6.デフレを改めて考える | 半田伸明のブログ

6.デフレを改めて考える

さて、景気下降サイクルについて書いてきましたが、今度はデフレについて考えてみましょう。
バブル崩壊以降の特徴は、一言で言えばバランスシート不況と言えるものです。資産デフレという言葉がありますが、もともとモノが過剰評価される時代を経て、その逆に転じているのですから、いわばデフレは必然なのです。この観点から、現状の景気下降サイクルの説明と、デフレ不況の説明は被る部分が当然でてくるのです。

バブル時期を私は肌感覚では知りません。1989年といえば、私は大学1年でした。ただの学生にバブルなんてわかるわけがないですね。今思い返しますと、あるお店で買った絵画を別のお店に持って行ったらより高値で売れたというエピソードは、バブル崩壊後に知ったんだろうなと思います。
さて、絵画の例を出しましたが、モノがより高い現金に換価されていたわけです。つまり過剰評価が発生していたわけです。

デフレとは何か?モノの価値が下がり、現金の価値が上がることです。先の絵画の例で言いますと、ある絵画を買って別のお店に持って行ったら安く買い叩かれたとなりますね。

このことを改めて認識しなおすと、いろいろ見えてきますね。銀行に預金しても利息はないに等しいのは、デフレ現象から説明がつくことにお気付きのことでしょう。現金の価値が上がるからこそ、現状の現金収入レベル維持が最大の課題となり、いわゆる共働き夫婦が増えるのもデフレ現象から説明がつきますね。現金の価値が上がるからこそ、人々は現金を使わなくなるわけで、それを使わせるべく様々な住宅ローン控除があるのも、デフレ現象から説明できますね。

現金の価値が上がるということは、大変な話なのです。価値が上がるからこそ、目減りするわけですから、企業が人件費を出し渋り、派遣という形態が増えるのも無理はないのです。このように、デフレという側面から様々な社会現象を捉え直しますと、1本の軸で捉えることが実は可能なのです。その軸とは、「現金の価値が上がったことによる影響」そのものなのです。

景気下降サイクルが2025年あたりまで続くことを考えると、より一層深刻なデフレ現象が発生すると見ています。全ては「現金の価値が上がる」ことによる影響で説明できるでしょう。労働市場はより悪化するでしょうし、人々は食い扶持を求めて地方に行き、自給自足の方が増える可能性すらあると思います。考えてみますと、家族が食べる分の食材が確保できるのであれば、モノの価値が下がる以上は、自給自足でもなんとかなるかもしれませんね。地方に行けば、土地はただ同然で手に入るところすらありますし。

このように、モノの価値が下がり現金の価値が上がる状況のもとで、私たちはどのようにして2025年前後を切り抜けるかを個々人レベルで考えなければならない時期に入っているのです。改めて思いますね。凄い時代に生きさせられているのだなと。

私には2人の息子がいますが、息子たちの寝顔を見るたびに、本当にやっていけるのだろうか?と時折不安に襲われることがあります。景気下降サイクル内にある以上、向き合って生きていくしかありません。