先程、ドラマーの田中清司さんにお電話をしました。
最後にお会いしたのは昨年末の事だったかな?

清司さんとのお付き合いももうじき十年になりますか。ベーシスト江藤勲さんからご紹介頂きそれ以来、公私共にお世話になっております。

お会いする機会は大抵がお互いのライブ会場でしたので、現在のこの状況でなかなか会えずに…
電話越しの清司さんの声は健康そのもので安心しました笑
奥様と新築(スタジオ付き✨)のご自宅でゆっくりお過ごしになられているようです🙂
(時折、ドラムも叩いおられるとのこと!)

そりゃそうですよ…七、八十年代の激務あっての今、思いっきり休んで下さいっ‼️笑

お話を伺うたびに当時の歌謡界の賑やかさ、華やかさ、厳しさ、過酷さを思い知らされます。
レコードが飛ぶように売れた時代にあり、音楽産業が芸能界において重要なコンテンツだったことは言うまでもありません。
その中でレコード会社のスタッフはヒットに命をかけておられた。工夫でヒットに繋がる可能性のある事は全てやってみる。妥協はなかったようです。
その中で録音ミュージシャンの選定はとても重要です。現在においても決して軽視できない話ではありますが、テクノロジーの発達により如何様にも…というのは正直ありますからね、、、
アナログ時代はそうは行きません!
‘人間の音’がありのままに記録され、後からはいじれません。なので限りある優秀な人材をレコード会社は我先にと取り合ったことでしょう。
清司さんは需要はそんな中でもトップクラス!
スタジオレコーディング業務の合間を縫って、時には大野克夫バンドとして沢田研二さんとテレビ出演、時には野口五郎さんのツアーバンドメンバーとして日本縦断と寝る暇もあったもんじゃなかったとか…😨
また編曲家からの信頼も厚く、筒美京平先生、馬飼野俊一先生、三木たかし先生、都倉俊一先生、竜崎孝路先生、穂口雄右先生、萩田光雄先生、船山基紀先生などなどのヒットメーカーからも絶えず発注を受けておられました。

今の若い子達(あたしもまだ若いぞ!)からやたら評価が高い山口百恵さんの『プレイバックpart2』の録音も清司さんによる物。ご本人曰く、「どこからどこまでが歌なのかわからなかった曲」ということでした笑

では私、半田の‘田中清司ベストプレイ5’をあげさせて貰いましょうか!
(今回はあえて僕の『せんちめんたる』『生活』以外から選定します)

第5位
てんとう虫のサンバ/チェリッシュ 編曲.馬飼野俊一
ドラムイントロのナンバー1ヒットといえばこの歌ではないでしょうか!
昭和四十八年当時、まだそこまで譜面に強くなかったと語る清司さんが「うん、このイントロはわかりやすい!笑」と馬飼野俊一先生との相性の良さも感じた一曲。

第4位
はじめての出来事/桜田淳子 編曲.竜崎孝路
淳子さん初のオリコン1位獲得曲として有名ですが、あまり皆さんドラム聴いてないでしょ?
♪めまいがしそうよ〜好きよ好きだから…のブリッジ部のオカズ(半分は書き譜かな?)の正確さは快感以外のなにものでもありません!

第3位
ダーリング/沢田研二 編曲.船山基紀
この曲に限らず沢田研二さん作品には清司さんの名演が沢山残されていますが、イントロのハイハットを絡めたオカズのキレと来たら…脱帽です!
また、録音技師の吉野金次さんの録る清司さんのドラムは低音の作り方が実にロック。

第2位
その気にさせないで/キャンディーズ 編曲.穂口雄右
キャンディーズ中期のヒット曲ですが、内容は完全にソウル!
編曲、演奏、録音とどれをとっても同時期の洋楽に全く見劣りしないどころが、部分的には洋楽以上だと言う自信があります!(お前はどの立場で話をしているのか笑)
中でも清司さんのドラムが際立って素晴らしく、あの‘重さ’を出せる日本人は現在に至るまでなかなか登場していないのでは?

第1位
熱愛/野口五郎 編曲.馬飼野俊一
『愛さずにいられない』のB面曲。僕が五郎狂だから一位にあげたわけではなく笑、数有る名演の中でも特に…特にカッコいいと思ったからであります!
ドラマー田中清司を分析すると、昭和四十六年から四十八年中期くらいまではゴーストノート(譜面には書き表さない極めて細かいアドリブ)を多用した比較的細く高度なプレイ、その後にダイナミックで重たい所謂‘ザ・田中清司’が完成していきます。この『熱愛』が録音されたのは発売日から逆算するにおそらく昭和四十八年8月辺り…まさに繊細さとダイナミックの混ざり合いが絶妙なのです!
加えてポリドール録音技師、前田欣一郎さんの録るコンプレッション強めなスネアの音色のマッチングも見逃せません。




半年お会いせずとも僕は一週間と置いて清司さんの事を思い出さない日はありませんでした。

何故ならば、僕は毎日欠かさずランダムに歌謡曲を聴いていますが、そうすると何曲かに一曲は必ずと言っていい確率で清司さんのタイコに遭遇するのです笑

だから忘れようがなく🤣

ドラム仙人清司師匠(仙人の風貌ではない)も半田も現在は絶賛巣篭もり中⛰
お互いのライブで再開出来るの日はいつになるやらわかりませんが、必ずまたその日はやってきますよ。

きっと…きっとね!


(2014年、アルバム『せんちめんたる』レコーディング現場にて)



半田より。