やっぱりなにがなんだかよくわからない港区議会 | 半田伸明のブログ

やっぱりなにがなんだかよくわからない港区議会

港区議会で、新たに大きな会派が誕生しました。
港区議会:少数派10人で新会派 発言権制限に対抗 /東京(毎日新聞)

記事の全部が読めないわけですが、要するに少数派が一気にまとまったということのようですね。
最初は「ふーん」くらいにしか思っていませんでした。そんな例は山ほどあるからです。ですが、ツイッターで流れてくる情報で、明らかに不穏なモノがいくつかありました。

ざっとまとめると、
1)会派として、他会派に認めてもらえるか?
2)ポスト欲しさではないのか?

という2つにまとめられます。

ツイッターでいがやちかさんという方を知りましたが、彼女が詳細に記事にまとめています。わかりやすい文章で、かつ読みやすく感心しました。文を書くことを本業にしている方の文章には、いつも勉強させられますね。

東京・港区議会で"言論の自由"求め、若手中心の新会派結成 自民、公明、共産は猛反発

さて、当事者の声は?となりますが、ここで横尾俊成さんという方のブログを紹介します。
言論の自由を守り、多様性を尊重する議会を。新会派結成の理由と、議会基本条例の提案。

これを読んだ時点で、「なんじゃこりゃ?」となったわけです。
出版した本を回収しろだの、明らかにどうかしています。詳しくは記事本文をご覧下さい。
また、このエントリーでは、議長通達による萎縮効果という表現があり、これも「なんじゃこりゃ?」となりました。

一部引用させていただきましょう。
(引用)
さらに、私個人に対するものだけではなく、2014年7月には、当時の議長が全議員に対して「新聞、雑誌、テレビなどの取材があった際には慎重に対応し、議長への内容報告を求める」という趣旨の通達を出すなど、これ以外にも情報発信に対して要求を出してくることに対して各議員が萎縮してしまい、区議会内の少数会派にとって大変活動し辛い状況になっていきました。
(引用終わり)

取材に応じるか否かは、議員「個人」の問題であり、議会「運営」には関係ありません。議長は議場における監督の権限は持っていますが、議員個人の活動を制限する権限は当然ながらありません。

地方議会人ならこの感覚がお分かりいただけるかと思いますが、議長が通達を出すなんて考えられませんよね。百歩譲って、各会派代表者会議などで協議して決まったことを議長名で各議員にというのなら、まぁありえるかもしれませんが、そんなまわりくどいことをする議会はまずないですよね。

この時点で、「もうむちゃくちゃだな」という感想を持ったのですが、こういうのは必ずもう一方の当事者の主張にも目を通す必要があります。自民党のうかいさんという方のブログを紹介しましょう。うかいさんという方は代表者会議をきちんと報告していらっしゃる点に私は好感を持ちました。
第3回会派代表者会議

ここから一部引用しましょう。
(引用)
問題の中心は議長からの取材規制の件でしたが、事実は都議会のセクハラやじ等の取材で後から問題化してしまった例ややらせを強要する取材もあったため、取材を申し込まれたり、受けた場合は区議会事務局へ伝えて欲しいと言うことでした。それを取材規制だと言っている会派があり、議長からの各会派幹事長への話は規制をする話など一切無かったわけで、それはきちんと会派の議員にそのことを伝えていない会派内の問題であることを伝えました。私たち自民党、公明党、共産党では、このことについて何も問題になっていないことが示していると感じます。
このことが民主党・社民党・維新の会・無所属の10名の新たな会派が出来た原因であると新聞社の記者さんから伝えられ驚いた次第です。代表者会議では、違うように言っていたと思いましたけれども。
(引用終わり)

え?
全然言い分が違うやん?
どういうこと?

私はわからなくなってしまいました。

片や、議長への内容報告を求めるという通達が出たと言い、
片や、取材を申し込まれたら議会事務局に伝えて欲しい、議長から規制をする話など一切なかったと言い…

こうなると、もうどうしようもありません。そうです。
真実は闇の中なのです。
うかいさんという方の肩を持つというわけではないですが、取材申し込みあったら議会事務局に伝えることは、それはそれでありうることです。例えば、取材申し込み時点で、委員会室を確保したりする場合ですね。部屋をおさえるのに事務局に「空いてる?」と聞くことは、そりゃありますよ。
また、そういう場合でなくても、通常はセキュリティの観点から、すんなり会派の控室にマスコミさんが行くなど考えられない話で、入り口でまず止められます。その意味ではその時点で伝えたことになるかもしれませんね。
さらに、うかいさんの言い分は、「伝えて欲しい」という点にあるんだろうなと思いますね。動機についても個人的には理解できます。

一方、受け取り側としては、圧力に感じてしまう側面があったかというと、これはもうわかりませんね。その意味で、横尾さんが圧力と感じたのなら、これはこれでなるほどなという気がしますね。

この時点で、私が申し上げたいことは、なぜ両者の言い分が違うのか?この時点で大きな問題であるということです。
ある決め事をするのに、細かい点まで代表者会議などで話し合うことは現実にあり得ます。その時に、必ず確認をしているはずなのです。双方が違うことを主張しているということは、会派同士の決め事すら守れていないとすら言えますね。この観点からも、諸派が代表者会議に参加できずに、伝聞で済ませてしまうことは大変危険なのです。諸派も含め、代表者会議で決め事をする、協議して決まった以上は諸派もいるんだから、異論を唱える人はいない…本来はこうじゃなきゃ危ないのですよ。

私はこの点が不思議なのです。1つの現象を、真っ向から違う言い分になってしまっているわけですから、もうなんともうしましょうか、きちんと話し合いをそもそもしてないんじゃない?ととられても仕方がないですね。もしくは伝達ミスがあったか…もしくはどちらかの方が嘘をついているか…、まぁ、嘘をついているとは思いたくないですよね。

もっとも、本を回収しろだの、その時点でお話にならないですが、これは横尾さんのブログに内容証明云々の記述があるので、おそらくそうなのでしょう。これは、これで自民党側が反省しないといけないですね。出版差し止めを司法手続きによるならまだわかりますが、当事者に、しかも狭い議会内部で言うということ自体が大変な問題だということに気づいてもらいたいものです。
まぁ、このように何が何だかわからないわけですが、このような状況下で新たな会派ができたというのなら、それはそれで頑張ってくださいということになりますね。

さて、その代表者会議では、ポスト配分につき、投票で決めることになったようですね。うかいさんのブログにありました。
第4回会派代表者会議

若干抜けていますので、私の方で補足しておきましょうか。条文というのは、地方自治法118条のことを指しているものと思われます。

地方自治法118条は次のような条文です。
1項
法律又はこれに基づく政令により普通地方公共団体の議会において行う選挙については、公職選挙法第四十六条第一項 及び第四項 、第四十七条、第四十八条、第六十八条第一項並びに普通地方公共団体の議会の議員の選挙に関する第九十五条の規定を準用する。その投票の効力に関し異議があるときは、議会がこれを決定する。
2項
議会は、議員中に異議がないときは、前項の選挙につき指名推選の方法を用いることができる。

ざっくり書きますと、決め事は投票が原則で、みんなの意見が一致したら指名推選という方法も例外的に可能ですよ、ということです(推薦ではなく推選が正しい字です)。

今回は、信用できないとまで言われてしまったわけでしょ?
こんな状態じゃ、みんなでなかよくこの人にしましょ!となるわけがないですね。
うかいさんのブログにあるように、投票はむしろ当たり前です。

第一会派が議長とか、第二会派が副議長とか、よく取られている方法のようですが、これはあくまでそこの議会の議員さんが「全員文句言うことなく」そうしましょ!と決めた場合を指すのです。条文からだとそうなりますね。

ですので、淡々と最初から投票にしようね、でおしまいの案件なんですよ。もめようがない話です。なのに、ポスト狙いじゃないか!とか、会派結成の理由を!とか、私から見れば、はぁ???となるわけです。会派結成は、結成したいから結成するのです。なぜおたくたちは主義主張が違うのに同じ会派なんだ?と言われたら、「組みたかったからでーす!」でおしまい。ついでに「大きなお世話でーす!」も追加しておけばいいですかね。そうです。余計なお世話と言われれば、もう議論の先はなくなるのです。

つまり、私のような傍観者からすると、ひょっとしたらどちらの立場も地方自治法118条を読んでいなかったんじゃない?と思えてならないのですよ。失礼な話でごめんなさいね。でもね、一度読んだら、淡々と投票手続きに移っておしまいですよね。代表者会議でもめようがないですからねぇ。。ポスト狙いじゃないか!は指名推選を誤解したとしか思えませんし、それに対して会派結成理由をいちいち説明してその質問に答える方もどうかしていますね。

とまぁ、こんな感じで、第一会派と第二会派の言い分が食い違っていることを併せ考えると、まぁおあいこじゃないのかな?という気がしますね。

議員は、とかく「私が◯◯を実現した!」と言いたがる人たちです。横尾さんの本に対する自民党の批判というのも、その視点で見るとふむふむとなりますね。
これは、日本政治家特有の庄屋根性文化に起因するというのが私の従来の考えですが、もう随分と長くなりましたので、これは別に機会に書きましょう。

うかいさんは代表者会議のことをきちんと書いていて素晴らしい!
横尾さんはじめ第二会派さんの結束もこれはこれで素晴らしい!

いやぁ、港区議会楽しみになってきましたね。みんな注目しましょうよ。素晴らしい方々ばかりでしょうから、二元代表制の本質に則って、きちんと行政をチェックするんでしょう。

港区議会が「議会として」どのように権力者さまたる首長に対峙していくか?ここが重要なのです。