一般質問…ふるさと納税について | 半田伸明のブログ

一般質問…ふるさと納税について

2015年6月議会で、ふるさと納税について質問しました。以下、概略をまとめます。

<質問1>
税制改正により、ふるさと納税につき一定の要件を満たせば確定申告不要となった。寄附した自治体が5ヶ所以下で、給与収入2千万円以下の確定申告をしなくてよい会社員なら、年収にもよるが、寄附目安額の範囲内なら自動的に税金が安くなる。例えばある自治体に3万円の寄附をすると、自己負担額2千円を除いた28000円分の税金が安くなることになる。ふるさと納税の返礼品合戦が話題だ。市民にとっては食料品が2千円で多く手に入る事態だが、市にとっては税収減の可能性が大きく、大打撃だ。どう対抗していくのか。

<質問2>
例えば年収1億で独身のケースを想定する。この場合、2千円で436万円の範囲で多くの食料品が手に入る状態になっている。つまり、高額所得者により多く節税をさせる、いわば高額所得者対策になっているという側面がある。本来、多く納税してもらうべき人が、払うことなく、しかも多くの食料品を手に入れられるという事態は、どう考えてもおかしい。所見を問う。

<質問3>
ふるさと納税の拡充は、交付税制度の破綻を宣言しているに等しいと考える。所見を問う。

<質問4>
三鷹市は返礼品合戦に加わる必要はないと考える。所見を問う。

<質問5>
ふるさと納税につき制度が拡充されたことによる三鷹市の個人住民税の税収に対する影響額をどう見積もっているか。

以下は、市側の答弁です。

<市長>

ふるさと納税制度に伴う税収減について。平成26年度の決算見込みでは約900万円。個人住民税の寄附金税額控除については、平成28年度分の課税から特例控除の限度額が所得割額の1割から2割に引き上げられたので、平成26年度の決算見込み約900万円を単純に2倍にすると、平成28年度は1800万円程度の減収になるものと考えている。 一方、三鷹市では、まちづくり応援寄附金を募り、多くの市民から、寄附を頂いている。平成26年度の約900万円に対応する、平成25年度決算における三鷹市への個人からの寄附は、約2億2800万円だ。

ふるさと納税の制度は、地域間の税収格差の問題を背景として創設された。
これに対して三鷹市は、地方税財源の拡充による地方自治体の財政基盤の確立を目指すべきとの立場にある。
普通交付税不交付団体としての三鷹市としては、交付税制度下にある中で、財政力指数などを用いた補助金の抑制など上乗せの財政調整を行うべきではないと主張してきた。
ふるさと納税についても同様だ。地方間の財政力の調整を行う機能を持たせることは問題がある。交付団体の場合、寄附を受領した団体は、普通交付税は削減されないので、寄附金全額が収入増となる一方、住所地の地方公共団体は、減収分の75%が基準財政収入額に反映され、普通交付税で補填される仕組みとなっている。
税収格差は税源移譲や地方交付税制度で是正されるべきだが、交付税制度の中で調整機能もあるので、破綻とまでは言えないと考える。
しかし、三鷹市のような不交付団体は減収分が補填されない。そういう意味では、財政面で課題がある制度と認識している。

今後の取り組みだが、三鷹市においてふるさと納税に対する返礼品を設けることは、現在考えていない。すなわち返礼品競争みたいなところに、三鷹市は現時点では入るべきではないと思っている。にもかかわらず、一般の皆様から御寄附を頂いており、本当にありがたいことで、感謝の気持ちでいっぱいだ。引き続き寄附して頂けるように、HPなどを通じて、三鷹PRをする。

以下は、再質問のやりとりです。

<半田>
所得税は国税だ。ワンストップサービス導入により、国税分を三鷹市が立てかえることになるのか。

<市民部長>
ワンストップサービスにより、所得税の確定申告が不要となり、その所得税相当分も含めて住民税で控除をするということになる。
現行の制度では、市と都で案分して負担をする。財源の補填については、現状では予定はないと聞いている。


<半田>
国税を市と都で案分って、こんなばかな話があるか。これがふるさと納税の現実である。
仮に、我が市の納税者が一斉に寄附行為に走るとする。あれよあれよという間に税収が落ち、気がついたら足らず米がどんどん出て、不交付団体のままでは維持できない、交付団体になるしかないという事態が想定できるのではないか。

<企画部長>
基準財政収入額は課税実績で算定される。全て税額控除で一定額落ち込めば、基準財政収入額が減となり、交付団体になるという可能性はあり得る。

<半田>
交付税措置が厳しい、だから、臨時財政対策債制度を導入された、それでも厳しい、だから、ふるさと納税を導入された。こういう流れがある。
一方、ふるさと納税が行き過ぎると、不交付団体が交付団体に陥る可能性もある。
つまり、完全に論理が破綻している制度である。

以上になります。
これらのやりとりで、ふるさと納税制度が矛盾だらけの制度であることが、如実になったと考えています。