三鷹市議会 令和3年第3回定例会 令和2年度決算について | 半田伸明のブログ

三鷹市議会 令和3年第3回定例会 令和2年度決算について

水曜から決算審査特別委員会です。

まず、議案上程です。市長が令和2年度決算 提案説明を読み上げます。
これを受けて、各交渉会派からの代表質疑があり、その後決算審査特別委員会が設置されます。

そもそもどんな予算だったのか?予算時点での私のまとめはこちらになります。
三鷹市議会議員半田伸明による三鷹市令和2年度予算の解説

以下、資料を分析する順番に紹介します。

まず歳入歳出決算書です。これがいわば決算の議案です。
いつものように歳入と歳出を比較していくわけですが、すぐに異変に気付きました。
「委託料」と「負担金補助及び交付金」の余り方が異常なのです。
当初予算はいつも通り組みましたが、すぐにコロナ対応に追われ、各事業大幅に見直しとなりました。事業そのものをやめるときは補正予算で減額補正を組むからまだわかりますが、それらでは説明しきれないほどの余り様なのです。

なんか変だなと違和感を感じつつ、次は当初予算と予算執行実績報告書の比較に入りました。

例えばコミュニティ育成費です。ざっくりコミセン関係の費用と思ってもらって構いません。ここでその中の「コミュニティセンター管理関係費」と「コミュニティセンター運営費」の余り具合を見て、そういうことかとようやく納得しました。

度重なる緊急事態宣言など、公共施設が思うように使われない実態がありました。要は閉鎖ですね。
人と人が会う、その場を提供するという根本的な役割が、こういう形で崩れてしまったのです。これが積もり積もって、大幅な委託料ないし交付金の減に繋がったのです。

結局、コロナ禍で様々な緊急出費が発生する一方、公共施設の持つ本来的役割が著しく制限され、結果としてコロナ禍の新規出費を超えた大幅な余りが発生してしまったわけです。

ここまでみてわかることは、今回に限って例外的に経年比較が全く意味をなさないという点です。

次のステップは、決算概要です。
冒頭3Pの一般会計部分の差し引き残額をご覧ください。27億8000万台の残額です。
わが市の場合、当初から10億余らせるという前提で予算を組んでいますので、実質差し引きは17億8000万台となります。

大事なことは、「コロナ禍の出費にもかかわらず」という点です。こうなると、コロナ禍の出費が実は予想したほどでもなかったという事態が想定されます。

例えば商工費で小規模事業者への経営支援というものがありました。確か都補助を使い3億で見ていたはずですが、蓋を開けてみれば1億以上の余りが発生しているのです。

このように、公共施設の持つ本来的機能が制限されて発生する余り、及びコロナ禍の出費で実はさほどでもなかったという意味での余り、これらが積もり積もって17億後半にもなる余りが発生したのです。

これらの余りがどうなっていくのか、一部は基金積み立てに回るようです。また基金を取り崩さずに済んだという点も大きいですね。

いわば、災害時ならではの決算となってしまったのです。

なお、決算は議案上程の前に、監査委員によるチェックが入ります。
決算等審査意見書
健全化判断比率等に関する審査意見書

なお、財産に関する調書というのもあります。

決算の議案は決算審査特別委員会というところで具体的な審議をします。この委員会のための参考資料がこちらです。
令和2年度決算審査参考資料

とにかく異常な1年だったという一言に尽きます。結果として大幅に余ったが、これらをムダ遣いすることなくきちんと基金に積み立てる姿勢は災害対応として好感が持てますね。

以上より、各決算議案は賛成の方向で臨む予定ですが、数点考えなければならないことがあります。

<余りをどうするか>
使う予定だったのが使わなかったわけですから、当然ながら基金積み立てが筋です。余ったから好き放題に使うというのでは、それはもはや経営ではないからです。
しかし、特定の集会施設を使う人は限られた人です。限られた人の恩恵につき、より多くの市民に還元という発想は確かにありだろうなとは思います(もちろん程度問題ですが)。
この観点から再度商品券事業につき考えなければならないかもしれません。しかし、あれだけの大失敗をしたのが今回の決算です。その直後に同じことをやるとなると、これは議会側としてはストップをかけて当たり前です。
そこで、同じようにしない別のパターンの商品券事業ならどうだろうか?という疑問が生まれます。
前回の大失敗は、先着制という点と、あの杜撰なシステムの大きく2つの問題がありました。前者は抽選制にすれば済む話ですが、後者はちょっとやっかいです。
そもそも、地域通貨構想につなげるという大前提があったわけです。そのシステムが大批判を浴びたわけです。あの杜撰なシステムはボランティアポイントを貯めるとか、そういう小さな話なら有用でしょうが、同じシステムで再度商品券事業というのは絶対にダメでしょう。
ではどのような別のシステムがあるのか?となりますが、これを模索する時点で、地域通貨構想の延長という路線を崩すことになり、これはこれで難しい面があります。なかなか悩ましい問題です。

また、余りを基金積み立てという意味では、もうひとつ考えておかなければならないことがあります。
今、NYダウを始めとしてバブル真っ盛りです。ITバブルがはじけた時も、サブプライムローンバブルがはじけた時も、理屈は同じです。
膨れたらしぼむのです。バブルとはそういうものです。
また、ダウに限ってはあの大恐慌1932年安値から考えると、90年弱の超長期の上げ相場が続いたわけです。
レバレッジを効かせて、借金をして、自社株買いをしてという感じで、金融的に野放図状態になっているのです。しかも、リーマンショックからずいぶん経ちます。一定の間隔でやってくる破裂、しかも超長期の上げ相場を大胆に修正する大きな破裂前夜が今である、これが私の基本認識です。
この場合、我が国も相当大きな痛手を被ることになります。私は市税収入毎年50億減が3年続くとみており、今回の決算で基金全体で150億を突破したのを見て、ようやく胸をなでおろしているというのが正直なところです。

こういう大きな視野で物事を見た場合、商品券事業などちっぽけな話なのです。もっとも、議員サイドは商品券事業をやれ!と市長に迫るでしょうが、あれだけの大失敗をしておきながら商品券事業を迫ること自体、行政がしてきた反省を無にするものであり、おかしな話です。見方を変えれば、行政のプライドを傷つけていることになっているとさえ思います。
しかし、議会内でやれ!という言葉が大きくなってきたら、市長としても苦しい決断をせざるを得ないかもしれないですね。

今、問われているのは、先を読む力だと思うのです。実績としたいために声を出す議員に合わせる方が良いのか、それとも先の危機を見越して今は積む方を選択すべきなのか、私が仮に市長だったら後者を絶対に選びます。バブルというものは絶対にはじけるものだからです。

今年の秋か冬には異変が始まるとみています。これがもし空振りなら空振りで、堂々と次年度当初予算で改良された商品券事業をやれば済む話なのです。性急に事を進めてしまっては、必ずまずい結果になります。

もっとも、商品券事業に限らず何事もそうですが、余りを使って補正予算案が今後組まれるのであれば、「危機目前でも真に必要といえるか?」この観点から議案審査に当たりたいと思います。議員は実績欲しさのために要望するのではなく、市側に対峙する姿勢できちんと議案をチェックするのが仕事であるというのが、私の哲学だからです。

<減収補填債について>
前年度はぎりぎりになってこの借金を組みました。法人市民税の減など致し方ない面があり、借金自体はしょうがないことですが、しかし決算で閉じてみれば、実は市民税は1億の減で済んでいるのです。これは固定資産税の増が要因となっています。
この減収補填債は5億7千万ですが、実際は1億の減で済んだとなると、要は必要ないお金を借りてしまったということになるのです。
決算というものは閉じてみないとわかりませんから、減収補填債を借りてしまったこと自体は仕方がないことです。とはいえ、差額の4億7000万につき財政規律の面から別の借金を返すべきだと思います。

<審査参考資料のあり方>
先に紹介した予算執行実績報告書は審査参考資料の扱いで、インターネットで公開されています。
一方、決算審査参考資料も同じ審査参考資料の扱いでありながら、インターネットで公開されていません。
全ての委員会につき議案審査参考資料か行政報告資料かを問わずインターネットで公開すべきとずいぶん昔から主張してきましたが、同じ位置づけで片や公開片やそうではないというのは、やっぱりおかしいですね。
手始めに予算・決算の審査参考資料の公開から始めてみたらどうかと思うのです。

次は行政報告資料のエントリーになります。特別委員会がすべて終了したらまとめてアップする予定です。