三鷹市議会 令和6年第1回臨時会 | 半田伸明のブログ

三鷹市議会 令和6年第1回臨時会

1/25臨時会、補正予算案1件の審議でした。

 

 

補正予算案総括表(事業概要)

議案

 

大きな柱として3点あります。

 

<一般財源から先出ししたものに国の交付金を充て、一般財源からの負担がなかった形にする>

当初予算で一般財源から出していたが、国の交付金が見込まれたので、後付けで先出部分を補填というものです。

新型コロナ対応ということで、国から地方創生臨時交付金というものが下りてきました。昨年3/29に内定、2億8678万です。当初予算審査が終わった後に国の交付金が下りてくるのが決定したというわけです。

9月補正だったと記憶していますが、そのうち1億5387万使っています。余りの1億3081万をどうするかが問われていましたが、このような穴埋めにするということになりました。

なるだけ一般財源からの持ち出しをすべきではないという考えから、この点は賛成ですね。

 

<国からおりてくる低所得者対策の資金を配る>

これは文字通りです。市の負担はないです。これも賛成ですね。

 

<昨年12月に交付が決まった国の物価高騰対応の交付金に、前年度決算の余りを加えて商品券事業をする>

物価高騰対策として国から2億636万、事業概要3Pにあるように、プレミアム分が2億となっていますので、要は国のお金はプレミアム分になるということですね。ここまではわかります。

支出は3億1521万、この差額を前年度決算の余りを使うよという形です。

 

ではこの差額はなぜ発生するのかとなりますが、再度事業概要3Pをご覧ください。この商品券事業は、「みたか地域ポイントアプリ」を利用しないと恩恵を受けられないようになっているのです。このアプリ関連で多額の事務費が発生し、これが約1億という構造になっているのです。

 

もともと、地域ポイントアプリ事業は河村市長の肝いりで始まったようなものです。アプリを使えば使うほどポイントがたまっていく、貯めるためにはボランティア活動などをする必要があるということです。

アプリ登録者数は3千人ほどという話を聞きました。憶測ですが、まぁ市の職員や家族がほとんどではないのかなとすら思えてきます。それを考えると、ほとんどの市民に相手にされていないというのが実情です。

 

つまり、肝いり事業がスベりにスベり、何とかしてこのアプリ利用者を増やしたい、そこに国の物価高騰対策の交付金が来た、セットで合わせて商品券事業の恩恵を受けたければアプリ登録しろと、いわば半強制されるという補正予算なのです。

 

一言でまとめると、「恩恵を受けたければ踏み絵を踏め」と言われているのと全く同じなのです。

 

これはいくら何でも行き過ぎだと思います。以下、いくつか問題点を書いておきます。

 

・クレジットカードで購入ができること

→利用残高に応じてその人の信用力が増えるのがクレジットカードの基本的な仕組みですが、個人の信用につながるものに税を介在させるのはおかしいと思います。また、ポイントの恩恵も付きます。おかしいですね。

 

・前回3割、今回2割のプレミアム

→要するに、国からくるお金はいくらか、余ったお金はいくらかから逆算しているように思えてならないのです。前回となぜ違うの?と言われたらどう答えればよいのでしょうか。

 

・紙ベースの商品券発行はない

→全部デジタルの良し悪しは人それぞれの価値観ですが、物価高騰に困っている世代でデジタルを使用してない層は当然ながらあります。広く薄くやらなければならないのに、デジタルが前提となると、人の能力によって物価高騰対策の恩恵を受けられる受けられないとなっていきます。消費補助の側面を持つものは入り口で差別があるのはおかしいですね。

 

国の交付金は広く国民にというのが当然だと思うのですが、自分の肝いり事業がスベッたからなんとかカバーしたい、それと紐づけるという姿勢はいかがなものかと思います。

 

そもそも、前年度決算で生じた余りのお金は、市民のものです。私はそれを借金返済に充てるべきと主張してきました。借金返済は当然ながら市民「全体」の負担が減ることになりますしね。

 

余った大切なお金を使いたいように使う市長という構造を、皆さんどのようにお考えになりますか。

 

私はこの国に真の民主主義はないという考えの持ち主です。

税を取り好きに使う権力者がいる

取られ損の税を我慢して支払う納税者がいる

この二極構造は残念ながらあるのです。

 

私は取られる側の「好き勝手に使われて悔しい」という気持ちをどう議会で出していくべきか、これを考えながら過去20年議員活動をしてきました。

 

税を取り好きに使う権力者たる市長は、毎年入ってくるお金を自分のことのようにして使うのでしょう。表面的には福祉だのなんだの言っても、結局「好きに使う」という構図は何ら変わらないのです。そういえば、数日前の第5次基本計画に関する全員協議会でも、特養などの高齢者の介護施設整備を新規で考えていないとはっきり答弁がありました。

 

本当に求められていることがある。

一方、税を取り好きに使う側は自分のやりたいように事業を考える。

しかもそれがスベッた。

にもかかわらず国の交付金を使い何とか浸透させようとあがく。

 

まさに、やりたい放題が一気に噴き出たのが、この補正予算案という判断を私はしたのです。

 

大切な決算の余りのお金を使わないために、国からおりてきた交付金を使わないという選択肢すらありうるわけです。

もっと書くと、実はこの交付金自体を、一般財源から先出ししている事業に充てることもできるのです。

 

納税させられている三鷹市民の皆さん。

 

私は「取られる側」の論理で考え、本事業はどう見ても納得できないのです。

これって、あのマイナポイント事業と全く似た構造ではないかと書いたら書きすぎでしょうか。

 

というわけで、本補正予算案には反対しました。

 

タイミング悪いときは重なるもので、昨日、似たようなアプリ事業を都が展開するというニュースが流れました。

QR決済での買い物にポイント還元、東京都が今夏にもアプリ提供…新年度予算案に開発費計上

まあ、数年後に三鷹市は二重行政を推し進めたという総括がなされても仕方がないかなと思えてきます。

 

たまにしか反対がないので、え?と思った職員がここを見に来たというケースもあるでしょうから、職員の皆さんにも一言。

自分たちが取り組んでいる仕事が、取られ損の税を我慢して支払っている納税者にどう映っているか、彼らの潜在的不満を和らげていることができているか、常にこの視点を持ち合わせていただきたいと思います。

 

市長にも言い分があるのでしょうが、

「物価高騰対策の恩恵を受けたければ踏み絵を踏めということか?」

と反論されたらひとたまりもないでしょう。

事前にそこに思いを馳せることができていないなら、それは真に納税者が何を不満に思っているかを考え抜くことができていないという事と、全く同じなのです。