第18話・九死に一生   第19話・純白の正義

この18話、19話は個人的に一番好きな回です。理由は色々な側面から挙げられるですが、まず季節。
ファイズは12月から撮影をスタートし、はじめの印象としてはとにかく毎日が寒い!当時から寒さには人一倍弱いわたくし…それがこの時期になると気温も穏やかで現場も身軽になりました。
梅雨前ともあり天気にも恵まれ、待ち時間もロケバスにこもることなく表に出て空気を吸っては感傷にふける…なんてことも

そして草加さんの登場以来ピリピリムード続きだったファイズに久しぶりにホームドラマ感が帰って来た回でもありました。
ドラマや映画の現場って意外とストーリーがそのまま空気を作ることがありまして。睨み合いのシーンは緊張感が張りつめます。この回は主役となる恵子ちゃんの登場で和やかなムードが漂っていました。

で、何より大きかったのは巧の出番が少なかったこと笑
出番が多い事は名誉であることと共に労働量がかさみます。朝から晩までシーンに追われていると季節を感じる暇もなくただ淡々と毎日が過ぎていきます。これはこれで充実感があるのですが、ふとした安らぎは感性を豊かにしてくれますのでやはり大切。

そんなことが重なり、この18話、19話は後に始まる夏の映画撮影(パラダイスロスト)に向けていいブレイクにもなった作品なのでした。




冒頭からコミカルなシーンです。
真理が見つけて来た猫舌療法を試す巧。あれは本物の酢を使ったので酸っぱかったな。
そして巧節も炸裂。
故意に洗濯物を汚す犯人を有り難がる考えは、アンチヒーローニズムの鏡。巧が前話にて復活した証です笑
啓太郎がクリーニング屋で世界を平和にしたいと言えば、「地味すぎる」とちゃちゃをいれていますがジオウではクリーニング屋を続けていましたからね。正義とは結びつかなくとも何かしら性に合ったものを巧なりに感じていたのでしょうか。

しかしね、18歳の青年(私)に向かって「おじさん」呼ばわりは失礼ですよ!恵子ちゃん笑

あまり考えたことなかったのだけど巧の年齢設定一体何歳だったのでしょうか…
台本の配役欄に通常は記されてる年齢がファイズでは書かれていませんでした。気持ちとしては23歳くらいのつもりで演じていましたが、いかに。

日本独特の文化だと聞いたことがあります。著名人がマスメディアで紹介される際に、氏名の後ろに年齢を同時記載することは。これは日本人がその人を見るときになにごとも年齢を踏まえて判断をしたがる傾向が強いからでしょうか?
実際、◯◯歳にしては凄い!とか◯◯歳にもなって…などという表現はよく耳にする気がします。しかしどうでしょう?年齢はいわば製品でいう製造年度程度のようなもので、そのものの本質を判断する基準としてはあまり必要がない気もします。
年齢はその人自身が自分を生きてきた年月の証。店舗で言うなら創業◯◯周年のようなもの。その数字が増えてくことにマイナス要素を感じるならば、それは少し違うかな。
僕で言うなら創業18年の当時より現在の創業35年の’半田屋'の方が胸を張れるわけです笑。


話が逸れました。
19話に入ると、啓太郎が大活躍します!
振り回されっぷりも実に痛快ですが、恵子ちゃんを身を呈して護ろうとする姿には泣かされます。腕っ節に自信があるわけでもない啓太郎が苦手な土俵で体を張る姿には愛しか感じません。たっくんがいいとこ取りしたみたいな登場をしてオルフェノクにとどめを刺しますが、あれは正直啓太郎がMVPでしょう!


また忘れてならないのは恵子ちゃんの一連の似顔絵作品。あれは当時助監督に就かれていた山口恭平画伯によるもの笑



助監督という役職はとても体力がいる仕事です。走り回ることは当たり前で、時に各部から強い風当たりを受けることも少なくありません。さらにはこう言った劇中の重要なパーツ作成を担当することもあり盛りだくさんです。

当時はそんな助監督だった山口さんも『仮面ライダー4号』では監督として現場に立っておられました。再会した僕に対して、相変わらずの助監督時代の物腰で接して下さった山口さん(この姿勢、全員ができることではありません)。「監督なんだからもっと厳しくガンガン演出して下さいよ笑」なんてやりとりもありつつ、『仮面ライダー4号』は山口監督のファイズ愛のおかげで名作に仕上がったと自負しております!



19話は啓太郎にしろ恵子ちゃん親子にしろ'愛'がテーマともとれる作品でした。ふとした事で記憶が蘇り、恵子ちゃんの元へ駆け出してギュっと抱きしめてあげる母の姿。それを受けて恵子ちゃんの「啓太郎、ありがとう!」の言葉。



愛とは、「あなたの事が世界中の誰よりも好きです。私の気持ちを分かって下さい」ではなく、「私はあなたの存在全てに感謝しています。ありがとう」と心から思える気持ちを指すのかもしれません。




と、まぁそんな生意気なことを当時から悟っていたはずもないのですが、あれから17年経った今でもこの18話、19話は愛おしい作品として僕の中に存在しているのです。





つづく。





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半田より。