11月6日、7日と我がフォークソングの師匠、なぎら健壱さんの歌手活動五〇周年ライブ(正確には51周年であるが)が開催されました。僕はその初日にあたる6日のステージにゲストとして出演させて頂きました。
フォーク歴もはたまた“なぎら歴”も決して長くはない自分みたいな人間が、このような記念日に同席させて頂けましたこと光栄で御座います。また、本来であれば昨年度に予定されていたものがコロナ禍で延期となっての今年です。蔓延の傾向の予想が付かない中、ホールを2日間も押さえて挑まれたことになぎら師匠の並々ならぬ決意を感じました。

初日はアコースティックDAYということでサウンドより歌詞を聞かせることをテーマに作られたステージでした。僕はその中で自作曲は『生活』『東京タワー〜親父たちの挽歌〜』を、そして高田渡さんの『生活の柄』を一緒に演らせて頂きました。『生活』はなぎらさんのマンスリーライブ・曼荼羅Ⅱのステージでも幾度となく飛び入りで歌わせて頂いていますのでバンドの皆さんももう慣れたモノで笑。
僕もようやっと最近この歌が自分の物になって来た感覚があります。歌にせよ台詞にせよ、頭に入れただけでは自分の言葉として発することは難しい。歌も台詞もそれが持つ年齢のようなものがあって、繰り返す事で熟成されていく感覚です。なので新曲発表は大抵が良くないんですよ笑。歌も曲も若造。本来の形になってないんです。皺のない革ジャンが格好良いとは言えないのと同じで、何であれ自分の皺を付けていかないと自分のモノとは言えないわけで。

リハーサル時になぎらさんが「初日は音はそこそこに歌詞を聞かせるステージにしましょう。そんなライブも最近はないよね」とポロっとおっしゃって。
僕はレコードやCDを聴くときは癖で編曲やら作曲に耳がいってしまうのですが、ライブでは実は歌詞が聴きたい派なんです。しかしポップスや特にロック系のPAの作り方は迫力が優先されているでしょう。あれだと知らない歌は所々聴き取れないんですよ。まぁロックは聴感より体感ですからそのバランスこそがライブの醍醐味なんでしょうが。

フォークと言うジャンルはメッセージが先にある音楽ですから、なぎらさんがそこにこだわった理由はよくわかります。バンドを付けずにギター一本で歌うなぎらさんは最高にいいですよ(バンドの否定ではなく)!高田渡さんなんてステージではよくギターの指も止まっていたと聞きますから笑。
言葉が先にあって、そこに節がつく。これがフォークソングの原型です。それを証拠にフォークは歌謡曲みたいにメロディもリズムもバリエーションがないでしょう?悪く言えばワンパターンなんですけど、わざとそうしてるとも言えますよね。だからこそ!歌が若いと成立しない難しいジャンルでもあるのです。

一番相応しいのは‘地でいくフォークシンガー’なんですが、僕は人間がフォークではないので…笑。演るならせめて勉強してジャンルとしてフォークソングを研究しています。
なんにせよギターミュージックは良いよね。昔はそのノーブルさからピアノ音楽に憧れた時期もありましたが今はさっぱり。と言うか諦めたかな笑。自分と一体になれない楽器は熟せないんですよ。それに僕はやっぱりギターが好き。


話がとっ散らかりましたが、なぎら師匠の音楽にも触れておきましょう!
僕はフォークソングを勉強したくてなぎら師匠の門を叩いたわけですが、思うになぎら健壱さんの音楽というはフォークとはまた違った独自のものだと分析します。
もちろん初期のLP『万年床』『葛飾にバッタを見た』等はフォーク色が強いのですが、後年になるにつれてジャンル“なぎら節”が開花して行きます。その真骨頂的な作品がアルバム『この夜に…』で、これは僕が一番好きなアルバムです(なぎらさんもご自身で一番、二番のお気に入りだそうです)。他に似たことをやっている人が居ないと言うところも大きいのですが、このアルバム全編に漂う東京下町の空気感に僕は持って行かれました!関西人の僕にとっては東京の下町情緒に勝手な幻想があって、その‘幻想のサウンドトラック’としてこれ以上相応しいものはない!という位置付けです。
考えてみれば日本人として日本に生まれ育ってたのに、海の向こうのサウンドを持ってきて「これが土着音楽だ!」言うのは少々不自然ですよね。でもこれみんなオリジナルが作り出せないから仕方ないんです。コピーが悪いわけではありません、手段ですからね。だからなぎら健壱さんというミュージシャンは凄いわけ!ご自身の生まれ育った環境や人生を音・旋律に変換することに成功された数少ない音楽家なんです。
歌詞で表現するより遥かに高等技術だということをお忘れなく!


今年になりYouTubeもご一緒させて頂いたりと親身にさせて頂きながらも、あの緊張感は一体なんだろうか…
きっとパブリックイメージのなぎらさんにはそう言ったイメージはあまりないんでしょうけど、僕は勝手に感じています…笑
でもこの緊張感は持ち続けた関係でありたいと思います。いくら優しくして下さるからと言って図々しさが出たらおしまいかなと。ましてステージをご一緒させて頂くなんて時にはね!
昨年からはコロナ禍を理由にライブに伺う回数も激減してしまっていた事も心痛かったですが、また当たり前に通える日々が戻ってくることを祈って待ちましょう!


あらためまして、なぎら師匠!五十一周年(執念)おめでとうございます㊗️!
これからも勉強させて頂きます。
何卒〜〜っ🙇‍♂️🙇‍♂️🙇‍♂️


半田健人

(ドラムの鈴木さんにシャッターお願いしたら…かなり押していた様子はあったのに、この一枚しか記録されていませんでした🤖…)





半田健人のワンマンLIVE
『半田健人 LIVE 2021〜今年も1年ありがとうございました〜』
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12月18日(土) @六本木クラップス
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半田より。