しています)、大事なのは市民の「生きるを守る」であり、税はそのためにこそ使われるべきというのが私の考えです。

 

少し前に高齢者施設の更なる拡充を求めました。これは親の介護に直面した方々の介護離職をどう防ぐかという観点から質問しました。

今回の不登校も実は同じ構図なのです。子育て世代の「生きるを守る」という観点から不登校問題を見直すと、様々なことに気づかされます。

お子さんの昼食問題、お子さんの居場所問題(多世代交流センターのような)、タブレット持ち帰り問題、お子さんの学びの問題、これらを学校任せではなく、保護者の生きるを支えるという視点から、新たな福祉の問題として捉えていくべきではないかという質問でした。

 

福祉というものをどう捉え直すべきか、今私が考え続けていることです。