自治体は放射線、放射線物質にどう向き合っていくのか | 半田伸明のブログ

自治体は放射線、放射線物質にどう向き合っていくのか

各自治体、放射性物質対策に追われていることだと思います。

三鷹市議会でも多くの質問が出されました。同じ会派を組む野村議員の質問に対する答弁を、書き起こしましたので、ご覧下さい。


<市長答弁>

1)5/25、東京の26市が集まる市長会において、市長発言。東京都福祉保健局の桜山技監に対して。三鷹市を含む多摩地域でモニタリングポストを設置して欲しいと強く要請。市長会でも都知事宛に要請書を出した。東京都でも補正予算でモニタリングポストを増やすということだった。


2)三鷹市としては、放射線の専門家がいるわけではないので、国立大学の放射線の専門家に依頼して、三鷹市を含む多摩地域における放射線量の評価や、放射線の測定のあり方、三鷹市の今後の対応についてなど、助言を頂いた。こうした経過を経て丁寧な検討をして、総合的に判断。市民に不安があるのなら、それを少しでも払拭する為に、まずは市内のメーカーに放射線量測定器を発注した。なるべく早くと発注をしたが、早くても6月末までの入荷となっている。


3)測定については難しさもあるということなので、信頼性を得るために、メーカーや助言を頂いている国立大学の専門家の協力を得て、測定を行う職員の研修を行う。


4)測定場所や頻度について。東京都の取組もあるので、重複を避け有効な測定箇所や頻度等を決めて行きたい。今後明らかになったら、広報みたかやHP等を通じて知らせていく。


5)放射性物質検査について。一般的にはゲルマニウム半導体検出器を使用して測定する。この場合、放射線量の測定以上に高度な技術と機器や設備が必要。放射線取扱い主任者等の有資格者の管理の下で高度な技術を有する者が測定する。例えば検出器の使用時には常に液体窒素で冷却しなければならないこと、測定するための標準物質、つまり放射性物質を使用することから使用の許可や届出が必要にもなる。市が簡単に測定できない部分もある。個々の検査について。市が独自で検査することは難しい。


6)東京都立産業技術研究所が、世田谷区深沢において、大気中で浮遊している塵を捕集して放射性物質の検査を毎日実施しHPで公表している。水道水の検査は、浄水場ごとに放射性物質の検査を実施し、その結果が公表されている。


7)農作物について。東京都が区市町村の農産物の放射能検査を行っており、5/11に三鷹市で検体採取があって、5/12午後に結果について報告があった。暫定規制値を下回った値だった。今後6月中にも三鷹市産の野菜について、行われるということだが、農産物の検査結果についても、HPで公表している。


8)下水道について。5/26に、単独の処理場を持つ八王子市、立川市、町田市との4市の連名で東京都を通じ国に、まず基準を早期に策定して欲しいと要望した。


9)数値だけが先走らないように、数値がどのような意味を持つのかがきちんと市民に知らされるように、そして適切な対応を冷静にしなければ、風評被害を生んだり、パニックを起こしてしまい、大人が冷静さを欠いたとき、子どもは放射線で被害が及んでいないにもかかわらず、心に大変不安感をもって、外遊びをしなくなったり、あるいはゲームだけに集中してしまったり、本当に、成長の時期に、その他の被害の方を受けてしまうおそれもある、しかも福島県の子ども達を中心に差別や偏見が向けられる可能性もある、少なくとも三鷹市では福島から避難されてきているお子さんが保育園や小学校・中学校で学んでいるとき、差別や偏見の対象にならないようにしていきたい。


10)適切な情報が伝えられれば安心できるものを、市民は不安の中にいる、三鷹市専門家のご助言も頂き、適切に調査、数値についても説明をしていく、市民が少しでも安心感をもって暮らしていただけるように。


<教育部長答弁>
11)学校給食食材について。食品に含まれる放射性物質について。国が食品衛生法上の暫定基準値を設け、安全のための規制をしている。この規制に基づき検査が行われている。規制値も上回った食品は市場に出回らないように、と国が対応。三鷹市の学校給食では、各学校が市場に出ている食品を登録業者から日々調達。この規制値を上回る食品を使用することは基本的にないと考えている。


<市長答弁>
12)計画停電の通知などをしなければならないときがあった。その時期に、放射能が放出されるかも知れないということは、その時に感じていた。
まず国が動くべきであり、東京都が何かすべきであろうということで、4月の間は推移を見守っていた。
明るみになってくるとかなり深刻だと。
5/19、市長会の役員会のときに、市長相互に不安感を共有。
5/25の市長会で東京都福祉保健局の技監に質問したときに、「これは東京都だけにお任せするのも、なかなか難しいことがあるのかな」と。技監からは多摩で1箇所くらいは作らないといけないかなとの反応。それは期待しつつも三鷹市にはならないかもしれないという思い。
そこで、早急に、河村副市長、生活環境部長、環境政策課に、専門家の助言を得て三鷹市の職員で出来るか出来ないのか、することが適当なのかどうかを急遽調べてもらった。
購入しようという思いになったのは、振り返れば5/25の市長会の直後だと思う。
まずは謙虚でありたいと話したように、調査を事業者に委託してする方法もあるが、それもけっこう経費がかかる、で、しかも時間もかかるわけだから、そうであるならば、三鷹市で出来る可能性、その数値の精緻性を調べて、6月に入った。
在庫の確認などがあったので、ここであまり詳らかに話すことではないが、副市長もメーカーに確認し、市長もメーカーに確認し、市長自身も在庫の確認、発注しても大丈夫なのか、予算対応なども確認して、基本的に発注証を担当から出してもらったのが6/7。決断をしていたのは、謙虚に慎重に丁寧に検討した結果、「どうやら頑張らないといけないかな」と思ったのが5/25以降である。
放射能に関して調査をして、その数値を三鷹市の責任で市民に示すことについては、やはり職員にもとことん研修を受けてもらわないといけないので、助言者もやはりいろいろ忙しく現地に行っているケースもあるので、それでも三鷹市の為にということを確保させていただくよう努力してきた。


<副市長答弁>
13)専門家の方の名前を公表できるかについて。先方に確認が取れ次第、匿名であれ、実名であれ、きちんと報告する。
なるべく複数の方に意見を聞きたいと思っている。
測定の場所や根拠について。第一次的にどこまでやるかなどについては、慎重に判断。
専門家の方に聞いた限りでは、簡易測定器であちこち職員がやることについては、批判的。数値がちょっとの差で微妙になったりとか、定点的に観測していくことによって、自然界も放射線はたくさんあるわけだから、通常の場合でも屋外よりも室内の方が高いというくらい、いろんな話を聞いている。定点的なところで冷静に科学的に調べてそれを発表することが重要。一定の研修をした人間が、簡易測定器であっても慎重に対応することが必要。体制的にも一定の限度があるから、そこらじゅうで毎日のように測定するというわけには行かない。一次的に現段階はここまで、二次的にはこういう対応というようなことを検討していきたい。


14)公園の砂も含めて、これからどういうように段階的にやっていくかについては、今後検討の中で話して行きたい。


<生活環境部長答弁>
15)職員の研修について。日立アロカメディカルの協力を得て、どういう内容の研修にするかについて、今、詰めているところ。


16)数値について。1ミリシーベルトについて。24時間365日で割り返すと、0.114マイクロシーベルト。東京都の健康安全研究センターで測っている平均値が0.06前後。安全ではないかという見解が示されている。


<教育長答弁>
17)校庭や学校の砂場について。国の方で示した3.8マイクロシーベルト。これは1時間についてということであり、根拠は国際放射線防護委員会という国際機関からの、1ミリシーベルトから20ミリシーベルトというようなことで、上限値を参考にしているが、これは年間である。蓄積量が問題であって、1時間ごとにどのように影響するかということについて、我々素人にはなかなか難しい。だから専門家の知見を得ながら対応を図っていく。


<都市整備部長答弁>
18)公園の砂場について。測定そのものが出来ないと、不確定な中でいたずらに突然シートを変えたりすると、かえって不安になる。手順を踏んで対応したい。


<教育長答弁>
19)プールについて。これは水道水。東京都が3/18~5/19の積算量を基にして、計測したら、放射線物質の濃度について、例えば誤ってプールの水を約1リットル飲んだとして、約0.226マイクロシーベルトと、具体的に事例を挙げて説明している。それは健康に影響なし、つまり、プール開きの前にプールの水を取り替えれば全く問題はない。プールの清掃。子ども達に清掃させるのではなく、業者の方や大人、教員がやることになっている。


20)食材について。出荷制限されているものがこちらに来るわけがない。心配はわかるが、福島県産ということで福島県のどこの野菜も一律に同じように考えるのは、いたずらに不安を煽るだけで、うっかりすると風評被害になる。


<子ども政策部長答弁>

21)保育園のプールについて。水道水を利用。毎日取替えをしている。直接的には心配はない状況だと思う。


22)食材の調達について。安全なものが市場に出回っているという前提で対応している。地元産の野菜を積極的に購入して対応している。


<副市長答弁>
23)上水道について。金町浄水場からの給水は再開を始めた。


24)三鷹市内の配水場あるいは浄水場での検査について。3/24市独自でやったところ、非常に低い数値しか出なかった。東京都水道局も各市内での配水場での検査は不要ということで、やる予定はない。


<生活環境部長答弁>
25)家庭の井戸について。放射性物質は調査の対象とはなっていない。自己管理が基本。飲料用には使われていないはず。


26)被災地の災害廃棄物について。東京都全体で3年間で50万トン受入れ予定。発電施設がある焼却場を中心に対応。新川にある環境センターでは受け入れない。


<都市整備部長答弁>
27)下水処理上の汚泥について。基準が示されていない。独自に三鷹市として測定はしていない。今後国から一定の基準が示された段階で、放射性物質の検査を含め対応。


<副市長答弁>
測定の方法を市民に研修するかについて。測定値を集めて市民と協働で市内の放射線マップを作ることについて。現時点では考えていない。慎重に検討。



以上になります。

これは質問当日の6/10時点のものであり、その後事情が変わったものもあります(下水汚泥など)。


12)が重要です。近隣市の状況も含め調査したいところです。武蔵野市がなぜ委託で早く対応できているのか、調布市の対応など調べてみたいと思います。



以上を踏まえた上で、半田はどう考えるのかにつき書いてみたいと思います。


官の責務は、「民の生きるを守る」。これに尽きます。それ以上でもそれ以下でもありません。官は、各事業を「民の生きるを守る」という視点から洗いだし、直結しないのなら、いっそのこと直結しない事業を完全に撤廃し、官のあり方を問い直すべきであるというのが持論です。


その官にまさに「民の生きるを守る」を試されているのが今回の放射線対策なのです。いずれは市民が不安に感じ始めるだろうと察知して、やはり先手先手を打つべきだったのではないでしょうか。

測定器を買って、市民に示すべきだったのではないでしょうか。「ご安心下さい。三鷹市はすでに買っていますよ」と。


土壌汚染についてもそうです。お隣の小金井市の事案は有名になったようですが、空気中の放射線が下に下りてきたら土壌汚染を気にするのが次の段階であることくらいすぐにわかるわけですから、やはり市内の児童公園の土などを先手で検査にかけておくべきだったと思います。


今、官や政治家に問われているのは何か?それは共感力であり、共有力なのです。

何も特別な存在ではなく、みんなと同じ…だから不安も感じるし、みんなの気持ちもわかる…共感力がある方は、市民の方は敏感にわかると思います。


市民は官や政治家を見ている一方、官や政治家は市民を見ているかどうかわからない、ひょっとしたら霞ヶ関の指示待ちかもしれない、と市民に思われる前に、「私たちの視線は市民の皆様に向けられているのは当然であり、双方向ですよ」とラブコールを送るべきだったのではないでしょうか。


5/25に不安を感じたというのなら、その旨表明すべきだったのです。そして、測定器購入検討ならば、その旨公表すべきだったのです。


検討過程を含めて情報解放という姿勢が一貫されているならば、市民の方としては、官や官寄り政治家との間で双方向性を確認できたはずなのです。


情報公開の概念は、請求されたら公開しますというイメージが強いですが、これからは請求云々ではなく情報の「ダダ漏れ」を積極的にすべき時代なのです。まさに情報解放時代の到来です。


官と官寄り政治家が自己満足する情報公開の概念ではなく、市民に寄り添う民寄り政治家は情報解放の概念を言い続けましょう。