三鷹市議会 平成30年第1回定例会 本会議5日目 | 半田伸明のブログ

三鷹市議会 平成30年第1回定例会 本会議5日目

昨日は定例会最終日でした。流れを書きます。

机上配布資料で、「指定議決による市長の専決処分の報告について」がありました。いわゆる和解案件ですね。前定例会同様割愛します。
議運委員長報告後休憩、各常任委員会で審査報告書確認、13時から本会議でした。

最初に各委員会の審査報告書が読み上げられました。審査報告書はこちらをどうぞ。

そして、各議案につき採決。私が議案につきどのように考えていったのかについては、この議案審査の部分をどうぞ。
当初予算についての考え方はこちらをどうぞ。

当初予算以外の議案ですが、私は議案第18号につき反対の意見を述べました。どんぐり山の件ですね。以下反対討論の紹介です。

<18号 反対討論>
後に採決されます議案第7号と8号、そしてこの18号は関連性がありますので、この18号で一括して討論します。
議案審査は入り口と出口があります。入り口は手続き論、出口は内容の審査です。本件は入り口時点で大きな過ちがあります。
議決の前に廃止方針が説明されたことは致命的な誤りでした。結果として、働いている人は失業を当然考え浮き足立ってしまい、転職を考える、こういうときは良い職員、評価の高い職員からやめていくものです。さらに現在働いている人を引き止めているインセンティブは何もない状況です。
これらの状況が議決前に発生してしまったのです。当然ながら条例違反そのものです。条例違反ではないとする場合通常ではない事態といいたいのでしょうが、そもそも通常ではない事態を執行側が単独で引き起こすこと自体、実は専決処分そのものなのです。結果的にどうなったかというと、本来やらなければならない条例事項であるサービスを提供しない事態が発生し、一方でデイサービス利用者の行き先確保のために本来の業務でないことを行うという滅茶苦茶な事態となってしまっているのです。だからこそ見込めるものが見込めなくなり、結果として本補正予算案につながっているというわけです。
私は議会人として条例違反行為ないし専決処分該当行為を認めることは絶対にできません。以上のように入り口時点で一連の議案には反対という結論になります。
以上を踏まえた上で、内容面についても少し触れておくことにします。
まず、市は赤字額につき、施設の修繕費を含めた額を言っているようですが、そもそも修繕費は運営とは異なる概念であり、一括して赤字と表現することは私は違うと考えます。いわば資本的経費と運営的経費をごちゃ混ぜにした議論であり、市役所の会計でこれらを明確に区別していないことがそもそも大きな問題なのです。
次に新施設ができるからといって待機者数が完全にゼロになるわけではありません。これから団塊の世代が後期高齢者になってきます。後期高齢者のピークはこれからです。後期高齢者が増加すれば施設利用希望者も増加します。いわば、これからが本番なのです。これからという時に、背中を見せて逃げ出すことに等しいわけで、これは公共のやることとは思えません。
私はどんぐり山の経営については厳しい目線で臨んでまいりました。もう無理という事態になったら、社会福祉事業団への移行を考えるべきと述べてきましたが、廃止しろといったことは一度もありません。一年前の予算案の時点で、私は「社会福祉事業団でやるべきだろう」と述べた後に次のように述べました。
「なぜ廃止という結論になるのかについては、楽山会云々ではありません。あくまで三鷹市がこの施設をどう捉えているか、この点に尽きるのです。待機者数の減を予想するのは現実には難しい。私は、この施設は、その側面からすると残さざるを得ないだろうという見方を今、しているところなんですね。にもかかわらず廃止というのであれば、存続させる場合の損益分岐点や費用対効果など客観的な資料をぜひ示していただきたい。共通認識の土台をつくることが大切」と。
念のため、その後の厚生委員会の行政報告資料を確認しましたが、共通認識の土台を作るような報告はなされておりません。
もっとも、後期高齢者のピークアウトが見通せる時期になったら廃止の議案はありえるでしょう。しかし、現時点ではそうではない。こう考えると、内容面について一言でまとめるなら「政策判断の誤り」ということになるのです。
以上のように、手続き面、内容面ともに問題の大きな案件であり、二元代表制における議会の存在意義を考え、こういう事態にブレーキをかけることこそが議会人の責務であることを痛感している次第であります。以上より、反対します。

当初予算ですが、今回は一般会計・国保・介護サービス・介護保険事業につき問題提起をしつつ賛成の意見を述べました。結果として30年度当初予算は全て賛成となりました。以下、賛成討論の紹介です。

<議案第19号 一般会計予算 賛成討論>
総論部分は後に述べるとして、まずは各論で5点問題提起をしておきます。

1.地方創生推進交付金について
かつて矢吹町復興継続支援販路拡大バスツアー及び姉妹市町元気創造交流事業費に充てられていましたが、働き方改革の方に重きが置かれ、市の一般財源による事業に変化してしまっています。
調べてみますと、国の交付金を獲得するやり取りの中で交通費が見込めなくなった事態があったことがわかりました。謝礼だけ補助というのもおかしな話ですから、この時点で中止を考えても良かったのではないでしょうか。
もっとも、一度は実現したこと、また子どもたちへの影響、そして参加費をとる形で少しでも穴を埋める努力をしていることもわかりました。
矢吹町関連はこれらの事情がわかりましたので了としますが、国や都のお金が見込めなくなった時点で「これは一般財源を投じても続けるべきであるか否か」については、大切な論点です。矢吹町関連はいわば例示であり、国や都のお金が見込めなくなる事態は他にいくらでも考えられます。そういうときに惰性で一般財源からの支出をするのではなく、厳しい目線でいわば事業の見直しをする観点はぜひ持ち合わせて頂きたいと考えます。

2.私立保育園運営費と保育料値上げの関係について
国や都の補助ですが、国1/2、都1/4となっています。
問題なのはその算式の根拠です。対象扶助費-負担金徴収基準額が基準になります。この負担金徴収基準額ですが、これは国が決めるもので、三鷹市の実態とかけ離れている点が大きな問題です。いわば国基準より下で三鷹市は推移しているわけです。
結果として国で決められた負担金徴収基準額を引かれた上での算出となりますので、結果的に作れば作るほど三鷹市の一般財源からの持ち出しが増えることになるわけです。
まずは国の負担金徴収基準額のあり方に何度も問題提起し続けることが大切です。一方で、これらの現実を鑑みますと、私は保育料値上げはやむをえないことだと考えています。ましてや、今回は健康福祉基金の取り崩しが1億増えてしまうという状態すら発生してしまっているのです。保育所費で見ると、ここ数年で61億、72億、80億、そして今回の87億と天井知らずの状態にまでなってしまっています。
保育料値上げの際には、なぜ値上げをしなければならないのか、国や都による運営費補助の問題点、そして作れば作るほど運営費が比例して上昇するという現実を、丁寧に市民に説明をして頂きたいと考えます。また、今回は大きな値上げとなるようですが、これは市民にとっては義務の追加になるわけであり、私は条例事項として議案という形で審議すべきであると考えます。

3.決算見込みにあわせるということについて
一例を挙げますと予防費です。中でも乳幼児等予防接種事業費が1311万の減となっています。
予算編成において決算見込みを反映するのは大切なことですが、万が一その見込みをオーバーすることになった場合は、きちんと予算の流用や補正予算などで対応して頂きたいと考えます。

4.都市型産業誘致促進における指定企業助成について
27年度に1700万台からスタートし、今回は8220万もの助成となっております。本当にこれだけの支出をクリアーする歳入が果たして見込めるのか、大きな疑問を感じております。数年先のことでしょうが、費用対効果はきちんと検証して頂きたいと考えます。

5.コミュニティバス運行補助金について
ルートを見直したのに乗員数が減っており、結果として赤字補填が増えているという実態です。いずれ廃止を見据えて議論をしなければならないだろうと考えるようになりました。根本的なあり方論の議論を進めて頂きたいと考えます。

以上の各論を踏まえた上で、総論部分について述べます。
予算審査の際に私が一番重視していることは、返済した借金の元金以上に新規の借金をしない、すなわち「返す以上に借りない」という点です。本予算案はそれを満たしています。
また、今回の予算案は、前年度の各交付金の減の影響が残ったまま、ふるさと納税による減及び地方消費税交付金見直しによる減で9億6000万もの影響があり、それを土地売り払いで、いわば民間で言う特別益を計上し、なんとか予算編成できたのが実態です。細かな項目を見ましても、丹念な見直しがなされており、さぞご苦労が多かったことだろうなと予算編成の労を労いたいと思います。以上より、本議案に賛成します。

<議案第20号 国保予算 賛成討論>
都単位化により、必要な保険給付費を都が支出するが、そのために三鷹市は61億都に出すという構造に変わりました。都道府県単位化は法律事項であり、三鷹市としては残念ながら粛々と従うしかありません。
そこで、この61億をどう捻出するか、保険税と一般財源からの繰り入れの比率をどう考えるかが大きなポイントになります。調べてみますと、都単位化による不足分は2億4000万ということですが、今回はそのうち1億6000万を値上げで対応、残る8000万を一般財源からの繰り入れの増という形になっています。
過去の値上げ幅を紐解きますと、おおよそ1億円台半ばで推移しています。つまり、都単位化があるとはいえ、前回値上げ並みの値上げでむしろ抑えており、その意味では一気に負担増にするのではなく、まずは年会波の値上げに抑えておいていわば入り口段階で様子を見ましょうというのが、本予算案の最大の特徴になっているのです。
なお、今回は一般財源からの繰り入れにつき決算ベースの数字を載せていることが大きな変化です。より精緻なものを出すという意味では、これは意味のあることだろうと考えますが、一見誤解を招きやすいです。ここは気になったところです。
結果として保険税で6割、それ以外で4割という形に落ち着いています。このバランスが近隣他市ではどうなのかが気になるところです。今後はいわゆる赤字解消計画が必要になりますが、計画を立てていく最中もさらなる公費負担を求めるべきであろうことは言うまでもありません。
以上より、激変が予想された割には、過去の値上げと同様のレベルで抑え、まずは入り口部分を突破したと評価します。今後ですが、近隣他市がどういう動きになるか、きちんと動向を見定めた上で、いわば後発部隊とでも言いますか、そのような感じで慎重に物事を進めていくべきであろうことを申し添え、本予算案に賛成します。

<議案第22号 介護サービス予算 賛成討論>
2つ指摘しておきます。
まず1つ目です。どんぐり山廃止に伴い、利用料補助金が新たに180万設定されており、実態は差額補助とのことです。新たな支出増となるわけですが、くれぐれも移動なさる方の負担が増加しないようにお願いをしておきます。
次に2つ目ですが、どんぐり山の指定管理期間終了後についてです。楽山会に委託かことぶき会に委託かという2つの案があるようですが、委託をするということは本来的には見積もり合わせがあるべきであり、特命随意契約はありえません。なぜなら本件については特命にする特段の理由がないからです。楽山会になるのかことぶき会になるのか、いずれにせよ特命随意契約の形は避けておくべきですし、経過についてはきちんと厚生委員会に報告をして頂きたいと考えます。
以上指摘の上、どんぐり山の件があるとはいえ、けやき苑とはなかいどうの部分につき否定するものではないので、本予算案に賛成します。

<議案第23号 介護保険予算 賛成討論>
本議案が上程された折、施政方針の152ページには第七期介護保険事業計画の紹介の後に「計画に基づき計上しています」とあります。
通例ですと2月の厚生委員会で案が示され、そこで大まかな数字を把握するわけですが、今回は厚生委員会の後に健康福祉審議会という流れもあり、結果として議案上程の際に「計画に基づき」と書くものの、その計画そのものを議会側はなんら示されていないことになってしまったわけです。
もちろん健康福祉審議会と厚生委員会に日程決めに大きな問題があるわけですが、今後改定に際しましては、健康福祉審議会の後に2月中に厚生委員会に案レベルを示すことができるよう、健康福祉審議会の日程につき例えば1月中にするなどご配慮お願いしたいと思います。「計画に基づき」とあるのに、その計画が知らされていないのはやはりおかしいからです。
以上、進め方につき問題提起をしましたが、中身について述べます。
介護保険事業の予算というものは、給付費をどう見積もるか、これが全てです。なぜなら計画ベースで決まった給付費につき、歳入でどう割り振るかはいわば自動化されているからです。給付日のあり方につき、保険料、国庫支出金、支払基金交付金など細かな構成が決められている、これが大きなポイントなのです。
特に、今回は第1号被保険者保険料が22%から23%になりました。この上昇は自治体の恣意性ではできないということも指摘しておく必要があります。いわば義務性を帯びたものであるわけです。
このように、給付費さえ決まれば後は自動的に割り振るという性格がある以上、給付費につきどう見積もっているかの議論がもっとも大切なことであり、この点から考えても本予算案の上程前に計画案を知らされていなかったことは、本当に大変な出来事だったと考えます。
さて、その給付費についてですが、今回は前年度比2億の減少で見ています。先に給付費あり木でその後保険料が決まるという構造を鑑みると、いわばきつめに想定をすることはその分保険料の上昇抑制につながるわけで、この流れは理解できます。
予算審査参考資料の269Pに介護保険事業3年間の財政フレームがあります。私はここを一番気にしていました。準備基金の取崩額を見ると、30年度1億1300万、31年度1億8922万、32年度3億4522万となっています。後に負担が増えることを事前に勘案し、いわば階段状の取り崩しを予定していることがわかります。この基金の取り崩しにつき額の決まりは特段ありませんが、そもそも保険料を補填するための基金なので、後年度負担を事前に考え階段状の取り崩しにしたことは評価したいと考えます。
これらを総合勘案し、本予算案には賛成します。

これらの当初予算案の採決の後、市長から追加提出議案上程がありました。契約及び人事案件であり議案そのものはここでの紹介は割愛し、議会概要のみの紹介とします(これで十分だからです)。
議案概要その2

人事案件は特段の問題なしと判断しました。
契約の方ですが、これは経過があります。こちらの3/9の分をご覧ください。

要するに入札が成り立たなかったわけです。そこで随意契約になるという案件でした。
調書を見ますと事後公表とあります。札を入れた後に金額を発表するというわけです。確かに2位を見ると予定価格からかけ離れており、事後公表が機能しているといえますね。
ポイントは1位のところが予定価格よりオーバーという実態であるという点です。簡単に書くとその分予定価格が低すぎたわけです。
予定価格は、現実としては国や都の様々な基準を三鷹市としてはいわば準じる形になっており、その意味で恣意的な数字にすることはできません。まさに機械的に算出されたものなのです。
その機械的な数字に業者があわせることができないのですから、予定価格の設定のあり方が問題ではありますね。例えば資材高騰とか反映できていないわけです。
本議案は、入札が成り立たなかったものの、予定価格は一旦決まれば変えることはできないので、結果として業者がそこまで値を下げてくれた案件といえるわけです。以上より賛成しました。

そして、議員提出議案(意見書案・決議案含む)です。内容はこちらをどうぞ。

まず議員報酬の特例についてですが、要するに長期欠席の場合には満額ではなく減額割合を決めましょうというものです。もちろん賛成です。
そして、意見書案・決議案です。最初の意見書案の際に、次のように述べて、全ての意見書案につき退席で応じ、決議案には賛成しました。

<退席討論>
29年第3回定例会における意見書(案)第12号で述べたことと同様のことを指摘して、全ての意見書(案)につき、退席します。

注)
この12号で述べたこととはこちらになります。

地方自治法99条から内容の判断以前に形式面で話にならないものが今定例会でも多数出てきています。議会運営委員会で最低限形式面につききちんと議論すべきであるとの抗議の意味から、内容に賛成できるもの反対であるもの関わりなく全ての意見書案につき退席で応じることにします。

意見書については、地方自治法99条にきちんと意見書の要件が規定されているのに、未だにそれを無視したようなのが平気で出てくるのですから、私からは議運がきちんと機能しとらんという結論になります。
一方、決議案は事実上の意思表明に過ぎず、特段の要件はないので内容を吟味することになります。今回の決議案は賛成しました。

以上になります。市側の発言場面はないので、動画紹介は割愛します。
賛否一覧は後日市議会HPに載りますので、そちらをどうぞ。

今定例会もお付き合いいただき、ありがとうございました。