三鷹市議会 令和4年第2回定例会 半田伸明の一般質問 今後の財政運営のあり方についてpart10 | 半田伸明のブログ

三鷹市議会 令和4年第2回定例会 半田伸明の一般質問 今後の財政運営のあり方についてpart10

今回は、債務負担行為(複数年契約)と扶助費について取り上げました。

動画はこちらになります。
以下、流れを紹介します。

(冒頭の主張部分)
債務負担行為と扶助費につき、予算編成の際の拘束性を問題視すべきである。

(質問)
1)複数年の支出が決まっている債務負担行為のうち、一般財源の負担を直近の予算と10年前とで比較すると、42億から119億に増加していて、約3倍になっている。主な要因は何か。所見を伺う。

2)福祉にかかわる経費である扶助費のうち、一般財源の負担を直近の決算と10年前とで比較すると、41億から67億に増加している。主な要因は何か。所見を伺う。

3)市税収入は、10年前に比べ直近の予算では50億増だが、債務負担行為及び扶助費に占める一般財源の負担増を考えると、実は10年前と比べて直近の予算は編成が厳しくなっていたのではないかと推測する。所見を伺う。

(答弁要旨)
(質問1部分)
システム調達における契約手法の変更が最も影響している。10年前は、開発・保守を単年度契約で行っていたが、開発と保守を含めた複数年にわたる利用計画が主流となってきていて、東京自治体クラウド利用料や機器使用料など、システム利用料の増が全体の9割を占めている。
また、リース方式による空調設備や施設整備なども増えている。

(質問2部分)
10年前との比較で最も増加したのが私立保育園運営費で、待機児童対策として、私立保育園の開設を進めてきて、約16億円の増となっている。
また、障がい者自立支援に係る給付費の一般財源も約6億円の増となっている。

(質問3部分)
予算編成の厳しさの目安として、基金取崩しの状況がある。
10年前の平成24年度予算での基金の取崩しは16億円だったが、リーマンショック後、市税収入が伸び悩む中で、新川市営住宅跡地の売却、臨時財政対策債の活用など、財源対策を総動員した上での取崩し額であり、実質的には極めて厳しい財政状況にあった。その後、市税収入は回復基調となり、また、事務事業総点検運動や公共施設総点検運動などにより、財政基盤の強化に努めてきた結果、平成26年度以降、当初予算編成時における基金の取崩し額についても10億円台で推移するなど、比較的安定した財政運営の時期を迎えたところである。
しかし、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、令和3年度、4年度と予算での基金取崩しは20億円を超える状況が続いている。予算執行における創意工夫により、基金取崩しを極力抑制しながら、残高に留意した慎重な財政運営に努めていきたい。

(再質問)
まず、債務負担行為から。10年前と比較して42億円から119億円と言ったが、清原市政の最終年度、平成31年時点で実は108億円もある。
これは最大の要因は、いわゆる自治体クラウド、住民情報システム共同利用推進事業で、46億円。つまり、10年前に比べてこれがぽこんと乗っかった108億円で清原市政は最終年度を迎えた。実はこの46億円は、今どんどん返済進んでいて、直近の予算だと27億円になっている。
ところが、河村市政になって、その際一番ぽこんと浮いた、清原市政の最終年度の債務負担行為の一般財源充当分の108億円をさらに超えて、先ほど申し上げた今の119億円になっているわけです。つまり、さらに増やしている。この主な要因は何にあるのか。

(部長答弁)
1つは学習用タブレット端末の使用料の8億、その他に学校空調設備の使用料、さらにはコミュニティ・センターの空調機器の使用料。コミュニティ・センターでいきますと4億円弱、学校の空調設備でいきますと2億4,000万円。

(再質問)
直近の市税収入だと380億円ぐらいだが、実に1/3近く債務負担行為が占めている状況に突入しつつある。
増の一途をたどっているから、例えば税収に対して、債務負担行為の一般財源充当分の総額は幾らまで、税収のうちの何割までにとどめるべきだろうということをしておかないと、どんどんどんどん膨らんでいって、債務負担行為自体は準義務的経費と言われるものですから、実質は借金と同じなわけですから、この点について上限設定をするべきではないかと考える。

(部長答弁)
何か基準をつくるといったことはなく、1件ずつ丁寧に審査をしながら予算計上していきたい。

(再質問)
例えば、自治体クラウドだと、行財政改革の効果が幾らあるよとなる。この46億円の支出に対して行財政効果が単年度で幾らとか、計算できているのか。
大事なことは、それらをきちっと毎年毎年精査をしているかという話である。

(部長答弁)
自治体クラウドは、当初の契約から4割減ということがあった。それが理由で一定程度学習用タブレット端末の整備に回すことができたということもあった。

(再質問)
各コミセンで、空調設備のリースが今回、市長の1期目の任期時に始まった。これをやることによって、毎年幾ら拘束されるということを、市長はどのように認識なされたか。つまり、債務負担行為全額に対して、これはこれだけ新規がかかると、それぞれが後年度にどのように影響を与えているかということを、どう考えていたか。

(市長答弁)
基本的にリース方式である以上いって、期限が来たときに、買取りという方法と、そこでやめるということをもう一度選択できる。そういう意味で、財政的にルーズになるとは考えていない。
メリットを市民の人に味わっていただきながら、財源効果が見える形で今、進んでいると思っている。

(再質問)
はっきり言うと、安易に新規事業をやらないでくれということなのである。

次に扶助費についてである。
元気創造プラザ事業が最終年度を迎えたのは平成28年度だった。その時の状況と今と比較をしてみた。扶助費は11億円増である。
大事なのは、それを含んだ全体の義務的経費はどうかという発想である。
一番借金が膨らんだであろう防災公園の最終年度のときでさえ義務的経費は186億円。直近で194億円。これをどう考えるか。

(部長答弁)
待機児対策と障がい者の自立支援給付がある。

(再質問)
そういうことを聞いているのではない。もう一度市長に聞く。
防災公園・元気創造プラザ事業で、最終年度の借金を迎えた平成28年度に比べて、義務的経費、義務的経費というのは人件費と公債費と扶助費だが、充当一般財源の部分について言うと、当時は186億円、それが直近の令和2年度で194億円に増えている。ここをどう考えるかと聞いている。

(市長答弁)
清原市政のときに、ここを売って、ここを売って、ここを売って、全体としてプラス・マイナス何とかするという話を、実際にはそういうことをしなくても済んで、現在、公債費自体がどんどん減ってきていると、あるいは基金がどんどん積み上がっているという状況だと理解している。

(再質問)
扶助費の伸びをどう担保するかだが、実は公債費減ったといったってせいぜい数億円である。10年前と比較すると、公債費は実は9億しか減っていない。その9億減った分が、扶助費の充当一般財源の増に全部吸収されてしまっている。これが現実である。
よく市長は本会議場で、公債費の返済が進んで枠空き、それが投資余力という言い方をしますが、投資余力はないのである。扶助費に全部吸収されるのだから。

(部長答弁)
公債費が減った分扶助費に回っていたのは御指摘のとおりだと思う。

(再質問)
公債費の枠空きで投資余力ができたということは、今後言わないでもらいたい。それを含めた義務的経費自体は増えているのだから。
今後、大型投資事業に踏み切るときに、公債費の枠空きがこれだけ発生しましたから、これだけやれますということが、実は扶助費がどんどん上がっているって、これでは本末転倒ではないか。義務的経費全般で見るようにしてもらいたい。

(市長答弁)
投資余力という考え方はなくすわけにはいかない。実際に税収的に見て余力が出てきている。それが全部扶助費に吸収されることはない。

※半田注釈
これは市長の思い違いであり、実際は税収増が扶助費に対する充当一般財源の増にあてはまるのは、ここ数年の予算で明らかとなっています。

(市長答弁続き)
市というのは、家計と違って、借金することは悪ではない。

(再質問)
借金は悪いことじゃないって、それは返せるならばである。返せない可能性が出てきているじゃないかということなのである。扶助費が伸びている部分に公債費が減った部分が吸収されているではないか。
単年度公債費で、例えば100億円借りた、20年割賦で返す、毎年5億円返さなきゃいけない。その5億円が返せるのであれば、借金は悪いものではないと言い切れるだろう。私はそうならないのではないかと危惧しているのである。
単年度公債費で幾ら返せるというところから逆算をして、扶助費の伸び率を今後、例えば、令和10年度から始めるとすると、その時点で伸び率はこれだけだろう、扶助費はこれだけだろう、税収はこれだけだろう、だったら公債費でこれだけ枠が余るから、これだけで20年度で割り返したら幾らだという発想が大事なのである。返せなかったら意味ないのである。

(部長答弁)
各年度の単年度の予算の中できちっと対応していくしかない。

(再質問)
清原最終年度の比較をもう一度する。
扶助費11億増、公債費3億減、一般会計から国保会計への赤字繰り出し2億減、つまり6億のコスト増だが、実はこれ、税収増にぴたっと合う(※先ほどの半田注釈参照)。
つまり、税収増で何とか間に合っているというのが現実なのである。ここで仮に5億円、10億円税収が減ったら、どこを削る、どこを削ると、こうなっていく。その心配をしているのである。
公債費の枠空きで投資余力があるという判断ではなくて、義務的経費全般、準義務的経費とも言える債務負担行為全般、あと、特別会計である国保会計に対する赤字繰り出しの額などを比較して、毎年どの辺まで返せるのかというのは、単年度予算の公債費の額ありきで考えてもらいたい。

(部長答弁)
次の第5次基本計画の中で全体を見通し、慎重な財政運営に努めていきたい。

(再質問)
公債費の枠空きは、回せるところはあるわけがない。扶助費に全部吸い取られているんだから。

(部長答弁)
行革なり財源を確保しながら、全体としてのきちっと収支の均衡を図っていく。

(半田締めくくり)
義務的経費が増加の一途である現状で、大型投資に踏み切るのはやっぱりちょっと怖い。そこの懸念を表明して質問を終わる。

以上になります。
河村市長としては公債費の枠空きを投資余力と言い続けていくしかないのでしょうね。
もちろん投資余力はありません。義務的経費全体に占める充当一般財源が伸び続けている以上は、義務的経費の一要素でしかない公債費だけを取り上げて投資余力と言うのは、もはや論理破綻しているからです。

若干話は変わりますが、1929年の大恐慌レベルに匹敵するバブル破裂がもう目の前に迫っているというのが私の基本的認識です。
もしそうなれば、当然ながら税収減は凄まじいことになります。なんとかわずかながら増えてきた税収増でなんとか扶助費の増を賄えて来たのに、それが破壊されてしまうわけです。その時点で、再開発なりなんなり河村市長の大好きな大型投資は実質的にできなくなると、誰もが気づくでしょう。

私の目から見て、もうアップアップの状態なのに、大型投資に踏み切れるとは思えないのです。先に書いた大型バブル破裂が終わった後に、ようやく投資について考えることができるのかなと思います。ただかなり先の話です。バブル破裂に直面し、これではもう予算そのものが組めないとなってから、初めて行政は気付くのでしょうが、元銀行員の私はあくまで資金繰りの発想から論を組み立てますので、意見が食い違うのは仕方がないですね。

市側の見方が正しいか?
私の見方が正しいか?

いずれ判明してくることでしょう。