白いロマンスカーVSE50000形が鉄路を去って一週間。もう二度とあの優美な姿が沿線を彩ることはない。



 車両寿命としては早すぎた十八年という日々。しかしその駆け抜けた十八年間は愛に満ちたものだった。だれもがその白いロマンスカーに憧れた。他の車両たちが味わえないほどの沢山の愛を受け、また他の車両では紡ぎ出せない沢山の愛を育んだ車両でもあったに違いない。

人生は長さではなく密度だとも言うが、そう思うことにしよう。でないとやはり遺恨が残る。

VSE登場後にデビューした幾つかの後継車両に混じりながらも最後まで型落ち感もなく、美しいまま役目を終える車生も、考えてみれば実にVSEらしいではないか。塗り替えら、編成をばらされ、最後には他路線へ転属なんてのはVSEには似合わない。

ロマンスカーの原点である箱根路線専用車両を全うしたのである。

そして伝説になったのだ。


これでいいのだ。




VSEには公私共に沢山お世話になった。

仕事で言えばなんと言ってもCDジャケットだ。


1stシングル「十年ロマンス」(2016.10.26)



この写真は営業運行中のVSEと新宿駅のホーム(1番ホーム!)で撮影させて頂いた。到着後の折り返し作業の間を使い、約10分間の弾丸撮影だった。新宿駅副駅長さんにもお立ち合い頂き現場はスムーズであったが、内心とてつもなく興奮していたことを今でも覚えている。博物館や車庫などで停泊している車両と撮影するのと違い、このスリリングさが堪らないのだ。失敗も許されないが、何より営業運行の邪魔だけはしてはならない。これは鉄道ファンだからこそ強く信念を持っている。鉄道ファンなら鉄道のためにならないことは避けるべきであろう。





最新曲『ロマンスは永遠に』

こちらは自分のいわばVSEに対する‘けじめ’のために引退日に合わせて作ったもの。乗り納めする人、撮り納めする人、皆それぞれの別れ方がある。



プライベートでもよく乗りに行っていた。一人でも乗った。大切な友とも、恋人とも人生のある時期の風景には必ずこの白いロマンスカーが映っている。

VSE以上に夢中になれる車両の登場を期待しつつも、それはきっと二度と訪れない青春を待つのと同じこと。


ロマンスは一度きりでいいのだ。それが最高ならば。



VSEよ、美しい思い出をありがとう。


そして、さらばVSE。



 


〜白いロマンスカーVSE50000形が鉄路を去って一週間。もう二度とあの優美な姿が沿線を彩ることはない〜






半田より