3.円高・円安は米ドル安・米ドル高の裏返しにすぎない | 半田伸明のブログ

3.円高・円安は米ドル安・米ドル高の裏返しにすぎない

黄金分割理論の他に、いわゆるファンダメンタル分析からも、日本の景気下降サイクルは説明できます。

世界で通用する基軸通貨は何かと問われたら、これはもう米(アメリカ)ドルしかないですね(以下米ドルとします)。円高、円安というニュースが流れるたびに、日本の金融政策がどうのこうの言われがちですが、冷めた目で見れば、円が高くなった安くなったではなく、ドルが安くなったか高くなったか、その裏返しとしての円高、円安でしかないのです。極論すれば、日本の政策なんてどうってことはないのです。

米ドルの価値がどうなのか?については、ドルインデックスの分析が有効です。ドルインデックスとは、ドル指数とも呼ばれ、ドルの総合的な価値を示す数値です。もっとも、ドルインデックスもいろんなものがあります。インターコンチネンタル取引所(ICE)が出しているものが代表的なものですので、以下ではこれを取り上げながら見てみましょう。

ICEが対象としている通貨数は6つになります。ICEの6つの通貨とは以下の構成になります。
ユーロ…57.6%、日本円…13.6%、英ポンド…11.9%、カナダドル…9.1%、スウェーデンクローネ…4.2%、スイスフラン…3.6%。
つまり、日本円はユーロに続いて2番目に比重が高いのです。それだけ取引量も多いということになりますね。

米ドルの行方こそが一番重要であり、どれだけ金融政策云々やっても、所詮は米ドルの動きで全てが決まってしまうわけです。

さて、先にニクソンショックについて書きましたが、実はこのショック以降一貫してドル安が続いているという現状があるのです。もともと1ドル360円という固定相場制はアメリカによる政策でした。ニクソンショックも米国の事情で発生したものです。その後、何度かドル高政策がとられた時期もありましたが、基本はやはりドル安が続いているのです。特に近年では2007年に発生したサブプライム問題でドル安が加速し、ここ数年はドル安に依存して経済浮揚を図っているという状況です。米国本体のバランスシート調整が困難を極める中、ドル安に依存してNYダウが上昇してきているのですから、まさに危うい破滅前夜の景気上昇謳歌というわけです(NYダウ下落転換まで秒読みと言っても良い状況ですね)。

このように、米国の事情によって、ドルインデックスの中で2番目に比重が高い日本円は翻弄されてきたわけです。通貨安戦争に負けて財政破綻という推測を先に書きました。米国がドル安依存から抜け出すのは、もうほぼ絶望的でしょう。つまり、反面として、円高はまだまだ先があるということになるわけです。円高も良し悪しですが、これに起因する景気下降はまだまだ終わりが見えないということは言えるのです。

黄金分割理論、ドルインデックス…複数の視点から見ても、やはり日本は景気下降サイクルの真っ只中にあると見るべきなのです。サイクルはあくまでサイクルです。それが終わるまではただただ我慢するしかないのです。