三鷹市議会 令和元年第3回定例会 議案上程 | 半田伸明のブログ

三鷹市議会 令和元年第3回定例会 議案上程

上程理由説明の動画はこちらをどうぞ。

まずは一般議案です。議案概要はこちらをどうぞ。
議案本体はこちらをどうぞ。
以下、議案概要の番号順に説明します。
1)は健康福祉基金から子ども子育てに関するものを分割するというものです。
2)は下水道事業に地方公営企業法の財務規定を適用するために新たに制定されるものです。いくつか他自治体の例を見てみましたが、ほとんどが同じ条文構造であり、いわばフォーマットみたいなのがあるのかもしれませんね。
3)から5)は法律ないし政令が変わったことによる、いわば連動改正です。まさに「規定の整備」レベルです。
6)は新たに利用料金の設定ですが、常識的な金額に収まっているようです。
以上、1)から6)はたいした問題はありません。

問題は7)です。
議案概要にあるように、幼児教育・保育の無償化に伴い副食費の徴収免除対象者を国基準とするものです。
給食については副食費徴収という形になったわけです。一方、武蔵野市や小金井市は副食費の徴収をしないようです。
徴収しないということは実質的に給付なわけです。先の2市が新たな給付のための条例を作るのか、それともよくある補助金のような形で条例を作らないのかは気になるところです。
副食費を無償化しろ!という政治運動は発生するかもしれませんが、そもそも論として待機児童解消がなされないまま保育の無償化はおかしいというのが正論であり、副食費は実費徴収してその分支出を減らし、待機児童解消に充てるのが筋だと思います。

次に補正予算案です。総括表はこちらを。
議案はこちらを。
幼児教育・保育の無償化に関連する予算が並んでいます。様々な用語があり、これらをいちいち説明し始めたら細部にしか目がいかなくなるので、大くくりで説明する方がよいと判断しました。多少長くなりますがお許しください。

まず負担金徴収基準額の概念から入ります。
今までも国や都からお金が来ていましたが、その大前提として保護者からこれくらいは取りなさいというのがこの概念です。
この負担金徴収基準額は国の都合で決められてしまいます。そして(ここが大きなポイントですが)、これは現実には合わないほどの大きな金額になっています。これをまともに徴収していたら大変なことになる、そこで現実には国の負担金徴収基準額よりさらに下の水準で保育料を徴収していたという経過があるのです。当然ながら差額は市の一般財源から持ち出しとなるわけです。
若干ずれますが、この構造のままだと、保育園を作れば作るほどそれに比例して市の持ち出しが増えるわけで、三鷹市を例にとると保育園を作った分だけ児童福祉費がうなぎ上り状態だったというわけです。
議員の立場で「待機児童解消しろ!」というのは簡単ですが、実際はそんな簡単な話ではないのです。

さて、この負担金徴収基準額を総計から差し引いたものを、国1/2、都1/4、三鷹市1/4で割り振るという別の構図があります。この基準額自体がそもそも大きな数字ですからそれを差し引くとなると、案分した場合その分国などからくるお金が減りますよね。かつ先に書いた市の持ち出しもあります。

この負担金を無償化するというわけです。当然ながら財源構造がガラッと変わります。これがこの問題の補正予算を難しくさせている最大の要因です。

次に施設型給付という概念です。
先に書いたのは保護者負担の話ですが、では実際に運営にどういうお金がかかるかというのがここでの話です。国で算定する運営経費の概念があり、これを「公定価格」という表現をするわけですが、大雑把に書くと、保護者負担と施設型給付費の合計が運営経費というわけです。
この保護者負担がなくなるわけですから、この側面から見てもこの制度はやはり難解だなぁとなるのも無理はありません。

さらに、保育園・幼稚園・認可外施設など性質の違いによる差もあります。
特に幼稚園部分が重要です。幼稚園就園奨励関係費という項目がありますが、これは従来国1/3、三鷹市2/3という構造でした。これが保育園と同じ割合になります。つまり三鷹市負担は割合が減るわけです。

以上複数の次元からどういうものかにつき概略をまとめましたが、もうこの時点でぐっちゃんぐっちゃんです(笑)。
どうしたもんかな?と悩んでいましたが、6月補正を見ていて、だいぶ理解できてきました。

6月補正の無償化部分はこちらを。13ページです。
この13ページに「令和元年度予算への影響」の表があります。

もともと三鷹市の今年度の予算は、無償化はいったんさておきまずは通常で組みましょうというものでした。それが無償化によりどう変化するか?というのがこの表なのです。
まず分担金負担金の項目をご覧ください。大きなマイナスがありますね。これは無償化により入るべき保育料が入らなくなるという数字です。それを国や都がどう補うのかという話なわけです。

ところがこの6月補正の時点でまとまっていない問題がありました。それは給食につきどうするかが詳細に決まっていなかったのです。
副食費は徴収ということになり、ようやく細部が完全に固まり、いわば6月補正の更なる2次補正とでもいえばよいのでしょうか、それが今回の9月補正というわけです。

ここで改めて補正予算案総括表をご覧ください。
保育所保育料負担金の減、施設型給付費負担金の減、給食材料費負担金収入、運営事業費の減などの言葉が並んでますが、これらは先に紹介した6月補正と比べると同じ文言がほとんどです。ここからも給食の部分の微調整が今回の本質なんだなとわかります。

では6月と比べて完全に同じかというとそうではありません。数点新たな概念があります。

1つ目は、新たに都から多子世帯負担軽減の補助が来ることです。これは当然ながら歓迎要因ですね。
2つ目は、新たに認可外のケースに対し利用補助を市の一般財源で設定することです。制度変更により実質的に負担が発生するのではだめで、それを一般財源で補填するのは当然のことです。
3つ目は、副食費ではなく主食費の補填が一部新たに発生するということです。これも不利益回避の観点から当然でしょう。

これらの新たな概念追加は、財源確保ないし実質的平等の観点から当然の話であり、いわば6月と9月の2本の補正で、大きな制度変更はあるものの、保護者負担は大きな変化はなしという事態にようやくこぎつけたとみるべきでしょうね。要するに、ようやくスタートラインに立った、というわけです。

さて、これらの複数の変更に対し財源不足が発生しますが、これを補うのが子ども・子育て支援臨時交付金というわけです。既に6月に4億2694万の歳入を見込んでいましたが、給食費の細かな決まりができて微調整が発生し、それが今回の915万の減になっているのです。
令和元年度はこのように臨時の交付金として全額国費負担ですが、2年度からはそうはいきません。次年度以降の当初予算がどういう形になるかは重要な視点です。

6月補正の時点で既に2億3687万の歳入超過になっています。これをいったん基金に組み入れています。歳入超過といっても次年度には通常負担になるわけですから、あくまで一時的なものです。
さらに9月補正で新たに163万の歳入増、並びに2587万の支出減となり、これら総計を新たに子ども・子育て基金を設定し、そこに入れる形になっています。健康福祉基金は高齢者や障がい者の件も対象になるわけで、そう考えると無償化という大きな枠組み変更があったからには、基金の中身を色分けするのはむしろやらなければならないことでしょう。曖昧にならないためにも基金を分割することは当然のことです。これがもうひとつの大きな補正予算案の要素です。

さて、以上が大きな流れになるわけですが、先に書いたようには副食費の扱いにつき、自治体により温度差が発生しています。

こうなってくると、「あそこはとらないのになぜはうちは取るんだ!」となりがちです。政治運動レベルならこういうのもありでしょうが、市議会議員は大きな視点で都市経営を考える必要があります。
武蔵野市は豊かな財政でわかるのですが、小金井市は???でした。失礼ながらお金がない自治体というイメージでしたから。

なんで小金井が?と不思議だったのですが、今年12月に市長選があることがわかりました。あー、そうか、選挙かと邪推しかけたのですが、副食費負担は数千万から億の話なわけで、市長選レベルでそんな大きな判断ができるわけがないよなと不思議でした。
そこで、もう少し調べてみると、3月に給食費の取り扱いにつき、国に実費徴収しないように求める小金井市議会の意見書が発生していることがわかりました。小金井市の実情はよくわからず邪推レベルで申し訳ないのですが、市長ともなると市議会の意向を無視はできないでしょうし、仕方がなかったのかなという感じです。
一方、23区はそもそも財政構造が違います。はっきり書きましょう、財政調整制度でなんとでもなるところばかりです。ですので、23区と比較すること自体、底が浅いわけです。

こうなってくると、全国的な制度変更なのに、なんで都下で温度差が発生するの?となります。

私は、これが新たな三多摩格差になるのではないかという危惧感を持っているのです。23区が無償ならでは都下はどうすべきか?これを考えるのは都の行政の問題です。

一部さきがけが発生することにより、本来的に都全体の問題なのに、基礎自治体間の善政競争に姿を変えてしまい、結果として数年後に都下の自治体の財政悪化に歯止めがかからない様子の一つになるのではないか、ここを恐れているのです。

以上が幼児教育・保育の無償化に関する部分です。この無償化に関するのがほとんどなわけですが、それ以外にも数点あります。残りについてはいつものように、箇条書きスタイルにしますね。

1)ふじみ衛生組合で土地売り払い収入があり、その分同組合に対する三鷹市が負うべき負担金が減となる。これが7150万。
2)この7150万の財源を、三鷹駅前喫煙所の調査(299万)や、東八延伸や外環インターに伴う牟礼地区の生活道路の安全対策(992万)、法人市民税還付(4230万)に使い、残りを財政調整基金に積み立てる。
3)子ども・子育て基金設置に伴い、健康福祉基金から18億移動。

まず基金ですが、もともと当初予算で子ども部分が2億1000万予定されていて、さらに6月補正で1億上積みされていて、その他に15億弱シフトするという形になっています。
近時、障がい者自立支援関連で支出増が目立っており、これを考慮すると実質新たに15億弱シフトするのは多すぎるのではないかと思いますが、まぁ基金はいざとなったらいかようにでもなりますので、この点は良いでしょう。
法人市民税還付ですが、これは仕方がありません。先にもらいながら確定したら戻すというシステムのようですので。
牟礼地区の緊急調査も理解できます。

さて、問題は駅前喫煙所についてです。先の清原市政はこれを撤去という方針でした。6月定例会でも撤去を求める質問が相次ぎました。
しかし、完全撤去となると、逆に喫煙者が所かまわず吸う危険性があり、これを考慮する必要があるというのが河村市長の判断のようです。確かに完全撤去となった一方でところかまわず喫煙現象が発生して、結果として吸い殻があちらこちらというのではだめですよね。これも理解を示したいと思います。

さて、今日の議会運営委員会で、即決付託につき次のように決まりました。議案概要の番号で書いておきます。

<即決>
3)-5)

<総務→9/9>
1)、補正予算

<文教→9/10>
6)

<厚生→9/11>
7)

<まちづくり環境→9/10>
2)

なお、明日は即決議案の後に、各交渉会派による決算代表質疑があります。
決算については後日別エントリーで書きます。