同調圧力とレッテル貼りはコインの裏表…大阪維新の会の家庭教育支援条例案について考える | 半田伸明のブログ

同調圧力とレッテル貼りはコインの裏表…大阪維新の会の家庭教育支援条例案について考える

維新の会市議団による家庭教育支援条例案は、大きな騒ぎとなりました。親学の是非など様々な議論があったようですが、今回のエントリーは条例の内容ではなく、地方議会の現場にいる立場からの??をまとめたものになります。

この報道を初めて目にした時、私はかなりの違和感を感じました。「なぜ議員提出議案なんだろう?」という疑問です。

地方議会では首長提出議案と議員提出議案がありますが、もし家庭教育支援条例を橋下市長の実績としたいのであれば、首長与党である維新の会市議団としては議員提出議案ではなく首長提出議案にするはずだからです。さらに、予算化を伴うものであるなら、最初から首長提出議案の方がスムーズです。当初予算案にも反映されますし、議員提出議案に伴う予算化となれば、提出した会派以外の会派と首長との間で一定の面倒なやり取りが想定されるからです。

さらに、議員提出議案で行く場合、条例案として正しいものと言えるかどうか、かなりの神経を使うことになります。通常、地方議会の事務局にはこういう対応することがほとんど不可能に近いです。首長側の政策法務などに確認するというケースも実際はあるのではないでしょうか。

議員提出議案という報道に、「なぜそんなに面倒臭いことをするんだろう」と思った地方議会関係者は、私だけではなかったと思います。それほどまでに違和感を感じたのです。

騒ぎが大きくなるに連れ、橋下市長はTwitterで「発案議員グループが作成し、これから市議団政調会にかけるという段階で報道されたようだ」と発信しました。私は「あぁ、なるほど。ありうる話だな」と理解しました。

一方、維新の会及び橋下市長への批判は日増しに強くなって行きました。この推移に私は嫌なモノを見た気がしました。

反原発の方が考えの合わない人を原発推進派とレッテル貼りをしたり、またノマドを推進している方へのパッシングと同じ匂いを嗅ぎ取ってしまったのです。

もちろん、この条例の中身は賛否両論あるところですが、それはさておき、たまりにたまっていた負のエネルギーが一気に爆発したような感じを受けたのです。まさに「叩き」です。いま流に言うならdisるということになるんでしょうか。

このような流れを見て危険だなと感じました。例えば、修学旅行である学生が悪さをした場合、その学校全体が悪いとする風潮が良くありますよね。あれに似たモノを感じたのです。

しかも、先ほど述べたように、議員提出議案という時点で?なのですから、実態はどうなのか?に目を向けることなくdisる現象が一気に進んでいると思えて来たのです。

首長提出議案ではなく議員提出議案という段階で、あれ?と検証すべきだったのではないでしょうか。

問題になった条例案を見てみると、前文に「本県」ってあります。これを見て、バカじゃねえの的な揶揄するツイートは数多く見かけましたが、「これ、公表以前の問題なんじゃないの?」と問題提起するツイートを見ることは(私は)ありませんでした。叩き台レベルにすらなりえていないわけです。

つまり、会派以前の個人レベルにすぎないんじゃないの?と思えてくるわけです。なのにTwitterでこの過激反応ぶり。まさに先ほど書いた修学旅行パターンですね。

結果的には、維新市議団が公表したというのが事実だったようですね→大阪維新の会:家庭教育支援条例案に批判続々

叩き台レベルにすらならないものを公表するということ自体が、私には未だに信じられません。会派に泥を塗ることになるからです。あまりにもお粗末な結末だったというわけです。

今回の件で、議員提出議案とは何か?首長提出議案とどう違うのか?予算かの時点でどちらの方が良いのか?などに疑問を呈する見解がほとんどなく、一気に維新叩きが膨れ上がったのは、興味深い事実経過でした。大震災以降、とにかく「叩き」が目立ちます。原発にしても、ノマドにしても、そして今回の家庭教育支援条例にしてもそうです。

同調圧力とレッテル貼りはコインの裏表…私はこういう風潮が拡大して行くことに危機感を感じます。