三鷹市議会 令和3年第4回定例会 半田伸明の一般質問 行財政改革についてpart1 | 半田伸明のブログ

三鷹市議会 令和3年第4回定例会 半田伸明の一般質問 行財政改革についてpart1

改選後ずっと財政運営の質問を続けてきましたが、それに一区切りをつけ、今回から行財政改革シリーズになりました。
今回は公有財産の維持管理費のあり方について質問しました。

動画はこちらになります。

以下、流れを紹介します。

(冒頭の主張部分)
公有財産の維持管理費の増につき、削減を考え始めるべきである。

(質問)
1)平成元年の日経平均最高値を境目に、日本は景気低迷が続いている。一方、市の公有財産は土地が約17万㎡、建物が約10万㎡増えている。直近決算と平成元年度決算と比べて、公有財産の維持管理費はいくら増えたのか。

2)税収の頭打ちが見え始めている中、公有財産の維持管理費のあり方を抜本的に削減すべきと考える。所見を伺う。

3)令和2年度決算は、緊急事態宣言下による公共施設の一部利用制限などがあり、多くの決算剰余金が発生した。施設にもよるが、おおよそ何日閉じていくら浮いたことになるのか。

4)税収に対し維持管理費の割合が何割かにつき、都内の各自治体との比較をしたことがあるか。

(答弁要旨)
(質問1部分)
公共施設に係る維持管理費で約19億3,000万円、公園やグラウンド等に係る維持管理費で約1億6,000万円、合わせて20億9,000万円の増である。

(質問2部分)
行革を行いながら、効率的な施設管理等によって、維持管理費の縮減や、民間活力の活用による資産の有効活用など、多方面な視点からしっかりと効率的、効果的なマネジメントにより、トータルコストの縮減を図っていく必要がある。

(質問3部分)
おおむね60日から90日間程度である。休館による施設の維持管理費の影響を精緻に推計することは困難だが、コロナによる影響を受ける前の令和2年度と令和元年度の予算と決算の差額となる不用額を比較すると、令和2年度決算では約1億2,000万円増えていて、休館により、維持管理費に一定の影響があったものと捉えている。

(質問4部分)
他の自治体と比較するためには、統一的な方法による積算が前提となるが、現状ではそうしたデータがないため、都内の各自治体と比較したことはない。

(再質問)
平成元年と比べると人口が3万人弱増えている。人口の増に合わせて公共施設を増やさなきゃいけないという側面は確かにあったと思う。

(市長答弁)
人口が増えれば一定程度サービス、施設は増大していくという傾向はある。
しかし、人が増えればどんどんサービスも施設も増やしていけばいいのかというと、そうではない。ただむやみやたらに増やしていけばいいという、いわば予算的なポピュリズムとでもいうのだろうか、そういう形で対応していくことは、都市経営上避けなければいけない。

(再質問)
決算の時期に配られる、財産に関する調書というのがある。その入り口部分に「公有財産の総括」がある。
これを平成元年度と平成14年度、つまり、安田市政が終了した年で比較すると、安田市政で公有地が11万平米、建物の延べ床面積が6万平米増えた。
清原市政は、実はさほど増えてない。公有地につき安田市政が11万平米増えたのに対し、清原市政は6万平米と約半分だ。建物の方は清原市政で4万平米増えている。
人口増を平成元年と比較すると、直近では1.17倍である。ところが、今、土地の地積は1.3倍の増加率で、建物は1.4倍の増加率である。
つまり、人口増以上に、公有地も建物も増やし過ぎちゃったというのが数字で発生している。

(都市整備部長答弁)
公園やグラウンド等については、借地公園の公有地化が進んでいる。
建物だが、平成元年度以降、芸術文化センターやけやき苑、はなかいどうなどの芸術文化、福祉の新たなニーズに対する対応を図ったことが原因である。

(再質問)
増えているのは事実で、その結果比例して維持管理費も増えている、この点は共有したい。次に税収だが、平成元年は300億。直近だと385億、つまり税収は1.28倍である。先ほど、建物の部分については1.4倍、土地の部分については1.3倍と言った。つまり、税収増を超える資産を持ち過ぎてしまったことになる。

(都市整備部長答弁)
例えば、公共施設1平米当たりに対する市税収入といった部分では比較検討している。
令和2年度の決算によると、三鷹市では11万6,000円である。武蔵野市では13万円、調布市では13万1,000円、府中市では8万2,000円、小金井市では13万1,000円、西東京市では10万2,000円となっている。
また、多摩の市部の平均でいくと9万1,000円であり、全体的に26市での税収と施設取得量を比較すると、三鷹市は1人当たりの税収としては平均以上だが、施設量としては市部の平均以下と整理をしている。

(再質問)
人口はいずれ減る。当然税収減となる。にもかかわらず、この規模を維持し続けられると思っているのか。

(市長答弁)
何かを増やしたら何かを減らさなきゃいけない。財源は限界があるから。施設的な一定の限界は、高度成長期から安田政権までで大体固まった。指摘の点は非常に大切な視点だと思う。

(再質問)
今の答弁で、何かを増やしたら何かを減らさないといけないとあった。その通りである。
税収が頭打ちの状況を考えると、私も同じで、新たな公有財産を増やすことに対しては慎重であるべきだという考えである。税収減がいずれ本格化すると、維持管理費のコストが占める比率が増えていく。その分、教育や福祉に財源を回せなくなるという危険性がある。やはり、これ以上、公有財産を増やすべきではない。
その観点からすると、いわゆる駅前再開発については、維持管理費の在り方からすると、抜本的に見直すべきではないか。何かを増やしたら何かを減らさないといけないという今の御発言と、駅前の再開発をすることによって新たに増えることの整合性はどうなのか。

(市長答弁)
私は逆の発想である。何かを増やすから何かを減らすのであって、最初から枠組みをつくって、新しいことをしないという話じゃないと思う。新しいことをしなければいけないから、古いものをどういうふうに削るかという発想が出てくるのである。
再開発で新しいものをつくり出す、それによってグレードを高め、税収も高めていくということが一方であり、そこに合わせて縮めるものを縮めていくという発想になる。
結論は似ていると思うが、発想の順番が違う部分がある。

(再質問)
私はもともと銀行にいた。取引先を見るときに、売上高固定費比率という発想で見る。
今の市長の話は、売上高、我々からいうと税収だが、上がっていくという前提の下の議論だ。
私は逆だ。発想が違うということは改めて認識をした。
駅前再開発については、私は根本的に、ここで反対の意思を表明しておきたいと思う。
維持管理費は、性質別経費でいうと物件費になる。これも平成元年と直近決算を比較したのだが、税収増の85億、実は、扶助費の増と繰出金、例えば介護保険とか後期高齢者医療だが、この扶助費の増と繰出金の増で85億である。
つまり、税収増は全部消えているのだ。では維持管理費の増や人件費の増や公債費の増をなんで賄えているかというと、投資的経費が当時より減っているから何とか賄えていることになる。
市長は税収増というが、その税収増もいずれ扶助に消えていってしまうのである。となると、今の時点で投資的経費をこの時点からどんどん増やしていくとなると、維持管理自体が回らなくなる。ここの危険性を言いたいのである。

(企画部調整担当部長答弁)
施設を整備する際に、後年度負担がどの程度かきちんとシミュレーションをした形で事業に着手することは当然の大前提だ。将来的な税収を見極めながら、施設整備のあり方、ランニングコストのあり方を推計して、自治体経営を進めていきたい。

(再質問)
いつもそう言うが、後年度負担のことを考えなきゃいけないと言いながら、減価償却の発想がないではないか。減価償却基金をつくれって何度も言ってきた。

(企画部調整担当部長答弁)
減価償却、維持管理費がどう跳ね返ってくるのかを見極めた財政運営、自治体経営を進めていきたい。

(再質問)
資産の有効活用と市長はいつも言うが、資産が増えていって、維持管理費の増がどんどん増えていく側面を考えると、有効活用で入ってくる賃料は当然あるのだが、それ以上の払いが公債費で発生したら意味がなくなる。

(企画部調整担当部長答弁)
まさにそういった視点で、基本計画の改定、策定に当たっては、財政フレームをきちっとお示しすると。施設を整備した際に、じゃあ公債費はどうなるのか。借りたら公債費はどう推移するのか、維持管理費がどう増えるのかといったところをきちっと示している。

(再質問)
ところが、示していただいた財政計画が狂うことがある。リーマンショックがそうだったじゃないか。同じような急激な景気変動があった場合に、今、税収増がそのまま扶助費などに消えちゃっている現状からすると、太刀打ちできない。

(市長答弁)
建物はできた瞬間に負債になるという指摘がある。これはよくわかっている。
ただ、そこの建物ができることによって地域全体の付加価値が高まり、税収が増えてくる可能性があると思っている。
一定のバランスを見ながら、政策を追求していくことが大事であり、何もしなければいいという話にはならない。

(再質問)
安田市政・清原市政で増えた部分については、鈴木、坂本と続いた、昔から続いてきたものを完結したという認識がある。一定程度の成熟がここで完成して、さらに体力以上の駅前再開発をしようとしているのではないか。ここで打ち止めなのではないか。

(市長答弁)
駅前再開発を何で言っているかというと、産業や商業に対しての視点がコミュニティ行政を進めてきた三鷹市としては足りない部分があった。1つの改革が全部つながっていて、その意味で大きな変革をしなければいけない時期に来ている。
確かに金がかかる話だ。同一時期に全部重なれば破綻する。そこは十分肝に銘じて慎重に進めたい。

(再質問)
マチコエや太宰治文学サロなど、借りたものについても維持管理費は発生している。この数字は出ていないとみているが。

(市長答弁)
借りたものの数字というが、もっと見えていないものがある。それはボランタリーな部分だ。この経済的な苦境の中で、簡単にボランタリーな精神に依拠することが難しくなっている。そのことのほうが、私は危機的な状況だというふうに認識している。

(半田締めくくり)
固定費の増が税収減に間に合わなくなって苦しむ事態が来るのではないか、その点からの問題提起だった。くれぐれも慎重な財政運営をお願いしたい。

以上になります。

日経平均最高値を記録した時と比較して、税収は増えてはいるが、扶助費や介護などの繰出金に全額消えていること。
当時より投資的経費が少ないから、何とか維持管理費を賄えていること。
駅前再開発で投資的経費が増えていくなら、もう維持管理しようがないこと。

今回改めて古くからの資料を調べてみて、三鷹市は綱渡りでやってきたんだなぁと実感させられたのです。
市長は施設の統廃合とよく言うのですが、そうは言いながらあの元気創造プラザ事業ではまともにそれがなされませんでした。たまたま剰余金などが発生していくつかクリアーしましたが、とはいえまだ井口特設グラウンド部分53億円が残っています(あと約半額)。

行政というものは、入ってくる現金を見積り、ではどう使うかという思考回路ですので、将来的にどうなるかにつき失礼ながらまだまだ甘い部分があります。やっぱり私がきついことを言っていくしかないのだなと考えています。

今回、正式に駅前再開発につき反対の意思表明をしましたが、その前に急に勃発した天文台周辺のまちづくりがあります。さらに市庁舎建て替えはほぼ待ったなしになります。この状況で、駅前再開発もやるとなると、もう物理的に無理です。人情としてやらせてあげたいなぁとは思いますが、しかし無理なものは無理とはっきり言うことも、議員の仕事なのです。

任期前半は財政運営、後半は行財政改革について質問をしていくことになります。行財政改革に質問の第1弾が今回で、公共施設持ちすぎ→減らせという質問だったわけです。