山梨市長による、上野千鶴子さんの講演会中止撤回について | 半田伸明のブログ

山梨市長による、上野千鶴子さんの講演会中止撤回について

山梨市長が上野千鶴子さんの講演を中止した後に、一転してやっぱりやることになったというニュースがありました。

朝日新聞の記事によりますと、山梨市長は「いろいろとうるさいのでコメントしない。結果をみて判断してほしい」と述べたようです。

上野千鶴子さん講演、一転開催 山梨市 開催要求相次ぎ(朝日)

一方、日本経済新聞によりますと、山梨市長は「市職員に心労をかけてはいけないと思い、開催を決めた」と述べたようです。

上野千鶴子さんの講演中止撤回、山梨市(日経)

上野さんの著書のタイトルを問題視した人から意見を寄せられた事がきっかけのようですね。しかも、山梨市長は2月に選挙を終えたばかりだったようです。

また、読売新聞によりますと、山梨市長は「担当課がせっかくやるというので了承した。上野さんと注意事項の確認も取れたので、静かにやらせたらいいのではないか」と述べたようです。

上野千鶴子さん講演会、一転開催…「要望多く」(読売)

著名な方ですので、誰かブログにしてるかな?と思い調べてみたら、次のブログを見つけました。
山梨市講演会中止について ちづこのブログNo.64

ここまで書かれては山梨市長さんも大変ですね。この方の気持ちも痛いほどわかります。何らかの弁明はした方が良いでしょうね。

さて、この件で私が気になった事をまとめておきましょう。

1)なぜ新聞によって論調が違うのか?
朝日「いろいろとうるさいのでコメントしない。結果をみて判断してほしい」
日経「市職員に心労をかけてはいけないと思い、開催を決めた」
読売「担当課がせっかくやるというので了承した。上野さんと注意事項の確認も取れたので、静かにやらせたらいいのではないか」

以上が、各社の記事にある市長発言です。

いかがでしょうか?私は「随分温度差があるなぁ」とまず感じたのです。

私自身、自分に言い聞かせている事ですが、あるニュースに注目が集まっている場合、必ず複数のメディアの記事を比較してみるようにしています。今回の上野さんの件は、温度差がありすぎるので、不思議に思ったのです。

先ほど紹介したブログ記事によりますと、政治姿勢を問題になされていらっしゃるようです。気持ちはわかりますが、これらの新聞記事の温度差を考えると、問題は別のところにあるのではないか?という気がするのです。

2)山梨市長は行政対象暴力を恐れていたのではないか?
まず、わずかな意見で中止を決定する事自体、普通では考えられません。上野さんを気に入らないか、それとも別の要因があるかでしょう。
別に山梨市長に肩入れするつもりはないですが(そもそもどういう人か知りません)、私には政治姿勢が云々とか、そんな風には思えないのです。
当選直後という事情もあります。普通ならまずは引き継ぎでしょう。調べてみますと、現職を破り初当選なされたとか。しかも票差はたったの389票のようです。

もし私だったらどうするかなぁ?とぼんやりと考えてみました。
少ない票差です。普通なら、選挙相手を刺激したくないでしょう。かなりの票差を付けて圧勝ならまだわからなくもないですが、たったの389票差という事を考えると、まずは選挙相手が積み残したことをきちんと引き継ぎを受けるのではないでしょうか。

もし、選挙直後に相手を刺激するような事をしたら、票差が少ない事も考えると、それこそ政治家生命を左右されかねません。私は事情は良くわかりませんが、外から見てますと、「そんな無茶普通だったらしないだろ?」と思えるわけです。

選挙直後は、とにかくハイな気持ちをなんとかして抑えようとするのが政治家心情です。そんな状況下で、現市長が好んで戦を仕掛けるような事をするだろうか?と考えると、疑問を感じるのです。

むしろ、「とにかく穏便に穏便に」と考えていたのではないでしょうか。
ちょっとした事で警戒心が強くなり、ひょっとしたら今回の上野さんの件も、「あぁやられる」という危機感が先に来たとは考えられないでしょうか。そこで深く考えずに、穏便に済ませるには中止…と。

もちろん外野ならではの憶測に過ぎないわけですが、選挙直後の神経過敏な時に何事も穏便に済ませたい時期に、やっかいごとが舞い込んできた、自分がやられるのはとにかく嫌だ、ほっとくと行政対象暴力に発展しかねない、だったら中止しようと、そんなとこじゃないかなぁ?と。。

巷では、山梨市長が矢面に立たされているようです。何度も言いますが、私はどちらかの立場を支援とかそういうのはありません。そもそもご縁がありませんし。
しかし、先程述べた、新聞記事の温度差の件、そして選挙直後の政治家の心理状態を考えると、ここは議論を深める為に、反対説を載せておいてもいいかな?と思い、今回の記事にしました。

もちろん言うまでもなく、極めて政治的な案件だったら、市民はやはり怒るべきでしょうね。一旦決まったものを、しかも大型事業とかではなく、講演会レベルでしかない案件で、市長が変わったら中止って、そりゃ頭に来ますもんね。

3)山梨市長は率直に思いを述べるべきである
政治的な姿勢の問題で、上野さんが気に入らないから中止したのか?
それとも、半田の仮説のように、実は異なる事情があったのか?
こればっかりは、山梨市長の釈明を聞かないと何とも言えないですね。

そして、もし本当に行政対象暴力の件が念頭にあったというのなら、むしろ今回の件をきっかけとして、山梨市民の皆さんで、どうすれば行政対象暴力を防ぐ事ができるか全市民的な議論をすべきでしょうね。

良くも悪くも、山梨市長の政治センスが問われる案件でしょう。次の出方を待ってみましょう。

言うまでもなく、上記の半田の考えは、自身が選挙を何度か経験してきたという事もあって、選挙直後にそういう事やらないんじゃないの?という素朴な思いから来た、あくまで仮説レベルですので、実態は違うよ!ということだったら、もうとにかくごめんなさいするしかないですね(笑)。ただ、行政対象暴力という事を考えてもらえればいいなぁと思うんです。