4.下げて上げてを繰り返す景気下降の波 | 半田伸明のブログ

4.下げて上げてを繰り返す景気下降の波

このように、1989年12月のバブル崩壊以降、景気下降サイクルに突入したわけですが、この下降の波は一直線に下げていくものではありません。
日経平均にしろ、ドル円にしろ、下げたかと思えば一定期間を過ぎると上げに転じ、また一定期間を過ぎると下げに転じるという具合に、下げて上げてを繰り返しているのです。

「市場の流れには秩序が存在する」という考え方があります。エリオット波動論と呼ばれるものです。これはざっくり書きますと、値動きにリズムがあるという考え方です。俗に言う上昇5波・下降3波ですね。上昇5波・下降3波は上昇相場について言えることであり、当然逆も成り立ちます。下降相場だと下降5波・上昇3波となりますね。下げ→上げ→下げ→上げ→下げ…要は下げているわけです。その下げ方に波があるわけです。

エリオット波動論は、相場の分析について言われることですが、特徴は市場総体の流れについて該当するということです。個別銘柄には該当しないと理解されていますが、もう少し考えてみますと、実は景気下降サイクルの波もこれで説明できてしまうのではないかと思えてならないのです。
思い返しますと、ITバブルと騒がれた時期がありました。リーマンショックと騒がれた時期がありました。盛り上がったり盛り下げたりの連続と見ることが可能ですね。実際に日経平均を見ますと、どれだけ「今回の景気上昇は本物だ!」と騒がれても、バブル絶頂期には遠く及ばないのです。つまり、景気下降サイクルに入った以上は、下げしかありえないのであり、途中の上げの局面はあくまで戻しレベルにすぎないと見ることが十分可能なのです。まさにリズムですね。

実は、アベノミクスはこの考え方で簡単に説明できてしまうのです。
ただの戻し局面にすぎないのを、誇張しているに過ぎないわけです。もっとも、いわゆる実弾(金融緩和)がある以上、この戻し局面が若干長引くことは考えられますよね。これが今なのです。
アベノミクスと言えば三本の矢という言葉がありますが、まともに実行できたのは金融緩和だけであるという見方は私は正しいと思います。そりゃそうでしょう。まともな規制緩和なんてありませんもんね。

ポイントは、金融緩和策がなくても、この戻しはあったと言えることです。つまりはっきり書けば、余計なことをしすぎたわけです。黒田バズーカという言葉がありますが、こんなバズーカとやらがなくても、戻る時期だからこそ戻っていたということになるわけです。

2011年10月を思い返しましょう。10/31だったと記憶していますが、ドル円は市場最高値を記録しました。その翌月には日経平均は二番底をつけて復活します。
実は、バブル絶頂期の1989年12月から月数を数えてみますと、興味深い現象に気づくのです。2011年10月は実は262ヶ月目なのです。先に黄金分割理論で書いた重要数字ですね。

要するに、2012年から戻りに入ることは、今から考えると、必然だったとすら言えるのではないでしょうか。なぜ民主党の野田さんはあの時期に解散してしまったのでしょうか。我慢していれば戻り時期に入ったはずなのに…
こう考えると、アベノミクスはただの大げさな呼称であり、中身はないに等しいということがお分かり頂けると思います。むしろ、黒田バズーカという言葉に示されるように、余計な金融緩和をやってしまったから、本来戻りが終了して再度下げに転じる時期をなんとか引き伸ばしているだけで、無理をする分大きなしっぺ返しが待っているだろうとすら考えることができるのです。